Amazonプライム会費値上げからオンラインサービスのあり方について考えてみた!

筆者の下へ4月12日未明に訃報(?)が舞い込んできました。総合オンラインストア「Amazon.co.jp」( https://www.amazon.co.jp )の有料会員サービス「Amazonプライム」の会費が値上げされるというものです。

筆者は自他ともに認める重度のAmazon.co.jp(以下、Amazon)利用者であり、自称「アマゾニスト」というほどにAmazonのオンラインサービスを愛用しています。特にネット通販サービスへの依存度はかなり高く、最も多かった時期では年間300回、合計150万円分も利用していたことすらあります。

今回の会費値上げについてはこちらの記事に詳しいですが、年会費が従来の3,900円から4,900円に、月会費では400円から500円にそれぞれ値上げされ、年間では1,000円および1,200円の値上げとなります(金額は税込)。

現在のAmazonのサービスはネット通販のみならず電子書籍や音楽・映像配信、ストレージサービス、定期購入サービスとさまざまに幅を広げており、年間4,900円でも十分に安いと感じられるものですが、しかし突然の値上げだっただけに少々面食らったのは事実です。ましてや筆者ほど利用しない人々にとっては、あまり歓迎されない流れであろうことは十分に想像がつきます。

感性の原点からテクノロジーの特異点を俯瞰する「Arcaic Singularity」。今回はAmazonプライム会費の値上げから、ネット通販およびオンラインサービスのあり方や利用のポイントなどを考察します。

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年間4,900円は高い?安い?


■それでも日本はまだまだ安い?
Amazonプライム会費の値上げ自体は突然でしたが、そろそろ値上げされるのではないか、という憶測はかなり以前から飛んでいました。

米国AmazonにおけるAmazonプライム会費は過去に何度も値上げされており、直近では2018年5月に年会費が99ドルから119ドルへと引き上げられています。日本円にして13,000円以上にもなる年会費の高さに驚くばかりですが、日本のアマゾンジャパンは年会費(および月会費)を過去11年間据え置いてきたこともあり、破格の安さを維持していました。

物価や給与水準の差などもあり単純な比較はできませんが、値上げ後でもまだ米国Amazonの半額以下という安さを維持している点は良心的とも考えられます。

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11年間でAmazonプライムの適用サービスは膨大に増えた


一方で、その低価格を維持してきたことで少なからずサービスの質の低下があったことも事実です。

それまでのネット通販の世界では、送料を請求した上で注文した商品が発送されるのは1~3日後、到着は3~5日後、というのが当たり前でした。そこにAmazonは送料無料で即日~翌日配達という魔法のようなサービスを導入したのです。

この圧倒的な利便性から瞬く間に日本中に広がったAmazonは、2016年~2017年あたりにはその利用者数が増えすぎたことによる配送遅延や、理不尽とも言える低価格での宅配運賃契約なども重なり、配送業者からは悲鳴に近い内情の暴露が相次ぎました。

そのような状況を受けてAmazonとの契約を打ち切る宅配業者も現れ、Amazonでは配送業者の変更などが行われましたが、それによってサービスの質がさらに低下したと利用者からのクレームも増えていました。サービスの品質維持および向上のためにも、Amazonプライム会費の値上げは不可避であったのでしょう。

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Amazonは2017年にヤマト運輸との運賃値上げに合意している。Amazonが会費を上げずに利益を削り続けるにも限界はある(日本経済新聞より引用


■千載一遇のチャンスを得た他業者
Amazonがその人気からまさかの苦戦を強いられる中、大きなチャンスを得たネット通販サービスもあります。

例えばヨドバシカメラが運営するヨドバシ.comでは、Amazonに追従する形で配送料無料や即日配達などを強化し、同社が強みとしてきたポイント割引なども武器として着実にその評価を上げてきています。

とくに家電製品やデジタルデバイスの分野では、Amazonで中国系企業によるノーブランドの粗悪製品が増え、「本当に良い商品が見つからない」事態に陥りつつあることもあり、専門店ならではの「品質の安定した製品がすぐに見つかる」というメリットや、充実した保証サービスなどが再評価されつつあります。

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最近は食品や生活用品も充実し、Amazonに引けを取らない使いやすさと安さを実現している


楽天が運営する楽天市場もAmazonの苦戦に切り込んできたサービスでしょう。何かにつけてAmazonと比較されることの多い同サイトですが、楽天の場合は通販サイト自体の充実も然ることながら、楽天モバイルや楽天カード、楽天銀行など同社が展開する巨大経済圏を武器として利用者の囲い込みに成功した点は、Amazonにはない強みです。

その囲い込みの原動力は主にポイントサービスですが、楽天市場で貯めたポイントを楽天モバイルで契約しているスマートフォン(スマホ)の支払いに利用できるなど、柔軟なポイント活用が利用者から高い評価を得ています。

ポイント自体も同社のクレジットカードの利用やキャンペーンの適用などでかなりの還元率で獲得することができ、「楽天ポイントで楽天モバイルの月額料金が半額以下になる」という同社の謳い文句があながち嘘ではない数字となるほどです。

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楽天のサービスのみを使い続けるなら月間2000ポイント程度は余裕で貯められる。スマホの月額料金を全額ポイントで支払うことも十分可能だろう


■サービスのメリットを見極めて利用しよう
とは言え、Amazonプライムにしかないサービスの数々には十分な魅力があり、他社のサービスのみで完結できるものではないのも事実です。

とくにAmazonプライム・ビデオやAmazonプライム・ミュージックなどは日常利用している人も多く、Amazonフォトは容量無制限で利用できるフォトストレージとして重宝している人も多いでしょう。

Amazonプライムのメリットは、もはやネット通販の送料が無料になるという点ではないのかもしれません。さまざまなオンラインサービスを年額4,900円でまとめて受けられるサービスだと考えれば、その価値は十分に見合ったものではないでしょうか。

他社のネット通販サービスやオンラインサービスも台頭し、それぞれのメリットを比較しつつサービスを自由に選べる時代になったことを素直に喜びたいところです。

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便利だからと買い物のしすぎには注意しましょう


アマゾン タイムセール


記事執筆:秋吉 健


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