ソフトバンクとhandyが資本・業務提携を発表!

ソフトバンクは2日、都内にて「IoTなどを活用した取り組みに関する今日共同記者会見」を開催し、ホテル設置型のスマートフォン(スマホ)レンタルサービス事業「handy」を展開しているhandy Japanとの資本および業務提携契約の締結を発表しました。

handyは2018年度中に日本国内のホテルの30%(約1700店舗)都内では約60%のホテルへの導入が予定されていますが、今回の提携はこの事業を加速させるものです。今回の業務提携によって両企業にもたらされるその他のメリットはどこにあるのでしょうか。発表会の模様とともに解説します。

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出張の多いサラリーマンであればホテルの部屋で見たことがあるかもしれない


■訪日外国人に焦点を合わせたサービス展開
handy Japanは2017年7月より日本国内で事業を開始し、約1年で日本全国・約1700のホテル、約24万室へhandyサービスを展開したことになります。ここ数年のインバウンド(来日外国旅行者)需要の急増や国内旅行者の増加、そしてモバイル端末による旅行案内の充実がhandyサービスを急速に広めた背景にあります。

handyサービスが単なるスマホレンタル事業と異なる点はホテルサービスや地域サービスとの連携です。handyが用意する端末からは宿泊しているホテルのチェックイン/チェックアウトや交通機関の予約、ホテルのスマートロック、ルームサービスやルームコントロール、ガイドマップなど、さまざまなサービスが端末1つで完結する仕組みです。

日本人であればこういったサービスの多くは自身が持つスマホや交通機関のサイトなどへアクセスすることで簡単に行えますが、日本語が読めない外国人にとって多言語対応されたhandyの端末内で全て行えるという高い利便性と日本のモバイル回線を無料で利用できるという点は大きなメリットとなります。

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handyは世界31言語に対応する


handy Japanはhandyサービスが2年目を迎えるにあたり「無料Wi-Fiに革命を」と銘打ち、handy全端末でホテルに設置されたWi-Fiスポットを利用した無料テザリングを展開すると発表しました。

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モバイル回線よりも快適な利用が行えそうだ


■handy Japanがチャレンジする3つの領域
またhandy Japanとして2年目に注力していく3領域として「Hotel IoT」、「Travel Agent」、および「Media」の3つを掲げ、Hotel IoTではこれまで行ってきたホテルサービスや交通機関の予約などの利便性をさらに追求していくとし、Travel Agentでは両校舎向けのエンターテインメントとして地域のテーマパークチケットの販売や交通・宿泊商品の販売、VRコンテンツの販売などが挙げられています。

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ビッグデータとAIの活用によって事業展開を拡大


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ホテル内で販売される予定のVRゴーグル。ディスプレイにはhandyのスマホを利用する


Mediaの分野では広告事業に注力するとし、handyのスマホ上でのデジタル広告の展開やデータビジネスなどで広告収入の増加と地域連携を深めていくとしています。

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広告収入はhandy Japanの大きな柱である


■全面的なバックアップ体制を取るソフトバンクの目論見
そして今回のソフトバンクとの資本および業務上の提携です。単なる業務提携や協業ではなく資本面からのバックアップを行うソフトバンクの戦略とはどこにあるのでしょうか。

ソフトバンク 代表取締役社長執行役員 兼 CEOの宮内謙氏が壇上で「ソフトバンクと一緒になると(事業規模が)一気に10倍くらいになる」と冗談を交えながら語ったことに、その答えに近いものがあるように思われます。

資本力も当然ですが、ソフトバンクが持つビッグデータ活用のノウハウやAI技術などはhandyの事業展開にとって非常に大きな戦力となります。またソフトバンクグループの多岐にわたる事業がhandy Japanの広告収入に大きな効果をもたらすことも間違いありません。

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ソフトバンク 代表取締役社長執行役員 兼 CEO 宮内謙氏


ソフトバンクとしてもメリットは多大です。日本のみならず世界展開を行っているhandy Japanとの提携は「ソフトバンクは世界のナンバーワン企業へ出資する」(宮内氏)と豪語するソフトバンクらしい選択であり、自社回線を卸すことで収益先を得るとともに、同社のグループ企業との連携や広告事業を通した顧客の囲い込みに利用できます。

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談笑するhandy Japan最高責任者 勝瀬博則氏と宮内謙氏


handyでは現在ドコモ回線などを利用したMVNOとして事業を行っていますが、これらのモバイル回線は今後ソフトバンク回線へ順次切り替えていくとしています。また今後配備されるhandy端末については全てソフトバンク回線となります。

ソフトバンクは質疑応答の場で「売上げというより、まずはマーケットシェアをどこまで取れるかを重視している」と繰り返し答えています。かつてソフトバンクがADSL事業やモバイル事業で行ってきたように、まずは利益よりもシェア獲得に注力し、その後徐々に収益力を伸ばしていく戦略をここでも採るものと思われます。

ホテルでのモバイル端末の無料貸し出しサービスという「ブルーオーシャン」だからこそ、まずは事業展開の拡大を急ぎ圧倒的なシェアを確保したいというのが両企業の共通した思惑のようです。

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ソフトバンクの全面協力によってhandy事業は大きく飛躍する




記事執筆:秋吉 健


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