スマホを分解しながらリサイクルについて学べる!KDDIと東北大がイベントを開催 |
東北大学サイエンスキャンパス体験型科学教室の一環としてKDDIの協力のもとで東北大学大学院工学研究科創造工学センターおよび東北大学大学院工学研究科工学教育院の主催のイベント「KDDIスマートフォン分解教室」が8月26日(土)に行われました。
イベントは宮城県仙台市にある東北大学工学部サイエンスキャンパスホールにて、小学5年生から中学1年生を対象として実施され、実際に使用されているスマートフォン(スマホ)を子供たちが自分で分解し、内部構造を知ることができるだけでなく、スマホのリサイクルがどのような形で行われているのかを学べる貴重な機会となりました。
今回はそんなスマホを通してリサイクルやSDGsについて学べるKDDIスマートフォン分解教室の模様を取材する機会がありましたので、実際に分解していく様子を含めて写真を交えてレポートしたいと思います。
東北大学工学研究科・工学部サイエンスキャンパス(略称:東北大学サイエンスキャンパス)は小学生・中学生・高校生を対象に“体験型科学教室”を開催しています。大学関係者による教室のほか、今回のKDDIのように企業の協力も得て「ものづくり」や「科学実験」などを行っています。
今回のKDDIスマートフォン分解教室は小学5~6年生、中学1年生が対象で計15名が参加しました。
まずはスマホのリサイクルについての解説がクイズ形式で行われました。回収されたスマホは現在、99%リサイクルが可能とのことです。99%リサイクルを実現するには手作業で丁寧に部品を分解していくことが必要となり、機械での分解だと70%に落ちてしまうのだそうです。
こうした地道な手作業を行っているのは障がい者の方々だとのこと。KDDIでは障がい者の方々を雇用し、リサイクルのための分解作業を行ってもらっているとのことです。
スマホには金・銀・銅・プラチナなどの「レアメタル」と言われる金属が多く使われています。こうしたレアメタルをリサイクルすることの意義として途上国ではレアメタル採取のために子供が働かされている現状があります。こうした子どもたちの過重労働をなくしていくためにもレアメタルのリサイクルを進めることが重要となります。
SDGsは単なる環境問題だけでなく、ダイバーシティ・インクルージョンの問題や途上国の基盤整備などさまざまな社会課題の解決が求められます。そうした意味からもスマホのリサイクルを進める意義があるのだということを参加者に解説していました。
そしていよいよスマホの分解です。ドライバーを駆使しながらKDDIの方の指導のもとで1つ1つの部品を分解していきます。ワンセグアンテナ、スピーカー、バイブレーションのモーター、カメラなどなど部品を1つずつ取り外し、外側のカバーを取り外してさらにはメインの基盤も取り外しました。
参加した子どもたちは興味深く内部構造を観察していました。またKDDIの方や付き添いの家族の方々が極力手伝わないのがポイント。昨年初めてこの教室を仙台で行った時に「大人が手伝ってしまって自分でできなくて残念」との声がアンケートであったとのことで、子供たちは自分の力で分解作業を進めました。
分解した部品は箱の中に小分けにして実際に部品をしっかり分けてリサイクルするということを体感しました。約15個の工程を経て多くの部品を分解することができました。
なお、今回は少し前に発売されたリチウムイオンバッテリーを分離できるタイプのスマホを分解に使用し、バッテリーは外した状態で分解を行いました。現在発売されているスマホのほとんどはバッテリーが内蔵となっていることもあり、自分で分解すると非常に危険なため、家などにあるスマホを「自分で分解しないように」と注意がありました。みなさんも分解は事故の元なので絶対やめましょう。
今回講師を務めたKDDI東北総支社管理部管理部長の吉田真也氏は今回のイベントについて「なかなかスマートフォンの中身を見ることは無いと思います。小さい部品や基盤を見ることが無いと思うのでぜひハードウェアにも興味を持って欲しいですね」と最近はプログラミング教育などソフトウェアに注目が集まる中、ぜひハードウェアにも注目してほしいとのことでした。
そして「リサイクルの大切さを知って欲しいですね」と手作業でスマホを分解することにより、ほとんどの部分がリサイクルできることを知って欲しいとのことでした。「期待以上でしたね。最初は分解だけで面白いのかな、と思ったのですが、楽しんで目をキラキラさせていてポジティブな驚きがありました」と真剣に分解作業に取り組む参加者の子どもたちをを見て、喜ばれていました。
参加した子どもからは「今まで気軽に使っていましたが、こんなにいろんな部品があるのかと驚きました。また、リサイクルすれば部品も無駄にならず良いと思いました」といった感想がありました。
このイベントは昨年仙台で初めて開催され、仙台での開催は今回が2回目。全国でも最近では千葉・埼玉の百貨店そごうにて同様のイベントがKDDIにより開催されました。これからも全国で行われるようなので、理科やスマホに興味のあるお子さんがいらっしゃるご家族で、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。
記事執筆:小林健志
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