最強スペックのスマホ「Meizu MX4 Pro」が登場!

年々中国メーカーの存在感が高まっている世界のスマートフォン(スマホ)市場。2014年第3四半期には中国の新興メーカー「Xiaomi」(小米科技、シャオミ)がついに世界シェア3位にまで上り詰めた。このXiaomiの名前は最近日本でもよく目にするようになっているが、Xiaomiの躍進の秘密のひとつは「大手メーカーと同等スペックで半額以下の価格」と言われるフラッグシップモデル「Mi」シリーズの存在だ。

だが、Xiaomiも今や低価格な「RedMi」(紅米)シリーズの製品を増やしており、アジアや新興国ではこのRedMiシリーズがよく売れている。Xiaomiをけん引しているのは今やRedMiシリーズであり、2万円を切る価格ながらも必要十分なスペックを備えるなど、一般コンシューマー層にとっても魅力的な製品になっている。

ところが今、中国のスマホマニアやギークが注目している製品はXiaomiではない。Xiaomiの最新のフラッグシップモデルは2014年7月に発表した「Mi4」だが、それを上回るスペックで価格も低いモデルが登場したからだ。それが「Meizu」(魅族、メイズ)の「MX4」シリーズである。今回の連載「世界のモバイル」ではこのMX4を紹介する。

1411_1_002躍進するXiaomi、低価格スマホ「RedMi」シリーズがよく売れている


XiaomiのフラッグシップモデルであるMi4は2014年7月に発売された。Mi4は3GモデルとシングルLTEモデル(TD-LTE)の2種類が提供され、価格は1999人民元(約3万8,400円)。5インチフルHD(1080×1920ドット)ディスプレイに3GB内蔵メモリー(RAM)、1300万画素カメラ、金属ボディーを採用する。中国では「iPhone 6」の16GBが5,288人民元(約10万1,600円)、「iPhone 6 Plus」の16GBが6,088人民元(約11万7,000円)なので、価格は半額どころかiPhone 6 Plus比では3分の1以下だ。確かに安くてハイスペックだ。

1411_1_0037月の発表時には大きな話題になったXiaomi Mi4だが、今その人気は急落している


しかし、今年9月に発売されたMeizuのMX4はデュアルLTE(FDD-LTE、TD-LTE)に対応し、5.36インチ1152×1920ドットディスプレイ、2000万画素カメラとMi4を上回るのに対し、価格は1,799人民元(約3万4,600円)と200人民元(約3,800円)も安い。そのためMX4は発表と同時に中国中で大きな話題を集め、発売日までに1000万台の予約を集めるほどの人気となった。

1411_1_004Meizuのハイエンドスマホ「MX4」は9月の発表後、瞬く間に1000万台の予約を集める


実は中国スマホの「顔」(代表・象徴的な機種)はXiaomiが登場する以前はMeizuだったのだ。Meizuの会社設立は2000年で、Xiaomiの2010年より10年以上も早い。最初のスマホもMeizuは2009年に「M8」を発表しており、その当時は中国国産初の大画面モデルとして大きな話題となった。

だが、2011年にXiaomiがハイスペックかつ低価格な「Mi1」を出すと、あっという間に人気となりMeizuの存在を大きく上回るものになった。それ以降、中国で躍進する新興メーカーとしてXiaomiの名は国内外に知れ渡るようになった。Xiaomiはその後低価格モデルを拡充し、販売量も右肩上がりに伸ばしていったのだ。

このハイスペックかつ低価格という強力なラインナップを誇るXiaomiに対し、MeizuのMX4はハイエンドスマホでの切り崩しに成功した。Xiaomiよりも安くて高機能なMX4は、Mi4の人気を一気にさめさせるものとなったのだ。

しかも11月にはMX4のハイスペック版である「MX4 Pro」も発表し、価格は2,499人民元(約4万8,000円)となるが、ディスプレイは5.5インチ2560x1536ドット、2000万画素リアカメラと500万画素フロントカメラ、指紋認証センサー搭載とさらにスペックを上げてきた。MX4とMX4 ProがXiaomiのMi4を価格の上下で抑え込み、しかも低価格なMX4ですらMi4の性能を上回るとあってはXiaomiを選ぶ理由はなくなる。

1411_1_005中国のスマホ情報サイトZol Onlineの2014年11月最終週の人気トップ10機種。MX4シリーズ2機種はiPhone 6に次ぐ人気だ

もちろんスマホの総販売台数は低価格モデルのRedMiシリーズが好調なXiaomiがMeizuを大きく上回っており、海外展開も着々と拡大している。だが、Xiaomiが今後低価格なRedMiシリーズしか話題にならなくなると、販売ノウハウや海外の携帯電話会社や代理店との関係も深いLenovoやHuaweiとの競争が激しさを増していくだろう。この2社もすでに低価格スマホは別ブランドで出しており、中国や東南アジアに販路を広げ人気となっている。

一方、MeizuはハイエンドモデルでXiaomiのお株を奪い返し「中国最強」の座を確保したことから国内でのブランド力も復活した。元々、Meizuの製品のスペックの高さには定評があったが、XiaomiのMiよりも若干高い価格設定や販売戦略の弱さで後塵を拝する状況がここ数年続いていただけだったのだ。

海外ではUbuntu OSとの提携も行なっており、少しずつではあるが知名度も広げている。そして、ハイエンドモデルに特化していたMeizuも低価格スマホに参入予定と言われており、ラインナップはさらに強固なものになるだろう。海外展開を含むMeizuの展開を楽しみにしたい。

記事執筆:山根康宏


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