Avastが4つの脅威に対応する製品を紹介! |
チェコ共和国・プラハに拠点を置くソフトウェア会社のAvast Software(アバストソフトウェア、以下、Avast)は6日、記者向けにパソコン(PC)のアプリやハードウェア等に関する調査レポート「Avast PC Trends Report」を紹介する発表会を実施し、今後の日本国内における事業戦略について説明を行った。
登壇したAvast 最高技術責任者(CTO)のオンドレイ・ヴルチェク氏は競合するセキュリティーベンダーとAvastの違いを「グローバル各地で4億以上を越えるユーザー数であり、これは他の競合が追いつけないところ」と話す。これには競合する「AVG」を買収したことで、それぞれが得意とするエリアのシェアを獲得している。4億ユーザーの内訳は、PCが2億5500万ユーザー、モバイルが1億5600ユーザーだという。
北米では5800万ユーザーがいる一方で、日本は470万ユーザーであり、AvastおよびAVGの普及率が低いと認識しており今後この数字を伸ばして行きたいという考えだ。今回はAvastの拡大するマルウェアの脅威とAvastの日本での事業戦略についてレポートしていく。
Avast CTOのオンドレイ・ヴルチェク氏
マルウェアの数は年々増加しており、デスクトップが5億8500万件と増加しているのに合わせてモバイルも1700万件もあり、モバイルのマルウェアが急加速しているとオンドレイ・ヴルチェク氏は話す。これはモバイルのユーザー数の増加にあわせて、それをターゲットにするようになったと説明。今回の調査レポートでは4つの脅威があることを紹介している。
2016年における一番多かった脅威が「ランサムウェア」。ランサムはユーザーのデータに攻撃を仕掛けて、暗号化やデータの削除などをするプログラムで、2016年だけでも150もの出現があったという。
同社では1億3000万もの攻撃をブロックしているとのことだ。なお、2016年で見られるようになったのが「Doxing(ドクシング)」と呼ばれるもので、攻撃者はファイルを削除するのではなく、ファイルをインターネット上に公開してしまうのだという。
また、新たに「IoTデバイス」を狙ったものも急増している。IoTデバイスにはセキュリティー対策が施されていないものもあり、セキュリティーリスクが非常に高いと話す。昨年はIoTデバイスを乗っ取り、TwitterやAmazon、Googleなどが攻撃を受けたのだという。
日本ではどうだろうか。日本におけるデバイスのぜい弱性は、スマートデバイス全体の17.4%が1つのぜい弱性があり、ハッカーによってハイジャックされたことがわかったとのこと。また、Webカメラは25.3%、プリンターは12.4%であるという。
そして最もぜい弱性が高いのはルーターで41.5%。ルーターを持っていることも知らない、なにをやるものなのかも知らないというユーザーもいるのだとか。攻撃者はルーターをハイジャックし、接続するすべてのデバイスをコントロールする。このように、ルーターのセキュリティーを高めることが重要である。
その他、多くの企業や多くのブランドがハッキングされ、ユーザーのデータが盗まれるということが起きている。このことからユーザーは同じパスワードを流用することのリスクが高いことを説明。
個人情報に関わる部分では、日本のユーザーの20%が使用するユーザーパスワードが弱いことを指摘。また、Webブラウザーにパスワード情報を保存しているユーザーが80%もいるのだという。このリスクは、パスワードデータを容易に盗み出すことが可能となる。複数のサービスでのパスワードの流用はリスクが高いことを改めて訴えた。
古いソフトウェアのぜい弱性についても指摘。日本では「Java」や「Adobe Shockwave」などが更新されないままであるとのこと。古いソフトウェアはぜい弱性が明らかとなっており、セキュリティーリスクが非常に高いと指摘した。
今年初旬にリリースした「Avast 2017」では、今回指摘した問題に対処していると話す。強固なランサムウェア保護を強化、そしてWi-FiインスペクターでIoTデバイスのぜい弱性をスキャンし発見、パスワードに関してはユーザーフレンドリーに複数のパスワードを展開できる機能を装備、インストールされている主要なソフトウェアタイトルをアップデートする機能をもつ。現在はWindows PCバージョンのみだが、夏にはMacバージョンもリリース予定とのこと。
AVGの製品「AVG 2017」もリリース。UIと機能構成が多少異なるが、同じプラットフォーム同じエンジンで展開。こちらもMacバージョンは夏を予定している。AVGを買収後も2製品に別れている理由として、同製品を使用しているユーザー向けという側面と、ユーザーが多い地域に対応するためだと言う。
モバイルでもランサムウェアの検体が発見されておりリスクが高まっているとし、アバスト モバイル製品は全ての脅威に対応していると話す。モバイルプラットフォームでは、様々なアプリケーション展開を行っており、ユーザーが機能を選んで使えるようにしているとのこと。さらに、セキュリティー製品だけではなく、パフォーマンスアップ製品やライフハックなど様々な製品を用意していると紹介した。
モバイルのセキュリティーはセキュリティーアプリのインストールだけでは不十分な部分があると説明し、新たな取り組みとしてQualcommとの協業により、チップセットレベルでセキュリティーを実現しているとのことだ。さらにモバイルのキャリアとの協業でモバイルのエージェントなしでペアレンタルコントロールなどを実現する。これは既にアメリカでは実現しており、今後日本でも実現したいという構えだ。
最後に、日本市場向けの戦略として日本法人の設立を皮切りに、テクニカルサポートやコンタクトセンサーによるカスタマーサポートを行っていく。フリーミアムのセキュリティー製品のほかに、このカスタマーサポートが利用できる有料プランを展開し、コンシューマー向けビジネスに注力していくことを明らかにした。
記事執筆:mi2_303
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