SIMフリースマホ「HUAWEI P40 Pro 5G」を試す!

華為技術日本(以下、ファーウェイ・ジャパン)から5Gに対応した最新フラッグシップスマートフォン(スマホ)「HUAWEI P40 Pro 5G(型番:ELS-NX9)」(Huawei Technologies製)が日本ではSIMフリーにて6月12日に発売されました。価格はオープンながら市場想定価格は税抜108,800円(税込119,680円)。

販売拠点はファーウェイ 楽天市場店やファーウェイ PayPayモール店のほか、量販店やECサイト、仮想移動体通信事業者(MVNO)となっており、量販店ではエディオンやケーズホールディングス、上新電機、ノジマ、ビックカメラ、ヤマダ電機、ヨドバシカメラ、ECサイトではAmazon.co.jpやe-TREND、ムラウチドットコム、MVNOでは「IIJmio」や「イオンモバイル」、「エキサイトモバイル」などとなっています。

すでに紹介しているようにHUAWEI P40 Pro 5GはOSにAndroid 10をベースにした「EMUI 10」をプリインストールしているものの、Google PlayストアやGmailなどの「GMS(Google Mobile Service)」には対応しておらず、独自のアプリ配信マーケット「AppGallery」などの「HMS(Huawei Mobile Service)」に対応しています。

そうしたことからファーウェイ・ジャパンによる「VIP+サービス」に対応し、アカウントの設定やアプリのインストール方法などの初期設定を無料サポートするほか、各種保証サービスが用意され、修理時には同機種の代替機を無料で貸し出したり、専用コールセンターにおいて専任スタッフによる設定や操作方法などを教えてもらえたりします。

また独自のクラウドサービス「HUAWEI Cloud Service」へのバックアップなどに対応し、HUAWEI P40 Pro 5Gの購入特典として1年間の50GBの無料ストレージサービスが提供され、有料プランに移行しなくても無料プランにて保存したデータは削除されないということです。

今回はそんなHUAWEI P40 Pro 5Gを試用してみましたので、主な機能を中心にファーストインプレッションをお届けします。

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HUAWEI P40 Pro 5Gを持ってみたところ。さすがに6.58インチサイズで209gなのでずっしりと重みを感じる

HUAWEI P40 Pro 5Gはファーウェイの今年前半に投入した最新フラッグシップスマホ「HUAWEI P40」シリーズの上位モデルで、NTTドコモが発売した「HUAWEI P30 Pro HW-02L」や「HUAWEI P20 Pro HW-01K」の後継機種となります。今年はアメリカの制裁による「ファーウェイ問題」の影響などによってSIMフリーでの販売となり、合わせてこれまでSIMフリーで販売されいた標準モデルは少なくとも現時点では日本では販売されない模様です。

外観は本体前面の上下左右ともに端を湾曲させた「クアッドカーブオーバーフローディスプレイ」によってさらなる全画面デザインへと進化し、画面左上に横長なパンチホールが配置されたアスペクト比9:19.8の縦長な約6.58インチ1200×2640ドット有機EL(OLED)ディスプレイを搭載しています。

本体カラーはシルバーフロストとブラックの2色がラインナップ。防水・防塵(IP68準拠)に対応していますが、SIMフリー製品であるためかおサイフケータイ(FeliCa)には対応していません。サイズは約158.2×72.6×8.95mm、質量は約209g。外観や詳細な製品情報はすでに公開されている以下の記事をご覧ください。

ファーウェイが最新フラッグシップスマホ「HUAWEI P40 Pro 5G」を発表!価格は11万9680円で、SIMフリーで6月12日に発売 - S-MAX
ファーウェイの最新フラッグシップスマホ「HUAWEI P40 Pro 5G」を写真と動画で紹介!進化した50倍ズームペリスコープカメラなど【レポート】 - S-MAX

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HUAWEI P40 Pro 5Gのシルバーフロストの背面。公式の画像や動画では比較的明るいシルバーのように見えるものもありますが、光が反射していない場合にはしっかりとした色合い

背面は磨りガラス仕様となっており、これまでのHUAWEI P20 ProやHUAWEI P30 Proと比べてもさらに高級感が増したと感じられ、いよいよ上位機種の質感においてもGalaxyやiPhoneと並んだといっても過言ではないように思われました。なお、Galaxyと同様に購入時に画面保護フィルムが貼られていました。

Android 10ベースのEMUI10.1.0がプリインストールされており、ホームアプリは「Huaweiホーム」が設定されています。これまでのファーウェイ製品と同様にアプリ一覧(ドロワー)がなく、ホーム画面にアプリが並んでおり、初期状態では最初に表示される1面に加えて右側にもう1面があります。

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初期状態のホーム画面。従来のファーウェイ製品と使い勝手は同じとなっているものの、当然のようにPlayストアアプリやGoogle関連アプリはありません

プリインストールアプリはAppGalleryや電話、メッセージ、メール、カメラ、ギャラリー、ビデオ、音楽、ファイル、ブラウザ、ヘルスケア、サポート、ヒント、時計、計算機といった基本的なものからTikTokやBing、Microsoft Translator、各種ゲームなどのサードパーティー製も並んでいます。

通知やアプリ切替などの基本操作もこれまで通り。設定なども従来のファーウェイ製品と同様なので、むしろXiaomiやOPPOなどと比べてより標準のAndroidに近く、過去のファーウェイ製品だけでなく、PixelやXperia、Motoなどの標準のAndroidに比較的近い製品からならそれほど迷わず乗り換えられると思われます。

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ホーム画面の左側には「HUAWEI TODAY」が配置。HUAWEI TODAYはHuaweiホームの設定にて非表示にすることも可能。画像=右は通知エリア


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アプリ切替画面(画像=左)と画面の左右端を外側からスワイプすると表示できるショートカット機能(画像=右)


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「設定」の一覧。並び順も標準のAndroidに近く、見つからなくても上部の「検索」にてキーワードを入力すれば大抵は見つかりそう


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GMSに対応しておらず、HMS対応製品であることもあって「HUAWEI ID」への登録は必須でしょう。なお、技適は技術適合認証が「ADF200013007」、工事設計認証が「018-200083」

生体認証は顔認証と画面内指紋認証に対応し、パンチホール部分には約3200万画素CMOS/広角レンズ(F2.2)のフロントカメラと赤外線デプスカメラを搭載し、オートフォーカスと背景をボカしたポートレート撮影をサポートするほか、暗い場所でもロック解除ができる「IR Face Unlock」に対応し、さらにジェスチャー操作も行えます。

ディスプレイは90Hzのリフレッシュレートにも対応。またFeliCaには対応しないものの、緊急速報機能でも「最大音量を使用する」などの細かな設定があり、さすがに日本の移動体通信事業者(MNO)にも納入実績があるファーウェイならではと言えそうです。

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パンチホールを見にくくする「切り欠き」の設定や90Hzのリフレッシュレートにも対応。画像=右は緊急速報設定

主な仕様はチップセット(SoC)「HUAWEI Kirin 990 5G」や8GB内蔵メモリー(RAM)、256GB内蔵ストレージ、NMカードスロット、4200mAhバッテリー(取外不可)、USB Type-C端子(USB 3.1 Gen1)、急速充電(最大40W)、ワイヤレス充電(最大27W)、ワイヤレス給電など。3.5mmイヤホンマイク端子は非搭載。

その他、2x2 MIMOおよびHE160、1024QAMによって下り最大2.4GbpsのWi-Fi 6 Plusに対応したIEEE802.11a/b/g/n/ac/ax準拠(2.4および5.xGHz)の無線LAN(Wi-Fi)やBluetooth 5.1、位置情報取得(A-GPS・GPS、Glonass、BeiDou、Galileo、QZSS、NavIC)、NFC Type A/B、加速度センサー、ジェスチャーセンサー、ホールセンサー、ジャイロセンサー、近接センサー、環境光センサー、色温度センサー、赤外線センサー、電子コンパスなど。

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オプティマイザ(画像=左)とベンチマークアプリ「AnTuTu Benchmakr」の結果(画像=右)。Snapdragon 865やApple A13よりは劣るものの、操作性は十分に快適

リアカメラは高度なウルトラビジョン「Leica」カメラシステムとなっており、同社史上最大のイメージセンサー「HUAWEI Ultra Vision Sensor」と新たな画像処理エンジン「HUAWEI XD Fusion Engine」を搭載し、画質を総合的に向上させているとのこと。HUAWEI Ultra Vision Sensorは1/1.28インチで、ピクセルをまとめることで1画素2.44μmで撮影できるほか、高速オートフォーカスを実現するフルピクセルオクタPDAFに対応。

また新しいマルチスペクトル色温度センサーとAI(人工知能)によるアルゴリズムによるAWB(オートホワイトバランス)で肌の色調と質感が忠実に再現され、色の精度が45%向上しています。ペリスコープ望遠レンズによる光学5倍、ハイブリッド10倍、デジタル50倍に対応。センサーとレンズの構成は以下の通り。

1)約5000万画素CMOS「Ultra Vision Camera」(1/1.28インチ)/広角レンズ(F1.9)
2)約4000万画素CMOS(1/1.54インチ)「Cine Camera」/超広角レンズ(F1.8、35mm換算で18mm相当)
3)約1200万画素CMOS「SuperSensing Telephoto Camera」/望遠レンズ(F3.4、OIS)
4)3D Depth Sensing Camera(ToFカメラ)

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日中の屋外で撮影した写真。設定は初期状態のまま。各写真のリンク先は撮影した画像のオリジナル


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屋内で蛍光灯下での撮影。AIによって自動的に被写体を認識し、食べ物や人物、乗り物などの各シーンが素早く認識可能

またHUAWEI P40 Pro 5Gの望遠カメラには初めてRYYBカラーフィルターアレイが組み込まれ、光の取り込みを高めてズームショットの品質を向上させているほか、深層学習アルゴリズムはライティングとディテールを強化するリアルタイムのポートレート最適化を実現。

一方、Cine Cameraは焦点距離18mm相当(35mm換算)とアスペクト比3:2をサポートし、SedecimPixel Fusionテクノロジーによって16-in-1ピクセルビニングをサポートし、1画素4.48μmのスーパーピクセルによってISO51200までの感度を高め、7680fpsの超スローモーション撮影に対応しています。なお、動画は4K(3840×2160ピクセル)までで8Kには非対応。

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青空に伸びるごみ焼却炉の煙突。今思えば超広角カメラで撮影すれば良かったのかも


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煙突の先端をハイブリッド10倍ズームで撮影。手持ちでも10倍なら比較的すんなり被写体をファインダー内に収めることは可能


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デジタル50倍ズームならお決まりの月も撮影可能。ただし、手持ちだとファインダー内に被写体を収めるにはそれなりに難易度が高いように思われた

またHUAWEI P40 Pro 5Gでは新たに「アニメーション写真」(HUAWEI Golden Snap)機能に対応し、ショートムービー程度の数秒の間に何枚か写真を撮影し、AIによって最も良い「ベストモーメント」や後で邪魔な通行人を消せる「通行人除去」、ガラスなどに反射する光を消せる「反射除去」などに対応しています。

なお、通行人除去は横切るのではなく手前や奥に移動している場合は除去できないなどの制約はあるが、制約の範囲内であれば綺麗に通行人を消した画像ができあがります。なお、アニメーション写真をオンにすると、AI撮影はオフになる排他機能なのと、通行人除去などを行いたい場合は事前にアニメーション写真モードにしておく必要があるのは残念なところ。

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横画面ではファインダーの左上にあるiボタンを押すと「アニメーション写真」撮影モードになり、写真撮影後に通行人(最大2人)を消したりすることが可能


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アニメーション写真撮影をギャラリーアプリで「編集」すると条件に合致すれば「通行人を削除」できます。右はカメラアプリのその他のモード


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HUAWEI P20 ProやHUAWEI P30 Proに続いて非常に暗い場所でも明るく撮影できる「ナイトモード」に対応。アニメーション写真やナイトモードでは撮影が終わるまでカウントダウンが表示


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ナイトモードでの撮影した写真


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プロモードではRAW形式での保存が可能。ただし、AndroidのCamera2 APIには対応していないようでサードパーティー製カメラアプリでのRAW形式での保存はできない模様


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カメラアプリの設定画面。

まだ紹介しきれていない機能はたくさんありますが、HUAWEI P40 Pro 5Gはこのように基本機能やカメラ機能は申し分なく、カメラの評価団体「DxOMark」でも現時点で最高点のリアカメラ128点、フロントカメラ103点となっており、通信できるカメラとして買っても良さそうなくらいではあります。

一方で最大の問題はやはりGMSに対応していないことかと思われます。AppGalleryは直近で日本では定番のコミュニケーションアプリ「LINE」が登録されたとはいえ、機種変更の場合にはバックアップを復元できませんし、それ以外のアプリ揃えはお世辞にも揃っているとは言えない状況です。

例えば、Googleのアプリだけでなく、InstagramやTwitterといった定番アプリもありませんし、検索するとそれぞれのWeb版へのブラウザのショートカットが出てくるだけですし、既存のAndroid利用者なら「Phone Clone」でアプリごとデータを移行できたりもしますが、なかなか厳しいところです。なお、この辺りのAppGalleryなどについてはまた別途紹介したいと思います。

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AppGallery(画像=左)とPhone Clone(画像=右)。YouTubeなどのGoogleのアプリはPhone Cloneで転送しても利用不可


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Gmailは設定でIMAPを有効にしておけばメールアプリで手軽に利用可能。画像=右は楽天モバイルのRakuten UN-LIMITで使ってみるところ

携帯電話ネットワークは5G NR方式におけるSAおよびNSAをサポートし、対応周波数帯はSub6のみ。4Gや3G、2Gもサポートし、対応周波数帯は以下の通り。SIMカードはnanoSIMカード(4FF)が2つのデュアルSIMデュアルVoLTE(DSDV)に対応し、片方はNMカードと共有となり、さらに別途、eSIMを内蔵しているということです。

5Gは日本の移動体通信事業者(MNO)のSub-6Gをフルサポートしており、4Gでは楽天モバイルのMNOによる正式プラン「Rakuten UN-LIMIT」も利用できていました。なお、付属品はUSB-C ハイレゾイヤホンおよびクリアケース、HUAWEI SuperCharger(40W)に対応したACアダプター、USB ケーブル(A to C)、クイックスター トガイド、SIMピン。

5G NR: n1 / n3 / n7 / n28 (TX: 703-733 MHz, RX: 758-788 MHz) / n38 / n41 / n77 / n78 / n79
4G FDD LTE: B1/2/3/4/5/6/7/8/9/12/17/18/19/20/26/28/32
4G TDD LTE: B34/38/39/40/41 WCDMA: B1/2/4/5/6/8/19 GSM: 850/900/1800/1900MHz


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カードスロットは珍しい表裏に1枚ずつ装着する形状。片方はNMカードを共有となっているものの、別途、eSIMにも対応している




記事執筆:memn0ck


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