レンタルした韓国の4G LTEが使えるKoreainfo(KT)のSIMカード。サイズはmicroSIMカード(3FF) |
韓国では複数の移動体通信事業者が早期にVoLTE(Voice over LTE)やキャリアアグリゲーション(CA)を導入しており、移動体通信における新技術の導入は世界をリードしている。しかし、韓国では残念ながらプリペイドSIMカードで4G(LTE)サービスを利用できない。そのため、日本から渡航する場合などでは国際ローミングでLTEサービスを利用することになり、料金が割高となってしまう場合がある。
そんな中、韓国で使える携帯電話をレンタルしているKoreainfoがレンタル式のSIMカードとしてLTEサービスを使い放題な「KSIM」を提供している。そこで、今回は韓国ソウルに行き、実際にKoreainfoのKSIMを試してきたのでレポートをお伝えする。
◯SIMカードのみレンタル
Koreainfoが提供するKSIMはレンタル式だが、SIMカードのみを借りるサービスだ。韓国の移動体通信事業者各社はLTEサービスを利用できるスマートフォン(スマホ)やモバイルWi-Fiルーターのレンタルも提供しているが、SIMカードのみを借りることで普段から使用しているスマートフォンを韓国でもいつも通りに使えるメリットがある。
これはスマートフォンを借りると機種の違いによって操作性が異なり、使いにくさを感じる可能性もあるが、SIMカードのみを借りるのであれば、そのような心配は不要である。また、スマートフォンやモバイルWi-Fiルーターなど端末ごと借りると、充電器などもまとめて貸し出されるため荷物が増えるが、SIMカードのみであれば荷物は増えずに身軽な状態で行動できる。
もちろん、利用するスマートフォンなどはSIMフリーであることが前提となるが、普段から使用しているスマートフォンでデータ通信の通信量などを気にせずに使うのであれば、プリペイドSIMカードや国際ローミング、端末のレンタルより優位な点が多いと考えたため、今回、KSIMを利用してみることにした。
◯KTソウル中央支社で受け取り
KTソウル中央支社の1階にKoreainfoが運営するEVERGREEN Mobileの販売店が入居しており、そこでKSIMを受け取れる。なお、KoreainfoはEVERGREEN Mobileの商品を取り扱っているため販売店にはEVERGREEN Mobileのロゴがプリントされており、それを目印にすれば分かりやすいだろう。
KTソウル中央支社。EVERGREEN Mobileのオフィスだけではなく、KTの販売店も入居している。EVERGREEN Mobileは韓国KTの回線を借り入れた仮想移動体通信事業者(MVNO)による移動体通信事業者だ
以前は空港での受け取りに対応していた時期もあったが、カウンターの移転のため当分は空港での受け取りは見合わせるという。KTソウル中央支社はソウルメトロ4号線の明洞駅が最寄駅である。会賢駅や乙支路1街駅、市庁駅なども十分に徒歩圏内であり、営業時間は月曜日~土曜日の10時~12時および13時~18時である。なお、年末年始、旧正月、秋夕、クリスマスは定休日となっているため注意したい。
また、受け取りの際は規約や返却場所など各種説明があるため、時間には余裕を持っておいた方が良い。受け取り時はパスポートとクレジットカードの提示が求められた。データ通信は使い放題であるためデータ通信料は先払いで、受け取り時にクレジットカードまたは現金で支払う。音声通話やSMSを利用した場合は返却時に精算となる。
なお、KSIMの返却を忘れると20,000韓国ウォン(約2,200円)が請求されるため、返却を忘れないよう注意したい。返却はKTソウル中央支社だけではなく空港でも対応しており、仁川国際空港および金浦国際空港のolleh roaming serviceのカウンターで返却できる。時間によって空港のカウンターは混雑するため、受け取り時のように時間には余裕を持っておいた方が良いだろう。
◯予約して割引料金の適用がオススメ
データ通信料には通常料金と割引料金が用意されている。インターネットで予約すると割引料金が適用されるため、割安な料金で無制限にLTEサービスを利用できる。データ通信料の料金表は下記の通りだ。
利用日数は30日を超える場合は、超えた日数が5日以内であれば5日以内の料金、10日以内であれば10日以内の料金、30日以内であれば30日以内の料金が加算される。例えば、40日であれば30日以内+10日以内、95日であれば30日以内×3+5日以内の料金となる。
音声通話とSMSの料金は韓国国内の音声通話が264韓国ウォン/分(約30円/分)、SMSが110韓国ウォン/通(約12円/通)、国際間のSMSが330韓国ウォン/通(約37円/通)となる。国際電話は発信先の国や地域によって料金が異なっており、発信先が日本の場合は181.5韓国ウォン/分(約20円/分)となっている。
◯KTのSIMカードおよびLTEネットワークを利用
KSIMのレンタル場所がKTソウル中央支社であることから、ある程度は察しが付くかもしれないが、SIMカード自体は韓国の携帯電話会社KTのLTE対応SIMカードで、microSIMカード(3FF)サイズとnanoSIMカード(4FF)サイズが用意されている。そのため、ネットワークは当然ながらKTのネットワークを利用する。
また、KTはブランド名を「olleh」としているため、スマートフォンの通知バーなどには接続先がKTではなくollehと表示されることもある。KTのネットワークはFDD-LTE方式が2.1GHz帯(Band 1)、1.8GHz帯(Band 3)、900MHz帯(Band 8)、W-CDMA方式が2.1GHz帯(Band I)である。LTEサービスを利用できることがKSIMの特徴のひとつであるため、KTのLTEネットワークに対応したスマートフォンを用意すれば高速通信を快適に利用できる。
このうちの1.8GHz帯と900MHz帯はエリアが広く、ソウル市内や仁川市内であれば1.8GHz帯のみまたは900MHz帯のみに対応したスマートフォンでも十分にLTEサービスを利用できる。
一方、2.1GHz帯のFDD-LTE方式は後からサービスインしたので、エリアは決して広くはない。そのため、少なくとも1.8GHz帯または900MHz帯のFDD-LTE方式に対応したスマートフォンを用意したい。
なお、FDD-LTE方式で使用中の帯域幅は2.1GHz帯が10MHz幅、1.8GHz帯が20MHz幅、900MHz帯が10MHz幅であり、1.8GHz帯であればより高速な通信を利用できる。
さらに、KTはVoLTEおよびCA_3-8(Band 3とBand 8によるキャリアアグリゲーションの意味)とCA_1-3-8のキャリアアグリゲーションを導入しており、スマートフォン側が対応していれば利用できる可能性がある。
キャリアアグリゲーションに非対応でも下りの通信速度は100Mbpsを超えることもあった。なお、測定時にソウルのサーバが利用不可で他のサーバを選択したため応答速度は遅いが、ソウルのサーバが利用できた場合は概ね50~100msであった
◯SIMロックフリーであることを確認
韓国でも普段から使用しているスマートフォンでLTEサービスを無制限に利用可能と魅力的なサービスであるが、KSIMを利用するスマートフォンにSIMロックがかかっていないことを利用前に確認しておく必要がある。また、ハードウェア的にKTが使用するFDD-LTE方式の周波数に対応していればLTEサービスを必ず利用できるとの保証もないので注意したい。
申込方法や注意事項などはKoreainfoの公式ウェブサイト( http://koreainfo.jp/k-sim.html )に掲載されており、KSIMの利用を検討する場合は参考になるはずである。仕事や旅行などで韓国を訪れる機会がある場合には是非、検討してみてはいかがだろうか。
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Koreainfoが提供するKSIMはレンタル式だが、SIMカードのみを借りるサービスだ。韓国の移動体通信事業者各社はLTEサービスを利用できるスマートフォン(スマホ)やモバイルWi-Fiルーターのレンタルも提供しているが、SIMカードのみを借りることで普段から使用しているスマートフォンを韓国でもいつも通りに使えるメリットがある。
これはスマートフォンを借りると機種の違いによって操作性が異なり、使いにくさを感じる可能性もあるが、SIMカードのみを借りるのであれば、そのような心配は不要である。また、スマートフォンやモバイルWi-Fiルーターなど端末ごと借りると、充電器などもまとめて貸し出されるため荷物が増えるが、SIMカードのみであれば荷物は増えずに身軽な状態で行動できる。
もちろん、利用するスマートフォンなどはSIMフリーであることが前提となるが、普段から使用しているスマートフォンでデータ通信の通信量などを気にせずに使うのであれば、プリペイドSIMカードや国際ローミング、端末のレンタルより優位な点が多いと考えたため、今回、KSIMを利用してみることにした。
◯KTソウル中央支社で受け取り
KTソウル中央支社の1階にKoreainfoが運営するEVERGREEN Mobileの販売店が入居しており、そこでKSIMを受け取れる。なお、KoreainfoはEVERGREEN Mobileの商品を取り扱っているため販売店にはEVERGREEN Mobileのロゴがプリントされており、それを目印にすれば分かりやすいだろう。
KTソウル中央支社。EVERGREEN Mobileのオフィスだけではなく、KTの販売店も入居している。EVERGREEN Mobileは韓国KTの回線を借り入れた仮想移動体通信事業者(MVNO)による移動体通信事業者だ
以前は空港での受け取りに対応していた時期もあったが、カウンターの移転のため当分は空港での受け取りは見合わせるという。KTソウル中央支社はソウルメトロ4号線の明洞駅が最寄駅である。会賢駅や乙支路1街駅、市庁駅なども十分に徒歩圏内であり、営業時間は月曜日~土曜日の10時~12時および13時~18時である。なお、年末年始、旧正月、秋夕、クリスマスは定休日となっているため注意したい。
また、受け取りの際は規約や返却場所など各種説明があるため、時間には余裕を持っておいた方が良い。受け取り時はパスポートとクレジットカードの提示が求められた。データ通信は使い放題であるためデータ通信料は先払いで、受け取り時にクレジットカードまたは現金で支払う。音声通話やSMSを利用した場合は返却時に精算となる。
なお、KSIMの返却を忘れると20,000韓国ウォン(約2,200円)が請求されるため、返却を忘れないよう注意したい。返却はKTソウル中央支社だけではなく空港でも対応しており、仁川国際空港および金浦国際空港のolleh roaming serviceのカウンターで返却できる。時間によって空港のカウンターは混雑するため、受け取り時のように時間には余裕を持っておいた方が良いだろう。
◯予約して割引料金の適用がオススメ
データ通信料には通常料金と割引料金が用意されている。インターネットで予約すると割引料金が適用されるため、割安な料金で無制限にLTEサービスを利用できる。データ通信料の料金表は下記の通りだ。
日数 | 通常料金 | 割引料金 |
5日以内 | 29,000韓国ウォン (約3,200円) | 22,000韓国ウォン (約2,400円) |
10日以内 | 39,000韓国ウォン (約4,300円) | 33,000韓国ウォン (約3,700円) |
30日以内 | 59,000韓国ウォン (約6,500円) | 44,000韓国ウォン (約4,900円) |
利用日数は30日を超える場合は、超えた日数が5日以内であれば5日以内の料金、10日以内であれば10日以内の料金、30日以内であれば30日以内の料金が加算される。例えば、40日であれば30日以内+10日以内、95日であれば30日以内×3+5日以内の料金となる。
音声通話とSMSの料金は韓国国内の音声通話が264韓国ウォン/分(約30円/分)、SMSが110韓国ウォン/通(約12円/通)、国際間のSMSが330韓国ウォン/通(約37円/通)となる。国際電話は発信先の国や地域によって料金が異なっており、発信先が日本の場合は181.5韓国ウォン/分(約20円/分)となっている。
◯KTのSIMカードおよびLTEネットワークを利用
KSIMのレンタル場所がKTソウル中央支社であることから、ある程度は察しが付くかもしれないが、SIMカード自体は韓国の携帯電話会社KTのLTE対応SIMカードで、microSIMカード(3FF)サイズとnanoSIMカード(4FF)サイズが用意されている。そのため、ネットワークは当然ながらKTのネットワークを利用する。
また、KTはブランド名を「olleh」としているため、スマートフォンの通知バーなどには接続先がKTではなくollehと表示されることもある。KTのネットワークはFDD-LTE方式が2.1GHz帯(Band 1)、1.8GHz帯(Band 3)、900MHz帯(Band 8)、W-CDMA方式が2.1GHz帯(Band I)である。LTEサービスを利用できることがKSIMの特徴のひとつであるため、KTのLTEネットワークに対応したスマートフォンを用意すれば高速通信を快適に利用できる。
このうちの1.8GHz帯と900MHz帯はエリアが広く、ソウル市内や仁川市内であれば1.8GHz帯のみまたは900MHz帯のみに対応したスマートフォンでも十分にLTEサービスを利用できる。
一方、2.1GHz帯のFDD-LTE方式は後からサービスインしたので、エリアは決して広くはない。そのため、少なくとも1.8GHz帯または900MHz帯のFDD-LTE方式に対応したスマートフォンを用意したい。
なお、FDD-LTE方式で使用中の帯域幅は2.1GHz帯が10MHz幅、1.8GHz帯が20MHz幅、900MHz帯が10MHz幅であり、1.8GHz帯であればより高速な通信を利用できる。
さらに、KTはVoLTEおよびCA_3-8(Band 3とBand 8によるキャリアアグリゲーションの意味)とCA_1-3-8のキャリアアグリゲーションを導入しており、スマートフォン側が対応していれば利用できる可能性がある。
キャリアアグリゲーションに非対応でも下りの通信速度は100Mbpsを超えることもあった。なお、測定時にソウルのサーバが利用不可で他のサーバを選択したため応答速度は遅いが、ソウルのサーバが利用できた場合は概ね50~100msであった
◯SIMロックフリーであることを確認
韓国でも普段から使用しているスマートフォンでLTEサービスを無制限に利用可能と魅力的なサービスであるが、KSIMを利用するスマートフォンにSIMロックがかかっていないことを利用前に確認しておく必要がある。また、ハードウェア的にKTが使用するFDD-LTE方式の周波数に対応していればLTEサービスを必ず利用できるとの保証もないので注意したい。
申込方法や注意事項などはKoreainfoの公式ウェブサイト( http://koreainfo.jp/k-sim.html )に掲載されており、KSIMの利用を検討する場合は参考になるはずである。仕事や旅行などで韓国を訪れる機会がある場合には是非、検討してみてはいかがだろうか。
記事執筆:田村和輝
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