Pepperがホテルコンシェルジュに初挑戦!

ソフトバンクロボティクスおよびマイステイズ・ホテル・マネジメントは7月28日、都内の「ホテルマイステイズプレミア赤坂」にて、人型ロボット「Pepper」をホテルコンシェルジュとして新たに導入することを発表しました。導入時期は8月下旬を予定しています。

マイステイズ・ホテル・マネジメントではこれまでに数店舗でPepperを試験導入して人気観光スポットの案内などを行っており、今回はその正式導入に向けた発表となります。海外からの旅行客も多いホテルでのPepper導入にはどのようなメリットがあるのでしょうか。発表会の模様とともに解説します。

mystays-pepper-002「ホテルマイステイズ」は2005年よりホテル事業に本格参入した新風のホテルブランド


■AI×人間による効率的なサポートをめざす
Pepperによるホテルコンシェルジュと聞くと思考型AIを活かした完全自立型のロボットサポートのようなものを想像しますが、今回の導入ではAIだけではなく人間のコンシェルジュスタッフによる遠隔サポートがサービスの重要な役割を担っています。

同ホテルに限らず、海外からの旅行客の多いホテルでは多言語対応のホテルコンシェルジュを各店舗に配置していますが、人件費や有能な人材の確保の難しさから十分な対応が取れない場合も少なくありません。そこで同ホテルでは利用客とホテルコンシェルジュやチャットサポートとの「窓口」としてPepperが導入されました。

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ホテルの制服に身を包み、ちょっと凛々しいPepperくん


単なる「チャットサポートを受けるための端末」ではないのがPepperの最大のポイントです。ホテル内の簡単な案内やお客様への挨拶などはPepper単体で行い、複雑な応対が必要な場合や十分なコミュニケーション対応を求められる場合にはチャットセンターのスタッフが対応するという仕組みで、PepperのAIと人間によるきめ細かな応対を両立させるメリットの多い手法と言えます。

Pepperには大きなタブレットモニターが付いているのもメリットの1つです。会話だけでは聴き逃したり勘違いなどが生じ利用客に迷惑をかけてしまう場合もありますが、会話の内容をモニターにチャットログとして表示することで内容の確認や反芻ができ、利用者にとっても安心感が高くなります。

また地図の表示やレストラン情報など、人間であれば紙の資料などを持ち出さなければいけないような情報もすべえて表示できるため、迅速かつ的確な対応が可能な点も大きなメリットでしょう。

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壇上では本来遠隔でサポートを行うチャットセンターのスタッフも登壇し視覚的に分かりやすくデモンストレーションが行われた(左手の女性がチャットセンターのスタッフ)


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音声による会話だけではなく、タブレットモニターを使った応対が可能なのがPepperの大きな特徴だ


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鉄道の乗換案内などは音声だけでは伝えづらい。ディスプレイを持つPepperだからこそ快適に案内ができる


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ホテルを利用する旅行客の多くはスマートフォン(スマホ)などの情報端末を持っているため、QRコードの表示も非常に有効だ


Pepperが対応する言語は日本語のほか、英語や中国語(繁体中文・簡体中文)、韓国語でチャットやメール以外に電話でも利用できます。Pepperによる応対の様子などは以下の動画からもご覧いただけます。


S-MAX:ホテルマイステイズ「Pepper」導入発表会

動画リンク:https://youtu.be/vytO92G3zkI

■「ロボットフレンドリー」な日本市場だからこそ先進的な導入を
今回のPepper導入は、ホテル業界でのコンシェルジュ需要の増加にマッチする1つの回答として期待されます。この点についてソフトバンクロボティクス事業推進本部本部長の吉田健一氏は「今のAI技術では人間を超えられない。だからこそロボットと人をうまく組み合わせる」と、人とAIとの融合が新しいメリットを生み出すことを強調しました。

またAIロボットの企業採用については「Pepperの導入実績は2000社を数える。欧米ではロボットを導入すると人間の仕事が奪われるなどの意識が強く敬遠されがちだが日本では人材不足の補完として歓迎されることが多く、世界でも最もロボットフレンドリーな市場と言える。日本での成功例をここで作りたい」と語り、少子高齢化による慢性的な人材不足に喘ぐ日本市場こそがロボット事業の最先端であるとの認識を示しました。

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ソフトバンクロボティクス事業推進本部本部長 吉田健一氏


同ホテルにおけるPepperの正式導入は前述のように8月下旬を予定しており、ホテルマイステイズプレミア赤坂、ホテルマイステイズプレミア浜松町、ホテルマイステイズ五反田駅前の3店舗へ導入後、運用の状況を見ながらマイステイズ全ホテルへの導入を視野に活用を続けていくとしています。

また導入に際して各ホテルでアンケートに回答をするか、Pepperの写真をSNSへ投稿した利用者へオリジナルグッズをプレゼントするキャンペーンも期間限定で実施するとしています。

Pepperの導入により人間のコンシェルジュスタッフを削減するのではなく、より多くの利用客に手厚いサポートを行うための補完にするという発想は、ホテル業界のみならず人材不足に悩む多くの企業にとっても良い導入事例となるのではないでしょうか。

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Pepperは人とAIを繋ぐコミュニケーションロボットになれるか


記事執筆:あるかでぃあ


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