スマホのバックアップについて考えてみた!

感性の原点からテクノロジーの特異点を俯瞰する連載コラム「Arcaic Singularity」。本連載の前々回に筆者の母のスマホが壊れた件についての顛末を寄稿しましたが、執筆後にふと思ったことがありました。

それは「世の中の人はどのくらいスマートフォン(スマホ)のバックアップを取っているんだろうか」ということです。

当該コラムではスマホのバックアップを怠っていたがために大変面倒なことになった点を反省として書かせていただきましたが、筆者の友人や知人から「そう言えば、しばらくバックアップ取ってない」とか、「バックアップ取ったことがない」という声も聞きました。

毎日起床から就寝まで肌身離さず持ち歩き、人によってはトイレや風呂にまで持ち込み、もはやスマホ無しの生活など想像もできない現代において、人々のデータバックアップに対する認識や理解はどの程度進んでいるのでしょうか。そこで今回はスマホのデータバックアップについて考察したいと思います。

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スマホのバックアップ、ちゃんとやってますか?


■バックアップしない人が多い!? 驚きの調査データ
はじめに統計データを参照してみましょう。

2020年2月にKDDIが運営する情報メディア「TIME&SPACE(タイムアンドスペース)」が公開した「スマホのバックアップに関するアンケート」によると、スマホのバックアップを「とっている」と答えた人は59.6%、「とっていない」と答えた人は40.4%となっており、実に4割もの人がスマホのバックアップをしていない実態が表れています。

これは他の調査会社によるデータでも似たような傾向で、概ね3~4割の人がバックアップを取っていませんでした。

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5人に2人はバックアップしていないと考えるとかなり深刻な数字だ


なぜ人々はバックアップを取らないのでしょうか。その点についても調査データがあり、「方法がわからないから」が29.2%、「面倒だから」が27.0%と非常に多く、次いで「気にしたことがないから」が17.7%と続きます。

この数字は「バックアップしていない人」の中での数字なので、スマホユーザー全体としてはそれぞれ12~7%前後の数字となり、決して大きな数字ではないことがわかります。

それでも10人の人に話を聞けば、1人は「だって面倒だし」と答え、1人は「どうやるのかわからない」と首を傾げ、1人は「気にしたことないなぁ」と上の空だということです。

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4位の「消えても問題ないから」という理由も相当凄い。本当に問題ないのだろうか


■バックアップは端末任せにせず自分の意志で行おう
それでは、スマホのバックアップはその程度の適当な感覚で良いのでしょうか。筆者はそうは思いません。むしろ「バックアップこそ定期的に必ずやっておくべき重要な作業」であると強く主張したいところです。

スマホをバックアップしなければならない理由は数多くあります。

・電話帳のデータが消える
・利用していたアプリのデータが消える
・写真や動画が消える
・ブラウザの閲覧履歴やブックマークが消える
・パスワード管理アプリやブラウザの機能で保存していたパスワードやIDが消える

パッと思いつくだけでもこれだけ深刻な被害が考えられます。実際、筆者の母のスマホが壊れた件では、電話帳のデータが復旧できただけでかなりホッとしたほどです。

【過去記事】秋吉 健のArcaic Singularity:スマホが壊れた!バックアップがない!?万が一の故障への備えや対応策を実例とともに解説【コラム】


バックアップを取っていないと思っている人でも、実際にはある程度のバックアップが自動的に(もしくは意識していなくても)取られている可能性はあります。

通信キャリアが販売するAndroidスマホなどであれば、通信キャリアが用意する無料のバックアップサービスが標準で利用状態となっている場合があったり、iPhoneの場合は初期設定時にiCloudを利用する設定にしている人も多く、最低限のデータは自動バックアップされていることがあります。

また、AndroidスマホではmicroSDカードを使える機種が多く、本体のストレージ容量が少ないことから写真や動画、アプリデータなどをmicroSDカードへ保存する設定にしており、意識せずともバックアップしているような状況で使用している人も多いでしょう。

(※バックアップ目的でmicroSDカードを利用するなら、スマホごと紛失したり破損してしまうリスクを避けるため、普段はスマホから抜き出して保管しておくことを推奨したい)

他にも、ブラウザのブックマーク情報やアプリの管理データなどは、Googleやアプリメーカーがクラウド上で管理・保存していてバックアップとして機能している場合もあります。

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microSDカードは信頼のあるメーカーのものを利用したい


しかしながら、そういった出荷設定でのバックアップ機能やmicroSDカードに保存しているから大丈夫という過信は非常に危険です。

例えばiPhoneで利用するiCloudの場合、写真などは「iCloud 写真」で保存されますが、「バックアップしたから本体から消しても大丈夫」と勘違いして消してしまうと、iCloudからも写真データが消えてしまいます。

こういった事故が起こってしまうのは、iCloudが純粋なバックアップ先というよりも「同期先」であるためです。

また、iCloudのようなオンラインバックアップサービスの場合、利用可能な容量に上限がある点も注意です。バックアップ上限に達した場合、端末内のデータの一部しか保存できなかったり、自動でデータ圧縮などが行われてしまうことがあります。

Androidスマホでは、microSDカードへバックアップしていても新しく買ったスマホがmicroSDに対応していないなどのトラブルが最近は増えてきました。新しいスマホを購入する際は、microSDに対応しているのかを正しく確認する必要もあります。

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Googleの「Pixel 6」など、microSDに対応していないAndroidスマホが増えている


極論ですが、写真や動画は消えてしまっても生活への実害はありません。しかしながら、パスワードやIDなどを管理アプリのデータごと失ってしまったり、ブラウザの自動ログインに頼って自分では記憶していなかった場合、生活そのものに支障が出る可能性すらあります。

電話帳などの連絡先の喪失も致命的です。今や友人の電話番号すら覚えている人は少ないのではないでしょうか。「連絡にはLINEしか使ってないから問題ない」と言いつつそのLINEのパスワードも忘れていた、などという状況は十分に想像できます。

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筆者はパスワードだけでも100以上管理している。これだけの量を記憶しておける自信はない


■後悔先に立たず。万が一の時に泣かないために
スマホのバックアップは端末任せや他人任せにするのではなく、自分で「何をどこに保存し、どのように管理するのか」を理解しておくことが重要です。

決して「iCloudがダメ」とか「microSDカードへのバックアップはダメ」と言っているのではありません。

・そこに何が保存され、どのように同期されるのか
・万が一の際にどのように復元すれば良いのか
・保存(バックアップ)したデータはスマホ本体から消しても大丈夫なのか
・バックアップ先のストレージ容量は足りているか
・microSDカードが使えない機種へのデータ移行はどのように行えば良いのか
・データの復元や移行の際に重複や不整合が起きないか


こういったことを事前に知り、正しく利用する必要があるというだけです。

文字で列記すると非常に難しいことのように感じられますが、実際はそれほど難しいものではありません。バックアップアプリなどの手順をよく読み、時にはそれをスマホ以外のものへメモしておくように心がければ良いだけです。

何も知らないまま適当に利用していると、万が一の状況に陥った際に何をして良いのか分からなくなってしまいます。そもそも、普段意識もせず適当に利用しているものを万が一の不測の事態に適切に扱えると考えるほうが無理筋です。

データが消えてしまってから後悔する前に、最低限のバックアップとその利用方法は調べて覚えておくようにしましょう。

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毎日使う大切なスマホだからこそ、バックアップを忘れずに


記事執筆:秋吉 健


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