docomoが「5Gネットワーク戦略に関する記者説明会」を開催!

NTTドコモは26日、オンラインにて「5Gネットワーク戦略に関する記者説明会」を開催し、直近で主に過密地域などの一部混雑エリアにおける4Gネットワークにて通信速度が低下するなどの事象が発生している問題について説明した上で今夏までに対策を行うことを明らかにしました。

また5Gの新たな取り組みとして新しいユースケースへの対応を挙げ、そのためにもスタンドアローン(SA)方式の5G(以下、5G SA)の提供場所を今年度中にもこれまでの主要駅や商業施設だけでなくスタジアムや大学、空港などの施設にも拡大するほか、2024年度以降は面展開できるように進めていくということです。

さらに2024年度のネットワークスライシング対応に先駆けて2023年度に1端末複数スライス制御や無線区間制御の実証実験を予定しているとのこと。その他、これまでは5G向けに割り当てられた周波数帯を利用した「瞬速5G」を優先的に展開してきましたが、5G SAを面展開するためにも今後は4G向け周波数帯の転用による5Gも積極的に可能な地域から進めていくとしました。

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NTTドコモでは昨年あたりから東京などの一部混雑エリアですべてのトラフィックが4G側に乗っかってしまい、時間帯などの場合によっては通信速度が低下する事象があると認識しており、利用者からも多くの改善要望が来ているほか、SNSなどでNTTドコモの通信品質に対する心配の声があるのは認識していると説明しました。一方で場所や時間帯によるため、どれぐらいの人数に影響があるかは一概に言えないとし、主に東京では新宿や渋谷、池袋、新橋などの山手線沿線や市街地、主要な人が多い鉄道路線で発生しているとのこと。

こうした問題に対してまずは通信速度が低下している基地局に新たに瞬速5Gの設備を併設し、5G側にトラフィックを逃すという対策をトラフィック予測に基づいて実施しているほか、通信速度が低下する場合に特定の周波数帯が逼迫することで発生することがあるため、カバーエリアの調整や周波数帯間のさらなる分散の制御といったエリアチューニングを継続的に実施し、2023年夏までにこうした通信速度が低下する事象への対策を行っていくことを明らかにしました。

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特定の周波数帯が逼迫するというのは、例えば、800MHz帯は屋内でも掴みやすくなっているため、まずはじめに800MHz帯に接続しようとすることが多く、どうしても800MHz帯が逼迫してしまうことがあるものの、その時点で他の周波数帯が空いていることもあるので、その場合にはその空いている周波数帯に接続するようにうまくキャリアアグリゲーション(CA)のパラメーターチューニング含めて調整して分散することで解消できるとのこと。ただし、各基地局の状況によって異なるため、それぞれでチューニングが必要となるということです。

またエリアの構築はトラフィックを予想しながら設計しているため、トラフィックが年々増大していることは想定内ではあるものの、再開発などによるエリア変動があり、それによって基地局を撤去しなければならなかったり、ビルが新たに建って既存の基地局では対応できなかったり、人の流れが変わったりしてそこにトラフィックが集まるなど、想定していたトラフィックとは違う動きが発生しており、そうしたことに対応するために基地局を新たに設置する場合にも交渉に時間がかかるなどして対策が遅れているということです。一方で再開発などの影響は他社でも同じ状況であることを質疑応答で指摘されると、エリア設計を含めた対策が万全でなかったとして謝罪する場面も見られました。

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一方、5G開始後に起きていた5Gエリアの端で通信ができなかったり、通信速度が低下したりする事象(いわゆる「パケ止まり」)がありましたが、これに対して同社では有意的に4Gに落とすことで品質を上げて対策をしており、こうしたことも今回の4Gの通信速度の低下につながっているのではないかといった質問も行われたほか、他社との比較として他社では周波数をより効率良く利用できるMassive MIMOを4Gでも積極的に導入しているのに対し、NTTドコモではこれまであまり導入できていないことからこの影響もあるのではないかといった指摘もされ、同社ではMassive MIMOについても導入を検討しているところだと説明していました。

逆に一部で固定通信サービスとして提供を開始した「home 5G」の影響も噂されていることに対しては「home 5Gは設置場所を把握できているため、しっかりとトラフィック対策はできており、home 5Gによって今回の事象が起きていることはない」とのこと。また4G向け周波数帯の転用による5Gの導入についても4Gのネットワークに余裕があるところから導入していることから今回の4Gの通信速度が低下する事象には影響していないと回答していました。

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説明会では今後の5Gのユースケースについても紹介され、柔軟なネットワークに不可欠なネットワークスライシングを実現する最初のステップとして5G SAの提供を2021年12月に法人向けに、2022年8月に個人かつスマートフォン(スマホ)向けに開始し、これまでは多くの人が滞留する主要駅や商業施設を47都道府県で展開してきましたが、これからは上りの高速通信のニーズがある場所を中心にスタジアムや大学、空港などにも5G SAを拡大していくことが明らかにされました。一方で現時点でも東京都内では東京駅の1箇所のみでの提供となっていることに対しては改善していきたいとしました。

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記事執筆:memn0ck


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