nuroモバイルの「Xperia限定プレミアム帯域オプション」を徹底検証!

ソニーネットワークコミュニケーションズがNTTドコモから回線を借り入れて仮想移動体通信事業者(MVNO)として提供している携帯電話サービス「nuroモバイル」( http://mobile.nuro.jp )。いわゆる「格安SIM」の1つですが、ソニーグループを活かしてようやく11月28日よりソニーブランドのプレミアムスマートフォン(スマホ)「Xperia XZ Premium」の取り扱いを開始しました。

またこれと同時に同端末専用の通信回線オプション「Xperia限定プレミアム帯域オプション」の取り扱いも開始。一般的な通信契約では1つの帯域を複数のユーザーでシェアして利用しますが、Xperia限定プレミアム帯域オプションではユーザー専用の通信帯域が割り当てられ、混雑時でも快適な高速通信が利用できるというものです。

その仕組み上料金は高めとなり、オプション料金として別途月額2,000円が必要となりますが、それだけの価値は十分にあるというのが同社の見解です。基本料金自体は安く済むnuroモバイルなので、月額2,000円を上乗せしてもきちんと速度が出るのであれば、NTTドコモなどの移動体通信事業者(MNO)と比べても魅力があるとなる算段です。

そこで今回は、nuroモバイルのXperia XZ PremiumとXperia限定プレミアム帯域オプションにて、本当に通信速度は快適なレベルで利用できるのか、また月額2,000円の価値があるのかについて検証してみました。

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専用帯域の効果はいかほどに?(画像は公式Webサイトより引用)


■いざ、通信速度テスト開始!
今回テストに用いたのはnuroモバイルのXperia XZ Premium本体と通常プランのSIMカード(以下、通常SIM)、そしてXperia限定プレミアム帯域オプションのあるSIMカード(以下、プレミアムSIM)です。また通信速度テストにはアプリ版の「Speedtest.net」と「RBB SPEED TEST」の2つを使用しました。

計測場所は自宅や駅前など利用頻度の高い場所でアンテナ強度3~4本を確保できる地点を選択し、各3回計測。その中から平均的な数字のスクリーンショットを用いて解説します。

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通信速度テスト用アプリとしては定番の2つ


最初の計測は8時頃の自宅です。通勤・通学のラッシュタイムど真ん中であり、神奈川県内の郊外にある自宅と言えども1日の中でも特に通信状況の厳しい時間帯の1つです。

はじめに通常SIMの結果です。予想通りの苦しい通信回線状況となりました。下り回線ではかろうじて1Mbpsが出ていますが状況によっては1Mbpsを切る場合もあり、上り回線でも1Mbps前後しか出ていません。

LINEやTwitterといったSNSアプリやメールの送受信などは問題なく行えますが、YouTubeの動画再生などは若干厳しい速度です。

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1Mbpsは一般的なSNSアプリを利用する上での快適さの境界線とも言える


次にプレミアムSIMです。こちらは下り回線で常に30Mbps以上を計測しており、非常に快適な速度です。上り回線はSpeedtest.netの結果が常に高く出る傾向があり、どちらが正しい数字かは判断しかねます。

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30MbpsもあればTwitterで動画ツイートが大量に流れてきても快適に閲覧できる


次に10時頃の小田急線海老名駅改札前での計測結果です。この時間帯になるとラッシュタイムも終わり通信回線が一気に軽くなります。

通常SIMでも十分に快適な数字が現れており、混雑時間帯を避けて通信を利用できるユーザーであれば通常SIMで十分という印象です。今回の計測でもSpeedtest.netの上り回線速度は高く計測されました。

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通常SIMでこれだけ速度が出れば満足だ


プレミアムSIMではさらに速度が出ており、安心の下り60Mbps前後を常に出していました。Speedtest.netで上り回線速度が高く計測される傾向は変わっていません。

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アプリによる上り速度の計測結果のばらつきが気になる


■東京の大混雑にXperia限定プレミアム帯域オプションは耐えられるか!?
ここからが通信速度テストの真打ちです。場所を都内へ移し、12時台のJR秋葉原駅前にて計測しました。秋葉原は多数の路線が乗り入れ多くの人が行き交う都内でも有数の大混雑地点であり、昨今の飲食店ブームによってお昼時にはランチタイムのサラリーマンが大量に押し寄せてくる場所でもあります。

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今や電気街というよりも飲食街に近い秋葉原


通常SIMでは不思議な計測結果に。Speedtest.netによる計測では下り回線の速度が大きく落ち込む一方で上り回線は20Mbps以上と予想しなかった数字に。一方でRBB SPEED TESTでは下り速度で20Mbpsを記録し上り速度では予想の範囲内の数字となりました。

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ここまで真逆の計測結果になるとは


Speedtest.netの上り回線の計測値が高く出る傾向にあるとは言え、少々信頼性を疑わざるを得ません。しかし一方でRBB SPEED TESTが全面的に信用をおける数字であるかと言われると、以下のプレミアムSIMの計測結果のように上り回線速度が極端に低く出る傾向が多く、これはこれでなかなかに判断の難しいところです。

なおプレミアム回線の下り速度はどちらのアプリの計測でも80Mbps~100Mbps程度を計測しており、12時台という1日のうちで最も回線が混雑する時間帯とは思えない非常に快適な通信状況でした。

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回線速度テストアプリによって計測結果が大きく変わるのは困りもの


続いて17時台の秋葉原での計測です。帰宅ラッシュでごった返す中での計測でしたが通常SIMでの計測結果は予想通りの散々なもの。上り・下り回線ともに1Mbpsが限界で速度が出ません。しかし前向きに捉えるなら、混雑時間帯に0.1~0.5Mbps程度しか出ないようなMVNOも少なくない中で1Mbps前後を維持できているのはなかなかの健闘ぶりかもしれません。

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この計測値をひどいと捉えるか、それともMVNOとしては優秀と捉えるか


プレミアムSIMでは8時頃の通勤・通学ラッシュタイム同様に下り回線で30Mbps以上を常に出しており、非常に快適な速度を維持しています。上り回線の速度では例によってSpeedtest.netの計測結果が高く出ています。

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最後に20時30分頃のJR品川駅構内での計測結果です。品川駅は新幹線も乗り入れる巨大駅であり、ラッシュタイムの人の多さでは日本でもトップクラスです。20時30分頃はラッシュタイムのピークは過ぎていますが、インターネット利用におけるゴールデンタイムでもあり、人々が自宅や居酒屋などで通信回線を多く使う時間帯でもあるため、回線状況の非常に厳しい時間帯と言えます。

通常SIMでは17時台の秋葉原同様に厳しい速度結果に。上り回線・下り回線ともに1Mbps前後と低速で、SNS程度の利用ならなんとか使えるといった状況です。

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“MVNOらしい”通信速度の傾向だ


プレミアムSIMではこの時間帯でも下り回線で30Mbps台を維持しており、当然ながら十分に快適な速度で動画の視聴でも途切れることなく楽しめました。

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何の気兼ねもなく多くのオンラインサービスを快適に使える数字だ


■これぞ専用帯域!しかし要検討事項も……
以上、1日がかりで多数の通信速度テストを行いましたが、一部で怪しい数字が出ているものの傾向としては「Xperia限定プレミアム帯域オプションは十分に快適である」と結論づけて良いでしょう。特に混雑時間帯に下り回線で30Mbpsを安定して出している点は特筆に値します。

また本オプションには隠れたメリットとして「アゲ放題」がある点が挙げられます。アゲ放題とは上り回線をどれだけ使っても契約したデータ容量を消費しないというもので、Instagramなどが全盛の昨今、画像や動画のアップロードをどれだけ行っても通信容量を消費しない点は見逃せません。

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動画や画像を多くSNSへ投稿する人には大きな魅力だ


しかしここで気になるのは端末価格と料金プランです。Xperia限定プレミアム帯域オプションはnuroモバイルでXperia XZ Premiumを購入したユーザーのみが選択できるオプションプランとなっており、他社製スマホやNTTドコモなどから販売されている同型機では利用できません。

nuroモバイルではXperia XZ Premiumの価格を一括払いで99,800円、分割(割賦)払いなら初回5,819円+2,685円/月×35回(総額99,794円)としており、ハイエンド端末らしい高級機種となっています。

また前述のようにXperia限定プレミアム帯域オプションは月額2,000円で、端末代金とプレミアム帯域オプションおよび10分かけ放題のnuroモバイルでんわ(月額800円)を付けた「ベーシックプラン」なら各種割引も含めて1年目で月額3,980円となっていますが、2年目には月額5,980円、3年目には月額6,780円となり、MVNOとしてはかなり高額なプランとなります。

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Xperia限定プレミアム帯域オプションの追加料金分を高いと見るか、安いと見るか


NTTドコモのようなMNOの場合、MNPの利用や新規・継続利用などによっても料金が細かく変わるため一概には言えませんが、全体として料金はMNOよりは抑えられるものの月額1,000円前後から利用できる一般的なMVNOほどのインパクトはないというのが筆者の見解です。

さらにnuroモバイルでは10GBを超えるプランを用意していないため、MNO各社が用意する20GBや30GBといった超大容量プランに対応できない点も考慮すべき内容と言えます。

「MNOほどの最大通信速度は出ないが一般的なMVNO回線よりは遥かに快適」という通信速度と、「キャリアロゴの入っていないXperia XZ Premiumを比較的安価に利用できる」点、そして「アゲ放題」にどこまで魅力を感じられるのかが大きなポイントとなりそうです。

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ハイエンドXperiaと専用帯域の安心感に魅力を感じるなら「アリ」の選択肢だ




記事執筆:秋吉 健


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