エンタープライズ向けのRaspberry Pi向けOS「SUSE Linux Enterprise Server for ARM on the Raspberry Pi」が登場

エンタープライズ向けのLinuxディストリビューションとして有名なSUSEは1日(現地時間)、IoT(Internet of Things)製品を利用しているエンタープライズ向けに「SUSE Linux Enterprise Server for ARM on the Raspberry Pi」をリリースしました。

これはARMプロセッサー向け「SUSE Linux Enterprise Server for ARM」を「Raspberry Pi 3 Model B」用にカスタマイズした「SUSE Linux Enterprise Server 12 SP3」となっており、商用サポートがあるほか、IoT製品向けにされています。

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元々、SUSEはARMプロセッサー向けのSUSE Linux Enterprise Server for ARMを提供していましたが、今回、Raspberry Pi 3 Model B向けにカスタマイズして専用イメージとしてリリースされました。

Raspberry Piはもともと教育向けの製品としてリリースされていたことから非常に安価に手に入るため、現在では教育向け以外でも利用されています。また低価格だけでなく、低電力を実現しつつ、髙パフォーマンス、標準のI/Oポートを搭載していることから産業用デバイスにも十分に利用できます。

しかしながら、今まではあくまでオープンソースのディストリビューションしか利用できなかったため、ビジネス、特に産業用デバイスに利用するには信頼性や保守面で適していない部分がありました。

そんな中、SUSE Linux Enterprise Server for ARMがリリースされたことはエンタープライズユーザーにとって非常に大きな歓迎すべきニュースだと言えるでしょう。

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当然ながらSUSE Linux Enterprise Server for ARMを利用するにも、SUSE Linux Enterprise Serverを利用するのと同じく、サブスクライバー契約が必要となります。ライセンス費用は決して安いというわけではなく、Raspberry Piの価格と比べると雲泥の差です。

サブスクライバー契約の料金はスタンダードが1年間で103,550円、3年間で279,936円、プライオリティが1年間で194,270円、3年間で524,880円。スタンダードとプライオリティの違いはサポートの対応時間とレスポンスタイムで、ともにソフトウェア更新やサポート(24時間365日)は無制限に受けられます。なお、評価用として60日間は無料で利用可能。

一見、産業用にRaspberry Piを使うのは耐用性的にどうなのかという考えもありますが、Raspberry Pi本体の価格が安いので、壊れてもすぐに買い換えができるという考えで運用すると考えると、案外良い選択肢なのかもしれません。事実、Malavix informatiqueがSUSE Linux Enterprise Server for ARM on the Raspberry Piを実際に導入した事例が紹介されています。

当初は教育向けとしてリリースされていた製品がこんな展開になるとは、Raspberry Piは本当に面白いですね!なお、SUSEでは「Raspberry Pi」の最新製品で2018年モデルの「Raspberry Pi 3 Model B+」もサポートする計画があるとしています。



記事執筆:YUKITO KATO


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