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UQコミュニケーションズ(以下、UQ)やその仮想移動体通信事業者(MVNO)が販売するモバイルWi-Fiルーター「Speed Wi-Fi NEXT W03(以下、W03)」(Huawei Technologies製)は、製品説明などでは特にアピールされていないものの、実は発売時点からSIMフリー仕様となっている。

このため、海外渡航時に現地の携帯電話会社のプリペイドSIMカードを挿して使うことができるほか、国内でもmineoやUQ mobileなどのau回線のMVNOにおけるSIMカードはもちろん、NTTドコモやそのMVNOのSIMカードでもデータ通信を利用することも可能だ。

W03はSIMフリー仕様となってはいるものの、基本的にはUQおよびそのMVNOが提供するWiMAX 2+サービス向けの機種となっているため、WiMAX 2+契約のSIMカード以外で利用する際は、原則として手動でAPN(アクセスポイント)の設定が必要となる。

W03のAPN新規作成については、W03本体だけで完結できず、スマートフォン(スマホ)やパソコン(PC)などからAPNを手動設定する必要がある点は注意が必要だ。

上記写真は実際に香港の携帯電話会社「中国移動香港」のプリペイドSIMをW03で使ってみたところ。中国移動香港のプリペイドSIMカードのAPNは以下の通り。

[中国移動香港 プリペイドSIMのAPN]
APN:cmhk
ユーザ名:なし(空白)
パスワード:なし(空白)

ただし、W03に中国移動香港のプリペイドSIMカードを挿して利用する際には、通信モードを「ハイスピードプラスエリア」モードに設定しないと電波を掴むことができなかった。

これは、ハイスピードプラスエリアモードを有効にすることで、W03側でFDD-LTE方式を利用することが可能になるためと推測される。

なお、ハイスピードプラスエリアモードを有効に設定すると、追加料金(LTEオプション)が発生する旨のダイアログが表示されるものの、UQおよびそのMVNOが提供するサービスのSIMカードで使わない場合はこのダイアログは気にする必要がない。

また、W03に中国移動香港のプリペイドSIMカードを挿して香港内でデータ通信を利用する場合は、W03上で国際ローミング設定を有効にする必要はなかった

香港内にて香港の携帯電話会社のSIMカードを利用するため、一見すると"アタリマエ"のようにも感じられるけれど、携帯電話会社の販売するSIMフリーのモバイルWi-Fiルーターでは、(現地のプリペイドSIMカードを使っていても)国際ローミング設定を有効にしないと渡航先で通信が行えない場合がある(※ちょっと古い機種にはなるけれど、EMOBILEのGL04Pなどがその仕様だった)。

一方、日本の携帯電話会社のプリペイドSIMカードを使って、渡航先でローミング接続を利用することも可能だ。やや変則的ながら今回は、NTTドコモの「海外1dayパケ」を有効にしたSIMカードをW03に挿した上で、中国にてデータ通信が行えるか試してみたところ、中国でも問題無くデータ通信を行うことができた。

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W03でNTTドコモの海外1dayパケを中国で使う

W03で使うための回線としてNTTドコモの海外1dayパケを有効化した回線を用いた理由は、NTTドコモの海外1dayパケは、キャンペーンとして中国・韓国・台湾・香港・マカオ・グアム・サイパンの7地域向けに、海外1dayパケで使える高速データ通信量を無制限にしているため(通常、海外1dayパケで利用可能なデータ通信量は30MB)。

中国でW03を利用するにあたって、予想していたのは「中国移動香港のWiMAX 2+方式と互換性があるTD-LTE方式に接続ができる」ということだったけれど、今回試した限りでは中国移動香港のTD-LTE方式への接続は確認できず、その代わりに中国移動(チャイナユニコム)や中国電信(チャイナテレコム)の4G LTEを検出したわけだ。

なお、中国移動香港のTD-LTE方式への接続が確認できなかった理由は、単純にエリア外だったなどの可能性も十分考えられるので、後日追って確認の予定。

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W03で中国聯通、中国電信の4G LTEを検出

そんなわけで、W03は日本の通信事業者が発売するモバイルWi-Fiルーターとしては珍しく「発売時点からSIMフリー」にはなっているけれど、W03が対応している4G LTEの周波数は公開されておらず、基本的にはauの4G LTEサービス向けに最適化されていることを考えると、対応周波数の面では少々不安がある。使えたらラッキー……という程度に覚えておくのが良いかも。

W03はau(KDDIおよび沖縄セルラー電話)からも販売されており、auが公開しているSIMロック解除が可能な機種「SIMロック解除が可能なau携帯電話などの実装周波数帯一覧 | スマートフォン・携帯電話をご利用の方 | au」のリストにはない。もちろん、「最初からSIMロックが解除されているから。」という可能性が考えられるが、ここにあれば実装周波数帯も確認できるのにと思ったりもしている。



記事執筆:shimajiro@mobiler


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WiMAX 2+対応のモバイルWi-Fiルータ「W03」は隠れSIMフリー機、海外プリペイドSIMやドコモSIMで4G LTE接続ok | shimajiro@mobiler

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