モバイル生活で簡単にできる節電対策を考えてみた! |
いよいよ梅雨本番かぁ……などと思っていたのも束の間、いや束の間どころかまったく梅雨を感じさせないままに夏が来てしまいました。筆者の住む神奈川県も連日猛暑が続き、電力不足も深刻化する一方です。
政府は今冬にも電力使用制限を検討するなど、電力不足は今夏だけではなくかなりの長期間続くことが予想されます。常にデジタル機器を使用している筆者のような者にとっては非常に苦しい日々が続きますが、一般的なサラリーマンや学生でも厳しいことには変わりないでしょう。
慢性的な電力不足が続く中、私たちにできることとは一体何でしょうか。感性の原点からテクノロジーの特異点を俯瞰する連載コラム「Arcaic Singularity」。今回はモバイルの視点から電力不足への対応や節電のポイントについて解説します。
■夜間電力活用のススメ
はじめに抑えておくべきは、どのような時間帯にどれだけの電力が不足しているのか、ということです。
電力不足と言っても、24時間常に不足しているわけではありません。主に気温が上昇し人々が最も活動している14時~18時がピークと言われており、若干の幅を取っても12時~19時あたりが電力不足のピークゾーンとなります。
つまり、そのピークゾーンを避けた電力利用を心がけることで、意外と不自由なく電力消費を抑えることが出来る可能性があります。
スマートフォン(スマホ)やスマートウォッチ、ノートPC、完全ワイヤレスイヤホン(TWS)、タブレット、モバイルバッテリーなど、私たちが普段毎日のように利用している道具だけでもバッテリーを搭載した機器は大量にあります。
そういった機器の充電をできるだけ夜間(とくに深夜帯)に行い、昼間(電力利用のピークタイム)はバッテリー駆動させることでモバイル機器の昼間の電力消費量を実質ゼロにすることができます。
とくに意識したいのはノートPCです。オフィスワーカーの場合電源に繋いだままノートPCを使っていることがほとんどではないでしょうか。しかも、そこで行っている作業の多くはオフィスアプリを動かしたり画像加工アプリを動かしている程度です。
仮に動画編集作業のような処理の重い作業をしていたとしても、昨今のノートPCであればバッテリー駆動でも4~5時間は余裕で動きます。
処理の重い作業になるほどに電力消費は増えるため、仮に2~3時間程度であったとしても、計画的にバッテリー駆動を利用することで電力消費を大きく抑えることが可能です。
また、バッテリーを適度に利用することはバッテリー寿命を延ばす意味でも非常に効果的です。
ノートPCで主に利用されているリチウムイオンバッテリーは、満充電状態を維持すると劣化が早くなります。そのためメーカーによっては80%や50%といった充電量を維持する設定(充電プログラム)を用意していることがあるほどです。
会社や自宅で電源に繋ぎっぱなしで常に満充電状態のノートPCがあるなら、50%程度使用する感覚でバッテリー駆動をさせておくほうが結果的に製品寿命を延ばせることを覚えておくと良いでしょう。
■ノマドワークのススメ
そしてもう1つ、意外と盲点なのが「自宅で仕事をしない」ということです。
コロナ禍によってテレワーク化が進み、緊急事態宣言が解除された現在も引き続き自宅で仕事をしている人が増えました。各人が会社ではなくそれぞれの自宅で仕事をしているたため、今までであれば使用されていなかったエアコンや照明が使用されるようになり、結果として国全体の消費電力が増加しています。
そこでオススメしたいのはコワーキングスペースを活用したノマドワークです。会社に出社するほうが楽な場合はそれも良いでしょう。
ノマドワークのメリットは節電のみではありません。自宅では人目がない分仕事へのモチベーションを維持するのが大変という人も少なくありません。
そういった人でも、仕事以外にすることがない状況に自然と追い込めるコワーキングスペースは非常に効率が良く、借りている時間内に仕事を終わらせなければいけないという強制的な管理下に自分を置くことができます。
自宅でエアコンをフル稼働させているのに仕事へのモチベーションが上がらない。そんな人にこそノマドワークを強くオススメします。
■難しく考えずにできることからはじめよう
モバイルワーカーや日常生活でのモバイル活用は、そもそもがバッテリー駆動を前提としていることが多く節電にあまり関係しないかのように思われがちですが、実際は小さな心がけ1つでピークタイムの電力利用を大きく抑えることができます。
もちろん、各人が行える節電量は少ない上に限界があります。また節電のためにノマドワークに切り替えたことで大幅に出費が増えてしまったのではデメリットが大きすぎます。
飽くまでも無理のない節電を心がけ、「自分の生活の中であれば何が無理なくできるのか」を第一に考えて動くことが大切です。多くの人々が「ほんの少しの節電」を心がけるだけで、状況は大きくかえることができるでしょう。
政府や電力会社による根本的な電力不足の解決はまた別の問題として、今私たちにできることをリアルタイムで考えていく。それが何より重要です。
記事執筆:秋吉 健
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