新宿駅ホームで安定した5G(ミリ波)の通信エリアを拡大する実証に国内の駅で初めて成功!

KDDIおよび東日本旅客鉄道株式会社(以下、JR東日本)は24日、JR新宿駅ホームで携帯電話サービスの「5G(第5世代移動通信システム)」における28GHz以上の高周波数帯を用いたミリ波(mmWave)にて通信エリアを自律的に最適化して構成する無線中継器(以下、ミリ波中継器)によってより安定した通信エリアを拡大する実証試験を2025年2月10日(月)から4月11日(金)までに実施して日本国内で初めて成功したと発表しています。

この実証実験では多くの列車や人が行き交い、遮蔽物でミリ波の電波が届きにくい状況下でもミリ波の通信エリアを拡大して1Gbpsを超える通信速度で安定した通信が可能であることを確認したとのこと。中継器設置箇所はJR新宿駅の1番線・2番線ホーム、周辺施設に合計4箇所で、通信は1番線・2番線ホームおよび列車内でミリ波を用いた5G通信が可能であるエリアだということです。

これにより、KDDIはこの成果を生かして駅構内や沿線などの5Gでの高速・大容量通信が可能なエリアの拡大に取り組み、JR東日本は高速・大容量通信環境を生かした新たなサービス展開、鉄道業務のDXに向けて取り組んでいき、両社で今後もミリ波を含む電波の有効活用や駅構内・沿線での通信環境向上、鉄道業務のDXに向けた取り組みを実施していくということです。

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ミリ波中継器設置前後の通信環境

5Gのミリ波は28GHz帯の広い帯域幅を活用することで高速・大容量通信が可能ですが、しかしながら、ミリ波には電波の直進性が強く遮蔽物の影響を受けやすいという特徴があるため、鉄道の駅構内など構造が複雑な箇所においては通信エリアを拡大することが難しいという課題があります。この課題を解決するため、KDDIは2024年12月にミリ波の基地局からの電波を中継して自律的かつ連続的なエリア形成を可能にした無線中継技術を開発しました。

そしてこの技術を備えたミリ波中継器を活用して西新宿ビル街のミリ波の通信エリアを拡大する試験に成功していました。今回、新たにより周辺の建物などで見通しが遮蔽されるだけでなく、列車の往来や混雑状況によって通信環境が大きく変化するターミナル駅であるJR新宿駅においてKDDIとJR東日本が協力してこのミリ波中継器を用いた実証実験を行い、こうした環境でも通信エリアを拡大して高速・大容量通信が安定して可能であることが確認されました。

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ミリ波中継器


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ミリ波中継器設置前後のミリ波エリアの比較

実証実験における各社の役割はKDDIがミリ波中継の技術開発、本実証試験の企画・実行・評価、JR東日本が設置環境の検討・提供、本実証試験の企画・実行・評価を担当し、通信エリア(1番線・2番線ホーム、列車内でミリ波を用いた5G通信が可能であること)と通信速度・品質(ミリ波を用いた5Gの高速・大容量通信が安定して可能であること)を評価し、以下の結果を確認できたということです。なお、ミリ波中継器は小型・軽量で光回線の敷設を必要とせず、駅のホームなどのスペースが限られた場所でも設置できます。

(1)通信エリア:駅のホームのミリ波エリア拡大
周辺の建物やホーム屋根が遮蔽となりミリ波の電波が届きにくく、面的なエリア展開が難しい駅のホームにおいてもミリ波中継器が自律的にエリアを形成し通信エリアを拡大できました。また窓ガラスによって電波が減衰しやすい列車内の運転席でもミリ波の電波を受信し、駅のホームと同様に1Gbpsを超える通信が行えることを確認しました。

(2)通信速度・品質:中継ルート最適化による駅のホームの通信環境維持
駅のホームは周辺の建物などで見通しが遮蔽されるだけでなく、列車の往来や混雑状況によって通信環境が大きく変化します。そのような環境下でもミリ波中継器が常に最適なルートを選択して電波を中継することによって1Gbpsを超える通信速度を安定して維持できることを確認しました。

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中継ルート最適化のイメージ


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列車通過前後の通信速度の比較






記事執筆:memn0ck


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