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「マイネおみくじ」で開運間違いなし?

既報通り、ケイ・オプティコムは8月30日、同社がNTTドコモやauから回線を借り入れて仮想移動体通信事業者(MVNO)として提供している携帯電話サービス「mineo(マイネオ)」( http://mineo.jp )についての事業戦略説明会を都内にて開催し、月額基本料金からデータ通信1GBコース分の月額基本料金相当額(800円)×6カ月を割り引く新規契約者向けの「データ通信量6カ月0円キャンペーン」や、月額基本料金からデータ通信1GBコース分の月額基本料金相当額(800円)×3カ月を割り引く既存契約者向けの「いつもありがとうキャンペーン」の実施などを発表しました。

さらに「いつもありがとうキャンペーン」では、10月31日までにマイネ王とeo ID連携している場合に希望者全員へマイネオおみくじを引くチャンスが月1回(合計2回)与えられ、おみくじの内容に合わせて高速パケットを1~3GBプレゼントするイベントも実施されます。

MVNOサービス開始以来順調に契約者数を伸ばしいているmineoですが、今年に入り同業他社との競争も激しくなり、さらなる契約者獲得のための施策を打ち出した形となります。サービスの充実や端末ラインナップの豊富さなどをアピールする企業が多い中、契約者とのコミュニティー形成に重点を置く独特のスタイルが目を引く同社はどのような事業展開を考えているのでしょうか。

今回事業戦略説明会の様子を取材してきましたので、写真とともにご紹介したいと思います。

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mineoがめざすMVNOの今後とは


■「よりユーザーに近いMVNO」をめざすmineo
「学生時代はひたすら走っていました」。―事業戦略説明会はケイ・オプティコムのモバイル事業戦略グループでグループマネージャーを務める上田晃穂氏の異例の自己紹介から始まりました。

これまで同ポストには津田和佳氏が就任していましたが、今年6月末の社内人事異動により上田晃穂氏へと引き継がれ、新体制での戦略説明会となります。上田氏はmineoサービスのコミュニティーサイト「マイネ王」に掛けた標語「まっすぐなmineo、イケてるmineo、ネットぢからのmineo、おもしろいmineo、うれしい!たのしい!大好き!mineo」を掲げ、「よりユーザーに近いMVNOにしたい」と語りました。

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ケイ・オプティコム モバイル事業戦略グループ グループマネージャー 上田晃穂氏


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俯瞰的なスローガンだがこれこそ「mineoらしさ」なのかもしれない


上田氏はMVNO市場が2019年末までに2000万契約まで拡大すると予想。特にこれまで同市場を牽引してきた高リテラシー層だけではなくマジョリティー層(一般層)の大幅な増加に期待しており、mineoとしてもそういった一般層の獲得が課題となると述べました。

その一般層への訴求の1つとしてmineoが展開しているのがマイネ王の運営です。mineoはブランドステートメントとして「Fun with Fans!」を掲げ、ユーザーコミュニティーを率先して醸成し、そこから得られたアイデアやサービスへの要望などを実際のサービスへと昇華していくという流れを作りました。

現在mineoの契約件数は36万回線を超え、そのうち約26%がマイネ王の会員となっています。特に2016年8月のみの単月では約39%の契約者がマイネ王会員となっており、「ユーザーコミュニティーの充実したMVNO」というイメージが新規客を呼んでいる状況が伺えます。

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mineo契約者を「仲間」と表現するフレンドリーさが新たな顧客を生んでいる


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マジョリティー層への訴求は今後MVNO市場を拡大していく上で避けられない壁となる


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NTTドコモ回線のDプラン、au回線のAプランともに順調に契約件数を伸ばしている


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ユーザー参加型MVNOとも呼べるほど特異なMVNOに成長しつつある


ユーザーコミュニティーの充実が新規客を呼んでいる状況はマイネ王会員による紹介人数などでも確認することができます。毎日マイネ王に書き込みを行っている「コアユーザー」では平均2.4人もの紹介人数があり、口コミ効果が現れているのが分かります。また解約率においてもマイネ王会員と非会員では有意な差を見て取ることができます。

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マイネ王を育て活用していくことがmineoの事業戦略の1つの柱となりつつある


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解約率を如何に低く抑えるかはmineoに限らず全ての通信事業者にとって大きな課題


■ユーザーコミュニティーが料金を決定した「プレミアムコース」
このマイネ王からのフィードバックによって生まれようとしている新たなサービスが「プレミアムコース」です。通常回線では一定の帯域をユーザーが共同で利用するため、元々帯域容量の小さなMVNOでは昼食時間帯や夕方などに混雑し通信が繋がりにくくなったり速度が遅くなるなどの問題がありますが、プレミアムコースでは契約したユーザーごとに専用帯域を用意することで十分な通信速度などを保証するというものです。

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ユーザーとともに創り上げる「共創」第1弾として掲げるプレミアムコース


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プレミアムコースの実機(arrows M03)による速度テスト。左がプレミアムコースで右が通常コース。速度の違いは歴然


現在は正式なサービス開始に向けてユーザートライアルが繰り返されている最中で、7月末までに無料トライアルが行われ、9月1日からは有料トライアルの募集が開始されています。

有料トライアルの料金は月額800円。これはマイネ王で行われたアンケートで月額500円以上1000円未満が良いとする意見が約58.7%を占めたことに基づいて決定された金額であり、ユーザー参加型のMVNOであると強く印象付けています。

上田氏はこの価格設定について「安かろう悪かろうではなく、安かろう良かろうでありたい」と述べ、既存の料金プランと組み合わせても大手移動体通信事業者(MNO)の月額料金の半分以下に収まる点を強調し、高い通信品質を格安で利用できる点をアピールしていました。

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無料トライアルの反応は上々だ


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プレミアムコースの料金はユーザーが決めたと言っても過言ではないだろう


なおプレミアムコースは当初9月中の正式サービス開始を予定していましたが、春頃に起こったドコモ回線によるDプランでの混雑時の速度低下問題に伴う設備増強などを行っていたことから計画が遅れ、またこの設備増強や契約件数増加などからプレミアムコースが通常の契約者に与える影響などをさらに慎重に調べる必要があったことから、正式サービス開始を大幅に延期してでも有料トライアルを行う必要があったと上田氏は語っています。

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有料トライアルも十分な期間が設定されており、サービスクオリティーに対する慎重さが伺える


プレミアムコースの有料トライアルではDプラン、Aプランともに抽選で各100名が募集されますが、回線容量や帯域に上限があることから正式サービスでも抽選などの方法がとられる可能性が高いとのこと。MNOから回線を借り受けて事業運営を行っているMVNOとしては、回線品質の維持および向上と契約件数は相反する条件でもあるため、常に大きなジレンマとなりそうです。

■弱点の克服にも全力を上げて取り組む
競争の激化が続くMVNO市場において特異な顧客獲得戦略を成功させつつあるmineoですが、弱点となっているのが端末のラインナップです。

IIJmioや楽天モバイルといった同業のライバル企業がスマートフォン(スマホ)やモバイルルーターなどを豊富にラインナップする中、mineoではこれまで端末のラインナップが弱いというイメージが強くありました。そこでmineoでは9月1日より富士通の最新スマホ「arrows M03」やファーウェイの「HUAWEI P9 lite」など3機種を新たに追加しラインナップの充実を図り、同時に9月5日からは中古通信端末サイト「ムスビー」との相互連携を開始するなど、「端末ラインナップが弱いmineo」というイメージの払拭に乗り出した形です。

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キャリアが端末をラインナップしなければ契約が取れない現実がある


またMVNOの定番の契約形態である「端末持ち込みによるSIM(回線)のみの契約」へのサポートも充実させるため、12月からは持ち込み端末への安心保証サービスを開始予定です。このサービスは全ての持ち込み端末を保証するものではなく、mineo側が動作確認などを取りリストアップした端末が保証対象となるとのことです。

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最新端末以外にも中古端末市場などに活路を見出したい考え


大手MNOのような専売店舗が少ないことも、mineoに限らずMVNOでは契約件数の増加やサービス品質の向上において大きな障害となる部分です。mineoもこの点には着手しており、9月5日には名古屋に専売店「mineoショップ 名古屋」を、さらに来年2月には渋谷に「mineo 渋谷」をそれぞれオープン予定です。

ただし専売店舗(旗艦店舗)についてはこの2店舗を含め現在既に営業を行っている「mineo 大阪」を含めた3店舗のみとなる予定で、これら以外ではmineoを取り扱う「mineoサポート店」や家電量販店との連携を進めることで実店舗によるサポート体制を充実していくとのこと。mineoサポート店については2016年度中に90店舗に拡げたいとしています。

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以前よりアナウンスされていた渋谷店よりも早いオープンとなった名古屋店


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実店舗での販売およびサポートの充実は一般層への販売戦略として非常に重要だ


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2016年度末までにほぼ全ての都道府県に実店舗によるサポート体制を敷く予定


■各種サポートやキャンペーンも充実!
サポート面も強化され、クラウドサービスを利用したバックアップサービス「安心バックアップ」、危険性のあるウェブサイトやアプリをブロックする「安心フィルタリング」、映画やドラマなどを楽しめる「dマーケット」がそれぞれ9月1日より提供開始となります。

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バックアップやフィルタリングなどはスマホ利用者では要望の多いサポート


キャンペーンでは前述したように新規ユーザーを対象とした「データ通信量6カ月0円キャンペーン」や既存ユーザーを対象とした「いつもありがとうキャンペーン」を実施。「AもDもどっちの愛(i)にもmineoが応える」として、9月に新型の発表が噂されているiPhoneへの期待を匂わせるプレゼンが行われました。

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端末持ち込みの場合、デュアルタイプの1GBプランであれば月額料金は6ヶ月間実質700円に


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既存ユーザーへのサービスも当然忘れない


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既存ユーザーは9月と10月の2回、忘れずに「マイネおみくじ」にチャレンジしよう


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説明会ではリアルなマイネおみくじが。筆者が引いた結果は「小吉」


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回線容量はもらえなかったが代わりにボールペンを戴いた


■「人情を大切にする戦略」は成功するか
説明会全体としてはこれまで同社が掲げてきた「ユーザーとともに創り上げるMVNO」という路線を引き続き展開していくという内容の繰り返しとなりましたが、堅調に推移しているマイネ王会員数やコミュニティーの運営状況、サービス体制のさらなる拡充、プレミアムコースの正式運用へ向けた具体的な進捗など、事業戦略の地盤固めが一段進んだ印象を受けました。

しかし、36万超の契約件数を得た今でも事業単体での収益化は達成しておらず、いまだにFTTH事業などの収益によって補填されていることからまだまだ楽観できる状況ではない上、MVNO市場を巡る状況も日々激化しており、より明確で力強い戦略提示が必要な時期が来ているとも感じ取れます。

2016年度末には55万回線、2017年度末には100万回線の契約をめざすとしているmineo。同業他社が大きな資金力や販売網を活かした戦略を次々と打ち出す中、ユーザーコミュニティーを中心とした顧客満足度の向上を核として契約数を獲得する戦略は非常に特異でユニークです。

こういった「人情に訴えかけ人情を大切にするやり方」とも言える戦略を打ち出せるのもまた、人情味溢れる関西地域に本拠地を置く企業ならではなのかもしれません。mineoのチャレンジが成功するのか、プレミアムコースなどの新たなサービスの運用動向とともに今後も注視していきたいところです。

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「安かろう良かろう」で果敢にチャレンジするmineoの戦略に注目だ




記事執筆:あるかでぃあ


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