VerizonがYoutubeとNetflixを視聴時に速度制限!

アメリカの携帯電話会社で最大手であるVerizon Wireless(以下、ベライゾン)が動画配信サービス「YouTube」や「Netflix」を視聴している間だけ通信速度が遅くなったと感じたことを発端として、IT系メディア「Ars Technica」がベライゾンに確認したところ実際に制限がかけられていることが明らかになりました。

ベライゾンによると、新しいビデオ最適化システムを使用していると認めましたが、テストは一時的であり、ビデオ視聴時の品質には影響しないと述べたとのこと。

なお、現時点でこの動画視聴の回線速度最適化は、無制限プランと容量制限ありのプランどちらにも適用されているようです。

【速度測定で明らかに違うことが判明】

ベライゾンの利用者はこの疑惑を検証するため、まずネットワーク速度測定で有名な「Speedtest.net by Ookla」とNetflix謹製の速度測定ツールである「fast.com」を使って速度を測定しました。

すると、Speedtest.netを使ったテストでは、82Mbpsほどの速度が出るのに対し、fast.comでは10Mbps程度しか速度が出なかったことが確認されました。

確かに動画視聴時に10Mbpsほど出ていれば、ベライゾンが言うように動画視聴には大きな影響は出ないように思えます。NetflixにはUltra HDと呼ばれる画質モードが存在し、これには回線速度は25Mbpsほどの速度が必要とされていますが、こちらはスマートフォン(スマホ)向けには提供されておらず、パソコン(PC)などでしか視聴できません。

スマホからNetflixを視聴する際は最高画質であっても7Mbps程度の速度が出ていれば十分とされているため、10Mbpsなら難なく視聴することができるはずです。

しかしながら、これは携帯電話会社側がユーザーの通信先を確認してそれに応じて速度制限をしているわけですから、ユーザーの通信を傍受していると見て取れます。

【日本でも中立性と秘匿性の問題が続いている】

日本でも最近は仮想移動体通信事業者(MVNO)などによる格安SIMで提供されている「カウントフリー」サービスなどでも通信の秘匿性が話題となっており、アメリカでは米国連邦通信委員会(FCC)が基本的に速度制限することを禁止するネットワークの中立性のルールを設けていますが、一部のビデオサービスに限って制限しても良いという例外措置が取られています。

しかし、ベライゾンは新しいデータ容量無制限プランを2月に発表した際にユーザーの通信については何も制御しないと述べていただけに、今回の措置に対してベライゾンの利用者は不満の声を挙げているようです。

こうした問題はつい最近、日本でも発生していました。日本の携帯電話会社は通信の最適化と称してユーザーの通信内容を加工し、本来であれば高画質で公開されている画像を再度圧縮して低画質な画像を表示させるといった施策を実施していました。

これは電気通信事業法第4条、第179条や電波法第59条、第109条に抵触するのではないかと非常に大きな物議を醸しました。

【ベライゾンは数日以内にテストを終了へ】

ベライゾンは「ネットワーク上のビデオアプリのパフォーマンスを最適化するためにここ数日間ネットワークテストを行ってきた。まもなくテストが完了する」と述べているとのことで、この施策はあくまでテストであって期間限定の物であると述べているようです。

ビデオが視聴できなくなるくらい速度を落としているわけではないので、何ら問題ないといった主張が見え隠れしますが、通信設備を提供する通信事業者がユーザーの通信を傍受することは不安にもなりますし、気持ち悪くも思えます。

今回はテストだったと述べていますが、これがテストでなくなる日もあるのではないかと不安になりますし、仮にテストも含めて導入するのであれば案内を出して利用者に同意を求め、さらに設定でオフにできるようにしたりと慎重に進めて欲しいところではあります。

記事執筆:YUKITO KATO


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Verizon accused of throttling Netflix and YouTube, admits to “video optimization” | Ars Technica
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