108円(写真=左)と1,100円(写真=右)のmicroUSBケーブルをガチンコ比較

スマートフォンやタブレットに限らず、最近では音楽プレーヤーやデジタルカメラでも幅広く活用されるようになった「microUSBケーブル」。安いものから高いものまでさまざまな製品が販売されており、最近では100円ショップなどでも見かけるようになりました。一方で電気店には、急速充電対応などさまざまな差別化をうたったケーブルが販売されています。こうなってくると100円ショップの安いケーブルと、電気店で販売されているケーブルがどの程度違うのかが俄然気になってきますね。

そこで、今回の連載「スマホのちょっと深いとこ」では、さまざまな価格帯のmicroUSBケーブルを自腹で買い集め、機器へ給電中の電圧・電流を測定することで違いを探っていきます。意外な結果に驚くかも!?

【今回検証するケーブルと測定方法の説明】

最初に今回検証するケーブルを紹介します。まず安いほうは、100円ショップ「ダイソー」で販売されていたmicroUSBケーブル3種類。価格は(100円ショップなので)いずれも108円(税込)です。通常のケーブルのほか、カールしているものとリール式のものがありました。

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100円ショップケーブル3種類。価格は申し分ないが性能はどうか

これを迎え撃つ高級品(?)陣営は、バッファローとオウルテックの2種類。バッファローは「スマートフォンケースに干渉しない」が売りのスリムタイプで586円(税込)(*1)、オウルテックは2.4A急速充電対応とうたわれた充電専用(=データ通信はできない)タイプで1,100円(税込)(*1)です。

*1: バッファローとオウルテックのケーブル価格は、ヨドバシカメラマルチメディア札幌における2014年4月24日現在のものです。

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バッファローとオウルテックのUSBケーブル。電気店出身の意地を見せるか
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太さも質感もさまざま(上からオウルテック、バッファロー、100円ショップケーブル)

今回はmicroUSBを用いた充電時の性能に着目し、さまざまな機器に電力を供給しているときの電圧・電流を測定します。測定に用いるのは上海問屋の電圧電流計「USB電流&電圧チェッカー DN-10140」です。

【108円組が意外と健闘、急速充電ケーブルは大電流で威力を発揮】

測定結果を下表に示します。使用した機器・充電器および機器のバッテリー残量を併せて記載しています。USB給電の電圧は基本的に5Vと決まっているため、ここでは主に電流に注目してみていきます。

No.   ダイソー1
(ノーマル)
108円
ダイソー2
(カール)
108円
ダイソー3
(リール)
108円
バッファロー
586円
オウルテック
1,100円
1 Nexus 7(2012)
+付属充電器
(電池10%)
5.13V 5.15V 5.13V 5.14V 5.15V
0.83A 0.83A 0.83A 0.64A 0.82A
2 ISW11SC
+PLANEX(*2)
(電池5%)
5.09V 5.07V 5.10V 5.11V 5.13V
0.92A 0.92A 0.95A 0.67A 0.90A
3 iPad (第3世代)
(*3)
+付属充電器
(電池70%)
5.00V 5.00V 5.02V 5.02V 5.00V
1.40A 1.47A 1.23A 0.84A 2.00A

*2: 形式はPLANEX PL-WUCHG03で、最大5V、2Aの供給が可能なタイプです。

*3: 市販のmicroUSB - Dockコネクタアダプタを用いて接続しました。

まず全体的な傾向として、バッファローのケーブルは電流量が他と比較して明らかに小さな値となりました(表青字部分)。スリムタイプでケーブルが他より細いことが悪影響を及ぼしていると考えられます。ケーブルもコネクターも細くて取り回しの良いケーブルですが、充電用としてはあまり向いていないようです。

一方で108円ケーブル3種は意外と健闘しました。電流量が1A以下の状況ならば、急速充電ケーブルともそれほど大差ない電流量を供給することができています。ケーブルの質感など価格相応にチープな印象ですが、こと電力供給に関して大きな問題を感じませんでした。

充電専用ケーブルが価格相応の真価を発揮したのはiPad充電時です。2A(表赤字部分)という電流の実測値は充電器のスペック上限となる2.1Aに近い値で、0.8~1.5A程度の他ケーブルに明らかな差をつけました。反面、電流が1Aを超えない状況においては他と大きな差はありませんでした。

なおiPadにおいては、100円ショップケーブルの中で比較的細いリール式が電流量1.23Aとなり、他2種(1.40A、1.47A)より値が小さくなった(表緑字部分)ことにも注目すべきです。1Aを超えるような状況ではケーブルの品質が電流量に与える影響が大きいことを示唆しています。

【充電に与える影響が意外と大きいケーブルの差】

実験開始前は108円ケーブルの品質がもっと悪いと考えていたのですが、こと充電性能に関していえば健闘したといえます。一方で充電性能に最適化されたケーブルは、電流量が1Aを超えるような大電流の状況で効果があることが確認されました。

しかしながら、(充電性能に重きを置いた製品ではなかったといえ)家電店で販売されているケーブルが108円ケーブルより充電性能が劣る場合があることも示されました。単純に高ければ安心、電気屋で買っておけば安心ということでもなさそうです。

電圧電流計がないと判断が難しい面もありますが、特に大電流での充電となるタブレットにおいて充電が遅い場合にはケーブルも疑ってみる必要がありますね。

なお、本記事は特定のUSBケーブルの使用を推奨するものではありません。100円ショップで販売されているケーブルはやはり価格相応の品質であることが想定されるため、使用は自己責任でお願いします。


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