ワイヤレスジャパン2018に出展したNTTドコモブースでプレスツアーを体験取材!

5月23日から25日までの3日間、東京ビッグサイトにて開催された「ワイヤレスジャパン2018」にNTTドコモが出展し、次世代通信規格「5G」に関するさまざまな技術展示や活用コンセプトの実演などを公開しました。

国内では同社をはじめKDDIやソフトバンクといった移動体通信事業者(MNO)を中心に、2020年前後のサービス開始を目標として研究・開発が進められている5G技術もいよいよ実用化直前となりました。これまでは技術概要や実証デモなどが中心だった展示会の出展内容もより具体化し、「5Gをどう活用するのか」、「5Gが何に役立つのか」を実演とともに来場者へ見せる場へと変わってきています。

本展示会においてNTTドコモは一般的な大企業向けブースの規模を遥かに超える巨大なスペース割当を取得し、5Gの未来と同社の強みを大々的にアピールし、アドバンテージの高さを主張していました。今回その主な展示内容を周遊するプレスツアーへ参加しましたので、その様子を写真や動画とともにご紹介します。

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2020年のサービス開始へ着々と準備を進めるNTTドコモ


■5Gと自動運転技術が切り開く自動車の未来
プレスツアー最初の紹介は自動運転車から。同社のブースでも最も広いスペースが用意されたこの展示では実際に試乗走行が行われました。

自動車の完全自動運転(レベル4運転)と5G技術とは直接的な関わり合いがないように思われがちですが、5Gの持つ低遅延性なくして完全自動運転車の実現は不可能です。完全自動運転では安全対策の観点から人が搭乗する代わりに外部からの監視と緊急時の操縦担当者が必須となる予定で、その外部からの操縦をより迅速に行うために5Gの速い応答速度が必要となるのです。

また5Gの大容量通信も大きな武器です。フロントカメラやリアカメラ、サイドカメラなど複数の映像を4Kの高精細映像として同時に送受信するには5Gが必須です。これによって自動車の運転状況や自動車周囲の状況を細部まで確認することが出来るようになるため、より安全で正確な対応が可能となります。

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展示されていた完全自動運転車は2~3人が乗れるコミュニティカートサイズで車体周囲にデジタルサイネージ用モニターが複数搭載されていた


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内部正面のディスプレイには車体のフロントカメラからの4K映像が表示されていた


将来こういった5G通信を利用した自動運転技術や、自動車間および地域のIoTセンサーを連携させたコネクティッドカーを実現させるのが同社の大きな目標でもあり、多数のデバイスが同時に大量の通信接続を行う状況に強い点も5Gの大きなメリットの1つです。

今回の走行デモの解説では、5Gの高い通信性と同社が持つAIアシスタント技術のノウハウを活かし、車体周囲にいる人の年齢や性別に応じて車体に備えられたデジタルサイネージ(広告)の表示内容を柔軟に変更するといった活用例も紹介されました。

自動運転車の走行の様子は以下の動画からご覧いただけます。


S-MAX:ワイヤレスジャパン2018「NTTドコモブース」完全自動運転車両

動画リンク:https://youtu.be/cn6WJzBiAEo

■東京ソラマチと東京ビッグサイトを5Gでつなぐ公開デモを実施
5Gの低遅延性や大容量データ通信といった特徴を活かした展示デモでは遠隔地の観光体験や建設機械の遠隔制御、そして遠隔地との音楽セッションなどが紹介されました。

いずれも素早いレスポンスと高精細な映像の伝送が可能にした活用例であり、これまでの通信のあり方や使い方を大きく転換するものです。真の意味でのインタラクティブコンテンツを実現させる5Gのデモンストレーションとしては非常に効果的な展示内容でした。

NTTドコモは4月より東京スカイツリータウン内にある商用施設「東京ソラマチ」5階にて次世代通信規格「5G」を体験できるイベントスペース「PLAY 5G」の常設展示を行っており、デモの多くはPLAY 5Gの展示スペースとの5G通信によって行われました。

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遠隔地にあるリモートカメラを動かし観光を疑似体験できるというもの


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巨大な複数ディスプレイの先に見えるのは東京ソラマチ内にあるPLAY 5Gの展示エリア


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5G通信による重機の遠隔制御は熟練技術者不足に悩む建築業界の大きな支援技術となる可能性がある


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会場では実際にコマツの熟練技術者が操縦を行った


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東京ビッグサイトと東京ソラマチをつないで音楽セッションを行う


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音楽アーティストも納得の素晴らしいセッションが行われた


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フジテレビとの協業によるモータースポーツのAR体験「ジオスタ」(ジオラマスタジアムの略)


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東京ソラマチで展示されているジオスタと違い、何もないテーブル上にAR実況中継を表示するというデモが行われていた


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単なる中継映像ではなくインタラクティブ性に富んだ映像コンテンツとして楽しめるのが大きな特徴だ


遠隔地との音楽セッションの様子やジオスタの内容は以下の動画からもご覧いただけます。


S-MAX:ワイヤレスジャパン「NTTドコモブース」5Gセッション

動画リンク:https://youtu.be/_-ayl5ZBYYg


S-MAX:ワイヤレスジャパン2018「NTTドコモブース」ジオスタ

動画リンク:https://youtu.be/oun9Cq5WkqE

■5G技術の実証実験も大詰めの段階へ
5Gの技術的な展示ではスポーツカーに5G通信機器を搭載し時速約300kmで走行しながら通信を行い、基地局間のシームレスな切り替え(ハンドオーバー)を行う実験の様子を紹介したり、指向性アンテナの干渉を防ぐビームフォーミング技術の展示などが行われました。

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高速移動時にも通信が可能であることを実証するための実験


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実験に用いられた車両はスペシャルチューニングを施された日産のGT-R(トップ画像がその実車)


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サーキットを使いレースドライバーの操縦によって実験が行われた


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高速移動時のハンドオーバー実験も無事に成功


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電波干渉を防ぐ仕組みを可視化する展示デモ


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指向性の強い電波を各個人へ送信することで安定した高速通信を実現する


■近未来のエンターテインメントを創る5G
このほかNTTドコモブースでは関連企業とコラボした5Gの活用例などを細かく展示・紹介し、5Gがあらゆる分野で活躍できることをアピール。単なる通信の基礎技術としてではなく具体的な活用法を示してきたことで2020年頃のサービス開始を強く意識させる内容となっていました。

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高速通信性を活かしVR空間で複数の人が同時にゲームに参加できる実演デモ


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大容量データ通信に特化させれば8K映像3本を同時送信するといったことも可能だ


KDDIがトヨタとの連携の強みを活かしたコネクティッドカー分野で先行を狙う一方、NTTドコモはエンターテインメントから自動車関連、BtoBソリューションまで、全方位でアクションを起こしつつあるというのがプレスツアーから感じられた印象でした。

今回展示されていた内容の一部は東京ソラマチでの常設展示「PLAY 5G」でも体験することができますので、興味のある方はそちらに足を運んでみるのも良いでしょう。



記事執筆:秋吉 健


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