ノートンライフロックが新製品発表会を開催

消費者向けインターネットセキュリティーに特化した製品を提供するノートンライフロック(旧:シマンテック)は19日、都内でプレス向けに「新製品発表会」を開催し、ダークWebも監視対象にした個人情報流出のモニタリングと被害に遭った際にスペシャリストによる電話サポートが受けられる「ノートン ID アドバイザー Powered by LifeLock」と「ダークウェブ モニタリング プラス Powered ノートン LifeLock」を発売すると発表した。

ノートン ID アドバイザー Powered by LifeLockはWindowsおよびmacOS、iOS・iPadOS、Androidに対応し、想定売価が1年版で4,158円(金額はすべて税込)、3年版で9,878円となっており、全国の家電量販店やAmazon.co.jpで11月26日(木)に発売予定となっている。

一方のダークウェブ モニタリング プラス Powered by ノートン LifeLockはiOS・iPadOSとAndroidに対応し、2年1アカウント版のみのラインアップで想定売価が6,776円で、販路は全国のau ショップやauオンラインショップ、KDDIおよび沖縄セルラーの直営店となっており、こちらは11月27日(金)発売予定だ。

パソコン(PC)のWebブラウザーやスマートフォン(スマホ)など向けの専用アプリを使って自身の個人情報が流出していないかをチェックでき、検知された場合はメールとアプリに通知される。万一、個人情報が流出して不正利用の被害に遭った場合は「復旧支援スペシャリスト」がトラブル解決に向けて電話でのサポートをしてくれる。電話サポートは365日、10時から19時の間の対応となる。

個人情報流出をモニタリングする機能では、一般に公開されている「サーフェイスウェブ」だけでなく特殊なWebブラウザーなどが必要な「ダークWeb」も監視対象にしている。本記事では、なぜこうした製品が販売されることになったのかといった開発の背景やサイバー犯罪および個人情報流出の現状など、プレゼンテーションの内容を中心にレポートをする。

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ノートンライフロック マーケティング部 部長 古谷尋氏

発表会では同社マーケティング部 部長の古谷尋氏がサイバー犯罪や流出した個人情報がダークWeb上で売買されているなどの現状を解説し、ノートン ID アドバイザー Powered by LifeLockの発売経緯などを説明した。

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サイバー犯罪と情報流出の現状

はじめに登壇した古谷氏はサイバー犯罪と情報流出の現状を説明した。昨年、同社が世界16カ国で調査したデータによると、これまでにサイバー犯罪の被害を経験したことがあると答えた日本人は約4440万人にのぼり、2019年だけでも約2460万人がサイバー犯罪に、約500万人が個人情報盗難被害の経験があると答えたという。

古谷氏は一昨年も同様の調査を実施しており、その際に個人情報の盗難に遭ったことがあると答えた人は約250万人だったとし、1年でおよそ2倍に増えていることを報告した。

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個人情報流出の経緯


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ネットバンキングの不正送金が増加傾向にある


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クレジットカード不正利用の被害額も増加している

また今年9月には「ドコモ口座」を悪用した不正送金が大きな話題となった。ドコモ口座は不正送金のために悪用されたが、手口としては被害者の口座番号(ID)や暗証番号(パスワード)、生年月日などの個人情報を悪意のある第3者がなんらかの方法で入手していたという。

このドコモ口座を介した不正送金・不正利用の事件後、金融機関における不正利用が次々に発覚しており、実は昨年からこうした被害が増えていたことも報じられた。

そうした背景がある中、今年10月1日に発表された警察庁広報資料では2019年のインターネットバンキング不正送金の発生件数は1872件で被害額が25億2100万円にのぼるという。さらに2020年上半期は発生件数が前年の同時期に比べて約5倍と急増しているとのこと。

さらに日本クレジット協会のデータによると、クレジットカードの不正利用も増加傾向にあることがわかる。2019年は約273.8億円もの被害があったというが、古谷氏はクレジットカード番号の盗用の割合が増えていることも指摘した。

クレジットカード番号盗用の割合は2019年4月~6月と2020年4月~6月を比べると81%から91%と10ポイント増えていることがわかる。なお、その他の項目についてはクレジットカードの偽造などが含まれるとのことで、つまり番号盗用の割合が増える一方で、クレジットカード偽造などの割合は減っているということになる。

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コロナ禍においてフィッシング詐欺も急増している


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コロナ禍のフィッシング詐欺の手口

続いて、フィッシング対策協議会に届いたフィッシング詐欺報告件数の資料では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に合わせるかのように増加しており、2020年10月に寄せられた報告件数は2万8727件と、昨年2019年10月の8034件を大きく上回っている。

そんなフィッシング詐欺について古谷氏はコロナ禍における主な手口として「給付金に関する詐欺メール」や「マスクに関する詐欺SMS」、「宅配業者をかたるSMS」といった実例があることを紹介した。

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流出した個人情報はダークWeb上で売買されている?


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個人情報流出から不正利用までのイメージ

サイバー犯罪者がさまざまな手口で入手した個人情報はダークWebで違法に売買され、そこで個人情報を購入した者によって不正利用される可能性がある。

個人情報を入手したサイバー犯罪者自身が不正利用をする場合もあるが、そうではなく不正利用を目的とした犯罪者が、サイバー犯罪者から個人情報を買うという流れがあるのだという。

被害者は実際に金銭的な被害に遭わないと情報が流出していることに気付きにくいことが問題だと古谷氏は指摘する。

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氷山をイメージして3種類のウェブを説明

一般公開されたWebサイトは「サーフェイスWeb」と呼ばれ、普段我々が閲覧しているほとんどのサイトがこのサーフェイスWebに当たる。パスワードで保護されていたり、検索で表示されたりしない会員サイトなどは「ディープWeb」と呼ばれる。そして、特殊なブラウザや環境でしか閲覧できないサイトがダークWebと呼ばれ、犯罪に関わる取引が横行しているのだという。

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ダークWebで販売されている件数


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個人情報の出品画面


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個人情報のリスト

同社がスプラウトの協力で実施した調査では今年4月~8月までの5カ月間でダークWebで新たに販売されていた日本人の個人情報は、メールアドレスとパスワードがセットになったログイン情報が95万1224件、有効期限内のクレジットカード情報が3万4473件見つかったという。

古谷氏は実際にダークWeb上で販売されている個人情報の出品画面や個人情報がリスト化された画面も紹介し、海外だけでなく日本人の情報がこのような形で取引されていることを紹介した。

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最新のセキュリティー対策


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ノートンライフロックは安心・安全をサポート

こうした個人情報の流出からダークWeb上での売買といったサイバー犯罪が増えている中、同社が取り組む最新のセキュリティー対策として従来のセキュリティーソフトでのデバイス保護や通信保護をしつつ、他者に預けた情報が流出してしまった際の対策としてダークWebモニタリング機能と流出後の迅速な対応支援を提供していくのだという。

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ノートンライフロック プロダクトマーケティング部 部長 住山望氏

次に登壇した同社プロダクトマーケティング部 部長の住山望氏はノートン ID アドバイザー Powered by LifeLockの特徴や操作方法、さらには近日リリース予定の新機能について解説した。

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製品リリースの背景


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新製品のノートン ID アドバイザー


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ダークWebモニタリング機能


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ダークWebモニタリング機能で監視可能な個人情報


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専用アプリでの個人情報登録フロー


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専用ポータルでの個人情報登録画面


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専用アプリでのダークWeb通知


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メールでのダークWeb通知


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ダークWeb通知の詳細


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推奨手順

まずひとつめのダークWebモニタリング機能は、ユーザーが専用アプリや専用ポータルサイトから監視したい個人情報を登録し、登録情報の流出が検知された場合にメールとアプリに通知が届く。

監視対象として登録できる個人情報は、
・クレジットカード番号(最大10件)
・銀行口座(最大10件)
・メールアドレス(最大5件)
・住所(最大5件)
・電話番号(最大5件)
・保険番号(最大5件)
・運転免許証番号(最大1件)
・ゲーマータグ(最大10件)
の8種類、51件分となっている。

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パスワードリスト通知


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パスワードリスト攻撃とは


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パスワードリスト通知について


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詳細の確認方法

近日リリース予定の新機能「パスワードリスト通知」はメールアドレスとパスワードの組み合わせをリスト化した「パスワードリスト」の売買もされており、そうした「パスワードリスト攻撃」の対策となる機能。

メールアドレスとパスワードの組み合わせが「パスワードリスト」として検知されるとユーザーに通知が届き、確認コードで本人確認をした後「検知された情報」内でパスワードの一部が確認できる。流出が確認できれば、速やかにパスワードを変更して不正利用のリスクを軽減できるというものだ。

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復旧支援


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復旧支援の概要


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専用アプリでの復旧支援のフロー

3つめの機能として紹介された「復旧支援スペシャリストによるサポート」は、アプリから簡単に専用ダイヤルに電話ができるというもの。個人情報流出により不正利用被害に遭った場合は、復旧支援スペシャリストが専門知識に基づいて問題発生から解決までを支援する。

単に相談所というわけではなく、必要に応じてカード会社や金融機関、政府機関、そのほかの公共機関関係者などとの三者間通話で、問題解決を手伝ってくれるという。電話サポートは10時から19時の間で365日対応するとのこと。

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利用手順


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利用開始フロー


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Welcom メール


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専用アプリ「ノートン モニター」


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専用アプリのセットアップフロー


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専用アプリの画面例


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専用ポータルの画面例

利用開始するには、まずマイノートン( http://norton.com/setup )にアクセスして「ノートンアカウント」を作成する。ノートンアカウント作成後、もしくはノートンアカウントを既に持っているユーザーはマイノートンでログインし、プロダクトキーを入力して登録する。

その後、Welcom メールが届き、iOS・iPadOSもしくはAndroidアプリをダウンロード、インストールし、アプリ上でノートンアカウントにログイン、アプリ側のセットアップを完了させる。WindowsやMac向けに専用ポータルサイトでの利用も可能だ。

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ノートン ID アドバイザーの製品概要


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システム要件


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法的事項


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家電量販店などで販売開始

ノートン ID アドバイザー Powered by LifeLockは全国の家電量販店やAmazon.co.jpで11月26日(木)に発売予定。想定売価が1年版で4,158円(すべて税込)、3年版で9,878円となりWindows、macOS、iOS・iPadOS、Androidに対応する。

また、iOS・iPadOSとAndroidに対応したダークウェブ モニタリング プラス Powered by ノートン LifeLockは、全国のau ショップやauオンラインショップ、KDDIおよび沖縄セルラーの直営店で11月27日(金)発売予定。2年1アカウント版のみのラインアップで想定売価が6,776円。

発表会の後半には「特別復旧支援スペシャリスト」として、お笑いコンビ・和牛の水田信二さん、川西賢志郎さんを招いてのトークセッションが行なわれた。

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お笑いコンビ和牛のふたり。左が水田さん、右が川西さん


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よしもと若手芸人のメールアドレス流出チェック


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100人中35人が流出

昨年実施した、よしもと若手芸人100人を対象にしたメールアドレス流出チェックでは35人のメールアドレス流出が確認されたという。そこで、今回は和牛のふたりがトークセッション出番前にメールアドレス流出チェックをしたそう。

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水田さんはSAFE


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川西さんはOUT

その結果、川西さんのメールアドレス流出が確認されたとのこと。このメールアドレス流出チェックは、ノートンライフロックが公開しているサイトで簡単にチェックすることができる。もし流出していた場合、流出した回数や流出した期間、流出した情報の種類を確認できる。

個人情報流出チェックページ | ノートン

金銭的な被害だけでなく、TwitterやFacebook、ブログなどインタネット上のサービスを乗っとられるといった被害などもあり、サイバー犯罪は決して遠い存在ではない。流出を防ぐ対策はもちろん、今後は流出したかどうかをチェックし、不正利用されないための対策が重要になってくるだろう。

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[Image] QRコードアプリ名:ノートン™ モニター
価格:無料
カテゴリー:ファイナンス
開発者:NortonLifeLock, Inc.
バージョン:1.27
iTunes Store:https://itunes.apple.com/jp/app/id1422875903?mt=8

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[Image] QRコードアプリ名:ノートン™ モニター Powered by LifeLock™
価格:無料
カテゴリー:ファイナンス
開発者:NortonMobile
バージョン:1.27
Android 要件:6.0以上
Google Play Store:https://play.google.com/store/apps/details?hl=ja&id=com.symantec.lifelock.memberapp

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