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プリペイドSIMカードを販売する台湾之星ブース |
台湾の移動体通信事業者「台湾之星電信(Taiwan Star Telecom)」(以下、台湾之星)は2014年8月25日よりブランド名を「台湾之星」および「T STAR」として正式に移動体通信サービスを提供している。
台湾で最も新しい移動体通信事業者となった台湾之星は台湾桃園国際空港(TPE)において訪台外国人を対象にプリペイドSIMカードをTaiwan Card(台湾卡)として販売を開始した。今回、台湾之星のプリペイドSIMカードを台湾桃園国際空港で購入したのでレポートをお伝えする。
◯ターミナル2の制限区域にブースを設置
台湾之星ブースは台湾桃園国際空港ターミナル2の国際線制限区域内に設置されているため、入国審査前にプリペイドSIMカードを購入することになる。入国審査場の手前にブースを構えているため、入国審査場の方向に向かえば簡単に見つけられる。
ターミナル1に到着した場合はスカイトレインを利用して入国審査前にターミナル2へ移動可能で、ターミナル1に到着した便で預け荷物がある場合はターミナル1の入国審査場を抜けて預け荷物を受け取らなければならないので、プリペイドSIMカードを購入してからターミナル1に戻る必要がある。
なお、入国後は制限区域内に戻れないが、台湾之星は市内のショップでもプリペイドSIMカードを販売しており、市内に出てから購入することも可能だ。
◯料金プランは6種類を用意
台湾桃園国際空港のブースではプリペイド向けのプランのみを扱っており、プランはA~Fの6種類を用意している。台湾之星のプラン一覧は下記の通りである。

台湾之星ブースに掲載されているプラン一覧。割引前の価格に打ち消し線を引いて割安感をアピールしている。なお、割引前の価格は無制限にデータ通信を利用できる日数×99台湾ドル+初期残高の合計で計算されている。
いずれのプランもデータ通信量は無制限となっており、テザリングの利用も可能である。プリペイドSIMカードに含まれる初期残高は通話やSMSに利用できる。
台湾之星は空港限定でSIMカード代を0台湾ドルと謳っており、支払総額は各プランの販売価格のみとなる。プリペイドSIMカードには10MB分のデータ通信が付属するため、無料で10MB分のデータ通信を利用できると宣伝している。0台湾ドルや無料を重ねて強調することで、訪台旅行者の目に留まりやすくする狙いがあると考えられる。
音声通話やSMSを利用して初期残高を使い切った場合はトップアップを購入する必要があり、トップアップは市内の台湾之星のショップやコンビニエンスストアで購入できる。トップアップを取り扱うコンビニエンスストアはセブン-イレブン(7-11)およびファミリーマート、ハイ・ライフ、OKマートとなっている。
なお、台湾桃園国際空港の台湾之星ブースでは300台湾ドル単位でトップアップを販売しており、300台湾ドル分の音声通話やSMSに充てられる。利用シーンを想定して初期残高を使い切りそうであれば、プリペイドSIMカードを購入する際にトップアップも購入しておけば後からトップアップを購入する手間が省け、残高を気にすることなく安心して利用できるだろう。ダイヤル画面から123に発信すると自動音声案内が流れるので、それに従って残高や有効期限を確認できる。
筆者は滞在日数が3日であったためプランAを選択した。国際線制限区域内のブースだけあって主に訪台外国人を対象としているため、パスポートの提示だけでスムーズに購入できた。APNの設定はスタッフが行ってくれるため、特にユーザ側で心配することはない。設定されたアクセスポイント(APN)は下記の通りである。なお、internet以外のAPNでも利用できる場合がある。
◯3Gサービスのみ利用可能
台湾之星は900MHz帯(Band 8)のLTE方式と2.1GHz帯(Band I)のW-CDMA方式を使用して移動体通信サービスを提供している。LTE方式は4Gとして、W-CDMA方式は3Gとして展開しているが、プリペイドSIMカードでは3Gのみを利用できる。
高速な通信を実現する4Gを利用できないことは残念であるが、3Gでは世界で最もメジャーな2.1GHz帯のW-CDMA方式を使用しているため、多くの端末で台湾之星の3Gネットワークを利用できる。購入時にはテスト用のSIMカードを挿入して動作確認も行ってくれるため、通信方式や周波数について特に心配する必要はない。
◯威寶電信の名残も
台湾桃園国際空港の台湾之星ブースで購入したプリペイドSIMカードは台湾之星のデザインではなく威寶電信(Vibo Telecom)のデザインとなっていた。威寶電信は台湾之星に統合された移動体通信事業者で、現在は存在していない。
台湾之星は周波数オークションを経てLTE用の周波数を獲得したが、3G用の周波数を保有しておらず、威寶電信を統合した経緯がある。威寶電信時代に発行されたSIMカードが余っているために、台湾之星となった今もなお威寶電信のデザインのSIMカードが販売されているのである。
威寶電信のデザインのSIMカードはMini SIM (2FF)サイズのみであるため、Micro SIM (3FF)サイズまたはNano SIM (4FF)サイズの端末を利用する場合はSIMカッターでプラスチック部分を切断する必要がある。切断はスタッフが行ってくれるので、すべてスタッフに任せておいた方が無難である。威寶電信のデザインのSIMカードがなくなり次第、台湾之星のデザインに置き換わると思われる。
また、端末からは接続先の移動体通信事業者を確認できるが、端末によっては台湾之星またはT STARではなく威寶電信またはVibo Telecomと表示されることもある。これも台湾之星となる前は威寶電信であったためで、威寶電信の名残と言える。
◯エリアと速度は不満が残る結果に
台湾之星のネットワークを利用していると、不満を感じる部分が少なくなかった。エリアについては奥まった屋内や郊外を移動中に圏外となることがあったほか、データ通信はHSPA+方式を利用可能で、下りの速度は安定して実用的に使える速度は出ていたものの、上りの通信速度が遅いため、SNSへの画像のアップロードなどでストレスを感じることが多かった。したがって、大容量のファイルを送信する場合は厳しいことも想定できる。
台湾では他社のプリペイドSIMカードで他社のネットワークを利用したこともあり、総合して評価すると現時点で台湾之星はネットワーク面で劣っているとの印象を受けた。行動範囲や用途によっては他社を選択する必要もあるだろう。台湾之星は4Gの開始と同時に台湾之星のブランドで移動体通信サービスを正式に開始しており、威寶電信時代の3Gよりも4Gの展開に注力している。そのため、台湾之星の4Gを利用できるプリペイドSIMカードが登場することに期待したい。
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台湾之星ブースは台湾桃園国際空港ターミナル2の国際線制限区域内に設置されているため、入国審査前にプリペイドSIMカードを購入することになる。入国審査場の手前にブースを構えているため、入国審査場の方向に向かえば簡単に見つけられる。
ターミナル1に到着した場合はスカイトレインを利用して入国審査前にターミナル2へ移動可能で、ターミナル1に到着した便で預け荷物がある場合はターミナル1の入国審査場を抜けて預け荷物を受け取らなければならないので、プリペイドSIMカードを購入してからターミナル1に戻る必要がある。
なお、入国後は制限区域内に戻れないが、台湾之星は市内のショップでもプリペイドSIMカードを販売しており、市内に出てから購入することも可能だ。
◯料金プランは6種類を用意
台湾桃園国際空港のブースではプリペイド向けのプランのみを扱っており、プランはA~Fの6種類を用意している。台湾之星のプラン一覧は下記の通りである。
プラン名 | 有効日数 | データ通信 | 初期残高 | 販売価格 |
A | 3日 | 無制限 | 100台湾ドル分 | 250台湾ドル |
B | 5日 | 無制限 | 50台湾ドル分 | 250台湾ドル |
C | 5日 | 無制限 | 300台湾ドル分 | 450台湾ドル |
D | 7日 | 無制限 | 120台湾ドル分 | 450台湾ドル |
E | 10日 | 無制限 | 100台湾ドル分 | 450台湾ドル |
F | 30日 | 無制限 | 500台湾ドル分 | 750台湾ドル |

台湾之星ブースに掲載されているプラン一覧。割引前の価格に打ち消し線を引いて割安感をアピールしている。なお、割引前の価格は無制限にデータ通信を利用できる日数×99台湾ドル+初期残高の合計で計算されている。
いずれのプランもデータ通信量は無制限となっており、テザリングの利用も可能である。プリペイドSIMカードに含まれる初期残高は通話やSMSに利用できる。
台湾之星は空港限定でSIMカード代を0台湾ドルと謳っており、支払総額は各プランの販売価格のみとなる。プリペイドSIMカードには10MB分のデータ通信が付属するため、無料で10MB分のデータ通信を利用できると宣伝している。0台湾ドルや無料を重ねて強調することで、訪台旅行者の目に留まりやすくする狙いがあると考えられる。
音声通話やSMSを利用して初期残高を使い切った場合はトップアップを購入する必要があり、トップアップは市内の台湾之星のショップやコンビニエンスストアで購入できる。トップアップを取り扱うコンビニエンスストアはセブン-イレブン(7-11)およびファミリーマート、ハイ・ライフ、OKマートとなっている。
なお、台湾桃園国際空港の台湾之星ブースでは300台湾ドル単位でトップアップを販売しており、300台湾ドル分の音声通話やSMSに充てられる。利用シーンを想定して初期残高を使い切りそうであれば、プリペイドSIMカードを購入する際にトップアップも購入しておけば後からトップアップを購入する手間が省け、残高を気にすることなく安心して利用できるだろう。ダイヤル画面から123に発信すると自動音声案内が流れるので、それに従って残高や有効期限を確認できる。
筆者は滞在日数が3日であったためプランAを選択した。国際線制限区域内のブースだけあって主に訪台外国人を対象としているため、パスポートの提示だけでスムーズに購入できた。APNの設定はスタッフが行ってくれるため、特にユーザ側で心配することはない。設定されたアクセスポイント(APN)は下記の通りである。なお、internet以外のAPNでも利用できる場合がある。
APN名 | 任意の名前(例:T STAR Internet) |
APN | internet |
ユーザ名 | 空欄 |
パスワード | 空欄 |
MCC | 466 |
MNC | 89 |
◯3Gサービスのみ利用可能
台湾之星は900MHz帯(Band 8)のLTE方式と2.1GHz帯(Band I)のW-CDMA方式を使用して移動体通信サービスを提供している。LTE方式は4Gとして、W-CDMA方式は3Gとして展開しているが、プリペイドSIMカードでは3Gのみを利用できる。
高速な通信を実現する4Gを利用できないことは残念であるが、3Gでは世界で最もメジャーな2.1GHz帯のW-CDMA方式を使用しているため、多くの端末で台湾之星の3Gネットワークを利用できる。購入時にはテスト用のSIMカードを挿入して動作確認も行ってくれるため、通信方式や周波数について特に心配する必要はない。
◯威寶電信の名残も
台湾桃園国際空港の台湾之星ブースで購入したプリペイドSIMカードは台湾之星のデザインではなく威寶電信(Vibo Telecom)のデザインとなっていた。威寶電信は台湾之星に統合された移動体通信事業者で、現在は存在していない。
台湾之星は周波数オークションを経てLTE用の周波数を獲得したが、3G用の周波数を保有しておらず、威寶電信を統合した経緯がある。威寶電信時代に発行されたSIMカードが余っているために、台湾之星となった今もなお威寶電信のデザインのSIMカードが販売されているのである。
威寶電信のデザインのSIMカードはMini SIM (2FF)サイズのみであるため、Micro SIM (3FF)サイズまたはNano SIM (4FF)サイズの端末を利用する場合はSIMカッターでプラスチック部分を切断する必要がある。切断はスタッフが行ってくれるので、すべてスタッフに任せておいた方が無難である。威寶電信のデザインのSIMカードがなくなり次第、台湾之星のデザインに置き換わると思われる。
また、端末からは接続先の移動体通信事業者を確認できるが、端末によっては台湾之星またはT STARではなく威寶電信またはVibo Telecomと表示されることもある。これも台湾之星となる前は威寶電信であったためで、威寶電信の名残と言える。
◯エリアと速度は不満が残る結果に
台湾之星のネットワークを利用していると、不満を感じる部分が少なくなかった。エリアについては奥まった屋内や郊外を移動中に圏外となることがあったほか、データ通信はHSPA+方式を利用可能で、下りの速度は安定して実用的に使える速度は出ていたものの、上りの通信速度が遅いため、SNSへの画像のアップロードなどでストレスを感じることが多かった。したがって、大容量のファイルを送信する場合は厳しいことも想定できる。
台湾では他社のプリペイドSIMカードで他社のネットワークを利用したこともあり、総合して評価すると現時点で台湾之星はネットワーク面で劣っているとの印象を受けた。行動範囲や用途によっては他社を選択する必要もあるだろう。台湾之星は4Gの開始と同時に台湾之星のブランドで移動体通信サービスを正式に開始しており、威寶電信時代の3Gよりも4Gの展開に注力している。そのため、台湾之星の4Gを利用できるプリペイドSIMカードが登場することに期待したい。
記事執筆:田村和輝
■関連リンク
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