今回利用したTD-LTE対応モバイルWi-Fiルーター「HUAWEI E5375」には中国移動のロゴマークが入っていた |
世界最大の移動体通信事業者であり、中国において移動体通信事業を手掛ける「中国移動(China Mobile)」は2013年12月18日より中国が国策で推進する通信方式である「TD-LTE方式」を使用した4Gの商用サービスを開始した。
これまでは中国移動のTD-LTEを使うには、現地で契約するか特定の移動体通信事業者と契約して国際ローミングで利用するしかなかったが、テレコムスクエアが海外のレンタル通信サービス「Wi-Ho!」の新製品として2014年3月5日より中国移動のTD-LTEに対応したモバイルWi-Fiルーターを投入したため、手軽に中国移動のTD-LTEを使えるようになった。料金はこれまでの中国用のWi-Ho!と同じく700円/日に設定されている。
今回、中国を訪問する機会があり、さっそくWi-Ho!で中国移動のTD-LTEを試してきたので、そのレポートをお伝えする。
Wi-Ho!が提供する中国移動のTD-LTEに対応したモバイルWi-FiルーターはHuawei Technologies製「HUAWEI E5375」だった。この製品はLTE UE Category 4に対応しており、通信速度の理論値はTD-LTE接続時で下り最大112Mbpsおよび上り最大10Mbpsとなる。なお、HUAWEI E5375は国際ローミング用にFDD-LTEも対応しており、FDD-LTE接続時の理論値は下り最大150Mbpsおよび50Mbpsである。
中国では北京市および深圳市、東芫市の3都市を訪問して中国移動のTD-LTEを使用した。訪問都市は規模が比較的大きいせいもあり、TD-LTEのエリアも広くなっていた。商用サービスの開始から僅か3ヶ月程度であるが、エリア面では概ね満足して使うことができた。しかし、3GのTD-SCDMAや2GのGSMに落ちることもしばしばあり、ずっとTD-LTEに接続した状態で使えるというわけではなかった。特に移動中はTD-SCDMAやGSMに落ちることが多かった。また、屋内や高層ホテルの高層階でTD-LTEのエリア外となることも少なくなかった。
これらは、利用周波数帯として中国移動のTD-LTEが1.9GHz帯(Band 39)および2.3GHz帯(Band 40)、2.6GHz帯(Band 38およびBand 41)で提供しており、1GHz未満の低い周波数帯では提供していないことから屋内には弱いのだろうと考えられる。
実際にどの程度の速度が出るのかを速度測定サービス「Speedtest.net」を使用して測定したところ、下りは15Mbps以上を記録することが多く、上りは5Mbps未満となることも多かった。下りのトップスピードは理論値から考えるとそれほど速くはないものの、平均して実用的には十分に使える速度は出ていた。一方で、上りは遅さを感じることも少なくはなかった。通信速度はモバイルWi-Fiルーターを経由してスマートフォン「OPPO N1」でSpeedtest.net のアプリを利用して測定しており、TD-LTE対応のスマートフォンで直接測定するより速度が出にくくなるため、その点は注意して欲しいおきたい。
サービスエリアについて中国移動のTD-LTEは人の混雑が激しい北京首都国際空港や華強北電子街のようなスポットにおいても、安定して快適に通信することができた。というのも、これまでに何度か中国に渡航しているが、通信環境には毎回悩まされていたからのである。国際ローミングや現地のSIMカードで使うとすれば、中国聯通(China Unicom)のW-CDMAおよびGSM、もしくは中国移動のGSMを使う機会が多くなると思われる。中国聯通はW-CDMAを拡張したパケット通信規格のHSPA+であれば快適に使える場合もあるが、そのようなエリアは決して多くなく、また、GSMに至っては実用的とは言い難いくらいに遅い。そんな中、TD-LTEはエリア面でも速度面でも実用的に使えるレベルであることは非常に嬉しく感じる。
中国移動はTD-LTEの商用サービスを始めるにあたり、長期に渡るトライアルの実施などを行い、十分すぎるほどの準備をしてきた。また、商用サービスの開始前からTD-LTE対応端末のラインナップを充実させたり、商用サービスの開始と同時に新たなブランド名である「and」の展開をしたりというように、中国移動がTD-LTEに集中して取り組んでいることが見て取れる。実際に中国移動のTD-LTEを使用してみると、入念な準備の成果が出ていることを実感した。通信速度はともかくエリアや対応機種のラインナップは継続して拡充させる見通しで、中国渡航の際の通信手段としては心強いものになると考えている。
HUAWEI E5375には中国移動のSIMカードが挿入されており、中国当局によるSNS規制の対象となっている。そのため、FacebookやTwitterなどの一部SNSにはアクセスできないので、あらかじめVPNを契約するなどして対策しておく必要がある。
参考までに北京市および深圳市、東芫市における複数の地点でTD-LTE接続時に測定した通信速度の結果を掲載しておく。測定アプリケーションは先ほどと同様にSpeedtest.netを使用し、各地点で3回ずつ応答速度と通信速度を測定している。
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中国では北京市および深圳市、東芫市の3都市を訪問して中国移動のTD-LTEを使用した。訪問都市は規模が比較的大きいせいもあり、TD-LTEのエリアも広くなっていた。商用サービスの開始から僅か3ヶ月程度であるが、エリア面では概ね満足して使うことができた。しかし、3GのTD-SCDMAや2GのGSMに落ちることもしばしばあり、ずっとTD-LTEに接続した状態で使えるというわけではなかった。特に移動中はTD-SCDMAやGSMに落ちることが多かった。また、屋内や高層ホテルの高層階でTD-LTEのエリア外となることも少なくなかった。
これらは、利用周波数帯として中国移動のTD-LTEが1.9GHz帯(Band 39)および2.3GHz帯(Band 40)、2.6GHz帯(Band 38およびBand 41)で提供しており、1GHz未満の低い周波数帯では提供していないことから屋内には弱いのだろうと考えられる。
実際にどの程度の速度が出るのかを速度測定サービス「Speedtest.net」を使用して測定したところ、下りは15Mbps以上を記録することが多く、上りは5Mbps未満となることも多かった。下りのトップスピードは理論値から考えるとそれほど速くはないものの、平均して実用的には十分に使える速度は出ていた。一方で、上りは遅さを感じることも少なくはなかった。通信速度はモバイルWi-Fiルーターを経由してスマートフォン「OPPO N1」でSpeedtest.net のアプリを利用して測定しており、TD-LTE対応のスマートフォンで直接測定するより速度が出にくくなるため、その点は注意して欲しいおきたい。
サービスエリアについて中国移動のTD-LTEは人の混雑が激しい北京首都国際空港や華強北電子街のようなスポットにおいても、安定して快適に通信することができた。というのも、これまでに何度か中国に渡航しているが、通信環境には毎回悩まされていたからのである。国際ローミングや現地のSIMカードで使うとすれば、中国聯通(China Unicom)のW-CDMAおよびGSM、もしくは中国移動のGSMを使う機会が多くなると思われる。中国聯通はW-CDMAを拡張したパケット通信規格のHSPA+であれば快適に使える場合もあるが、そのようなエリアは決して多くなく、また、GSMに至っては実用的とは言い難いくらいに遅い。そんな中、TD-LTEはエリア面でも速度面でも実用的に使えるレベルであることは非常に嬉しく感じる。
中国移動はTD-LTEの商用サービスを始めるにあたり、長期に渡るトライアルの実施などを行い、十分すぎるほどの準備をしてきた。また、商用サービスの開始前からTD-LTE対応端末のラインナップを充実させたり、商用サービスの開始と同時に新たなブランド名である「and」の展開をしたりというように、中国移動がTD-LTEに集中して取り組んでいることが見て取れる。実際に中国移動のTD-LTEを使用してみると、入念な準備の成果が出ていることを実感した。通信速度はともかくエリアや対応機種のラインナップは継続して拡充させる見通しで、中国渡航の際の通信手段としては心強いものになると考えている。
HUAWEI E5375には中国移動のSIMカードが挿入されており、中国当局によるSNS規制の対象となっている。そのため、FacebookやTwitterなどの一部SNSにはアクセスできないので、あらかじめVPNを契約するなどして対策しておく必要がある。
参考までに北京市および深圳市、東芫市における複数の地点でTD-LTE接続時に測定した通信速度の結果を掲載しておく。測定アプリケーションは先ほどと同様にSpeedtest.netを使用し、各地点で3回ずつ応答速度と通信速度を測定している。
測定地点 | 1回目 | 2回目 | 3回目 |
北京首都国際空港 ターミナル2 | ping 21ms 28.46Mbps/8.09Mbps | ping 25ms 31.64Mbps/8.20Mbps | ping 29ms 29.78Mbps/8.27Mbps |
北京首都国際空港 ターミナル3 | ping 33ms 9.08Mbps/3.48Mbps | ping 50ms 9.56Mbps/6.29Mbps | ping 27ms 8.62Mbps/3.99Mbps |
北京地下鉄 三元橋駅 | ping 63ms 6.28Mbps/1.12Mbps | ping 41ms 10.46Mbps/1.38Mbps | ping 41ms 12.89Mbps/2.00Mbps |
798芸術区 | ping 80ms 14.88Mbps/1.42Mbps | ping 32ms 12.99Mbps/2.67Mbps | ping 49ms 5.87Mbps/0.25Mbps |
北京東隅 | ping 31ms 15.43Mbps/8.24Mbps | ping 33ms 12.45Mbps/8.89Mbps | ping 59ms 11.36Mbps/6.67Mbps |
深圳宝安国際空港 | ping 97ms 37.51Mbps/4.22Mbps | ping 63ms 37.30Mbps/3.86Mbps | ping 68ms 26.61Mbps/6.01Mbps |
邁科龍大廈 | ping 75ms 25.91Mbps/1.10Mbps | ping 95ms 22.17Mbps/1.23Mbps | ping 44ms 22.18Mbps/0.96Mbps |
深圳地下鉄 世界之窓駅 | ping 51ms 32.25Mbps/4.44Mbps | ping 48ms 31.37Mbps/3.74Mbps | ping 56ms 33.22Mbps/5.68Mbps |
城市客桟 | ping 54ms 13.13Mbps/1.10Mbps | ping 41ms 15.86Mbps/0.27Mbps | ping 41ms 17.06Mbps/0.07Mbps |
深圳地下鉄 華強路駅 | ping 36ms 25.03Mbps/6.34Mbps | ping 40ms 16.31Mbps/5.67Mbps | ping 78ms 37.79Mbps/3.83Mbps |
華強電子世界 | ping 52ms 27.74Mbps/7.18Mbps | ping 38ms 33.90Mbps/6.38Mbps | ping 41ms 30.98Mbps/4.30Mbps |
深圳地下鉄 深圳駅 | ping 92ms 11.78Mbps/4.72Mbps | ping 68ms 8.20Mbps/6.67Mbps | ping 79ms 14.93Mbps/4.72Mbps |
深圳湾口岸 | ping 69ms 15.60Mbps/1.63Mbps | ping 100ms 7.51Mbps/6.41Mbps | ping 91ms 12.20Mbps/5.97Mbps |
羅湖口岸 | ping 56ms 15.02Mbps/2.27Mbps | ping 98ms 19.01Mbps/0.59Mbps | ping 76ms 20.64Mbps/2.33Mbps |
烏沙第六工業区 | ping 45ms 21.83Mbps/5.75Mbps | ping 45ms 20.01Mbps/3.26Mbps | ping 44ms 12.72Mbps/1.13Mbps |
記事執筆:paopao0128
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