多くの来場者で賑わいをみせていた京セラのブース |
幕張メッセ(千葉県千葉市)にて2019年10月15日(火)から18日(金)の4日間に渡って開催されたIT関連の展示会「CEATEC 2019」において京セラのブースでは10を超える初出展品を揃え、多くの来場者で賑わいをみせていた。
今回は、そんな京セラブースに展示されていた初出展品の中から「MicroLEDディスプレイ」や「FIRカメラ」などのいくつかの注目したい展示をまとめて紹介する。
○5Gコネクティングデバイス
ブース内の5Gへの取り組みを紹介するコーナーでは、「5Gコネクティングデバイス」が展示されていた。この5Gコネクティングデバイスは、アンテナや基地局の類ではなく、5Gに対応した「端末」だ。展示はモックアップだったが、京セラが5G対応端末を展示するのは初。説明員によると、5Gコネクティングデバイスは、Wi-Fiルーターのようなものをイメージすると分かりやすいという。ルーターのように様々なデバイスを接続して、通信をするものだが、他のデバイスとの接続は、HDMIやUSB、Wi-Fi、Bluetoothなど汎用性を持たせたインターフェースを実装するという。
この5Gコネクティングデバイスを単体で販売するというわけではなく、企業などの導入先のニーズにあわせて開発を進めていくという。そのため、ひとまずは汎用的なインターフェースを搭載し、ニーズがないインターフェースは取り除いていくかもしれないということだ。
また、5Gの周波数帯においては、Sub-6GHz帯やミリ波帯に対応するほか、海外の周波数帯にも対応する予定とのこと。
○MicroLEDディスプレイ
展示されていたのは、1.8インチの小さなディスプレイモジュールだった。最大の注目点はその薄さだ。小型LED(MicroLED)を高性能LTPS基板上に実装し、薄型・軽量化を実現している。高輝度・広色域・長寿命・高速駆動が特長で、展示されていた開発品の1.8インチMicroLEDディスプレイは、256×256RGB・約20万個のLEDが搭載されているとのこと。
○FIRカメラ
FIRとはFar Infrared Radiationの略で、遠赤外線のこと。物体から放射される遠赤外線を映像化するため、光源に左右されることなく物体認識が可能。認識した物体は、白く表現され、通常のカメラでは捕らえきれないモノや人などを映像化できる。一般的な「赤外線カメラ」は、近赤外線を利用したものだが、FIRカメラは遠赤外線であることが大きな特長だ。
光源を必要としないため、天候や、日中・夜間といった異なる条件にも左右されることなく、物体を認識して映像化できる技術だという。活用方法としては、道路の監視や、車自体に搭載することも想定しているとのこと。
○糖質ダイエットモニタ
ジャイロセンサを用いた「橈骨動脈脈波(とうこつどうみゃくみゃくは)センサ」を搭載したデバイスで、脈波を測定・解析して糖代謝を推定する技術。今回のCEATEC 2009において、「CEATEC AWARD 2019 部門賞 スマートX部門」で準グランプリを受賞している。食後1時間程度を目安に橈骨動脈脈波センサを腕に8秒間当て、脈波の形を測定する。その測定から、糖質の摂取量や糖質の代謝を推測するのだという。
測定値や解析情報はスマホの専用アプリに表示され、日々の健康管理や糖質制限ダイエットの管理などに活用されることを想定しているそう。
糖質ダイエットモニタとはいっているものの、国内における糖尿病患者やその予備軍がおよそ2000万人以上といわれる中、膨大な年間医療費など社会的課題の解決につなげることはできないかという、想いがあるのだという。生活習慣予防に一役買うことができれば、結果的に延命や医療費削減といったことにつながっていく。そういった意味では、ダイエットだけではなく、国民全員がターゲットとなり得る製品・モニタリングシステムといえるのではないだろうか。来年2020年を目標に製品化する予定で開発しているという。
○Possi(ポッシ)
子ども向けの歯ブラシ「Possi(ポッシ)」は、歯磨きをイヤがる子どもに対して、楽しく歯磨きをしてほしいという発想から誕生した製品だ。京セラ、ライオン、ソニーの3社が共同で開発した製品。骨伝導の原理で、歯ブラシを歯に当てると音が伝達される。使い方はいたって簡単で、歯ブラシ本体の3.5mmイヤホンジャックに専用のケーブルを挿し、スマホなどにつないで子どもの好きな音楽を再生するだけだ。
親が子どもの歯磨きをしている間、子どもは歯を経由して好きな音楽を聞いて楽しく歯磨きができる、というワケだ。
今年の7月3日(水)から、ソニーが運営するクラウドファンディングサイト「First Flight」で支援を募集し、1344人のサポーターを集め、目標金額の2千万を達成している。来年2020年3月を目処に製品を発送する予定で、その後は、利用者の意見などを聞きながら改良し、一般販売を目指していくとのことだが、現時点では今後の詳しい展開は未定だそうだ。
記事執筆:2106bpm(つとむびーぴーえむ)
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