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ついにiPhoneに続いてNTTドコモがApple製タブレット「iPadシリーズ」の取り扱いを開始するのに当たり、先日、NTTドコモからiPad向けにキャリアアップデート(Version 16.2)が配信された。

これを適用すると、海外向けに販売されているSIMフリーのiPadでもNTTドコモの回線を利用した仮想移動体通信事業者(MVNO)によるモバイルサービスのSIMカードを挿した状態でテザリング利用が利用できなくなる現象が発生している。上記写真は実際に試してみたところ。

SIMフリーのiPadにNTTドコモが今回配信したキャリアアップデートを適用した状態でのテザリングについては、NTTドコモのMVNOとしてサービスを展開しているIIJの動作確認が詳しいのでまずは紹介する。




キャリアアップデートによって、MVNOのSIMカードを使ったテザリングが利用できなくなったのは、NTTドコモが6月10日から「iPad Air」および「iPad mini Retinaディスプレイモデル」の販売開始するにあたり、同社の提供するISPサービス「spモード」でのみテザリングを可能とするように、アップデートで仕様変更を行った結果と予想される。

Apple製品のアップデートによって、従来利用可能だった機能が利用できなくなった例としては、iOS 6.1へのアップデートでも従来は利用可能だったNTTドコモ回線でLTE接続ができなくなった事例がある。

その他にも、NTTドコモからも販売されている「iPhone 5s」および「iPhone 5c」の両モデルについては、SIMフリー版を含めて、MVNOキャリアでのテザリングが利用できなくなっており、Apple製品を取り扱うMNOキャリアの状況によって、MVNOキャリアでの利用が制限される事例があった。

現時点でSIMフリー版のiPad Airを使っているユーザがアップデートによってテザリングを利用できなくなってしまうのは不便だし、SIMフリーモデルをMVNOサービスで使っているユーザーとしては、NTTドコモからiPadが発売されても特にメリットがあるわけではないので、この点については、任意のAPN(アクセスポイント)でテザリングが可能になるなど、iPadを販売するキャリア以外のネットワークを利用した際にも使いやすくなるように改善があれば、ユーザーとしては有り難いのにとは思う。

iPadでMVNOキャリアのテザリングが利用できなくなった今回の問題は「端末の販売元が動作保証をしていないMVNOの回線での利用」については、一部機能が制限されたり、通信自体ができなくなる可能性がゼロではないというリスクが実際にユーザーに影響のある形で現れたものと思う。

ちなみに、MNOであるNTTドコモのmopera Uでもテザリングが利用できなくなっている模様。

MVNOキャリアを使うことによって発生する機能の制限については、MVNOのデータ回線のうち、SMSに非対応となっている回線を利用した際に、スマートフォンの電池の減りが早くなったり、電波強度が正しく表示されない「セルスタンバイ問題」と呼ばれる現象があり、この問題に対応するためにMVNO各社がデータ通信サービスでもSMS対応をオプションとして提供するなどの流れがある。

セルスタンバイ問題については、IIJのエンジニアによる記事「てくろぐ: アンテナピクト問題・セルスタンバイ問題とは何か」が詳しいので紹介しておく。

そんなわけで、SIMフリー製品の選択肢の広がりであったり、MVNOによる格安回線の選択肢が広がりつつあることは個人的には歓迎だし、今後も広まっていくものとは思うけれど、通信キャリアが動作保証をしていない機種については、今後も一部機能が使えなくなるなどの問題が発生するリスクがあるという点は認識しておいた方が良いかなと思う次第だ。

記事執筆:shimajiro@mobiler


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SIMフリーのiPad、ドコモのキャリアアップデート適用でMVNOでのテザリングが利用不可に | shimajiro@mobiler

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