イー・モバイルにもハイエンドスマホ&タブレットが登場へ!? |
国内最大の無線通信関連展示会「ワイヤレスジャパン2011」が2011年5月25日(水)~27日(金)に東京ビッグサイトにて開催されています。その中の基調講演において、イー・アクセスのエリック・ガン社長が、同社のケータイ・モバイルワイヤレスサービス「イー・モバイル」に関する取り組みについてプレゼンテーションを行いました。
そこで、イー・モバイル向けに、スマートフォンおよびタブレットを5機種以上を間もなく(といっても、資料上では「今年度末ですが」、ガン氏の発言上で)発表する予定であることを明らかにしていました。これらの発表予定の商品は、従来の「HTC Aria S31HT」や「Pocket WiFi S S31HW」のようなコンパクトで低価格なモデルではなく、よりハイエンドよりな商品になるとのことです。今後、スマートフォンやタブレット市場が拡大することを見込み、イー・モバイルでもこれらの市場に力を入れることを説明していました。
さらに、人気のワイヤレスモバイルルーター「Pocket WiFi」シリーズにも、今夏以降今年度末までにDC-HSPAに対応した下り最大42Mpbsに対応したモデルも開発中であることが明らかにされました。
今回は、エリック・ガン社長の講演をプレゼン資料を中心に紹介したいと思います。
まず、3月11日に起きた東日本大震災におけて被災された皆様にお見舞いを申し上げるとし、イー・モバイルの被害および復旧状況を説明。被害地域に、3月11日当時、878局の基地局があったが、震災で駄目になった基地局もあったが、その後、停電などで150局まで下がったと紹介。その後、1ヶ月後の4月11日には、すべて復旧し、基地局少ないですしね、というツッコミは置いておいて、他の通信事業者よりもどこよりも早かったとしていました。
また、3月11日、当日は、通信量が10倍以上に増えたが、イー・モバイルの基地局は、キャパシティ多いので、地震が起きた14時以降でも、通話の接続率99.5%を維持し、ほぼ通話ができないということはなかったことを紹介していました。こちらも、ユーザー数が少ないことも影響していますが、つまりは、そういうことです。少なくとも、都内ならエリアも充実していますし、ユーザー数が少ないのは、ちょっと魅力に思えたりしました。
さらに、設備(基地局)における予備電源は、固定では、規制として3時間の予備電源を設置することが義務付けられているそうですが、イー・モバイルでは、すべて6時間以上、最長24時間無電源でもいけるようになっていると説明。
被害額も他の会社は数百億だが、イー・モバイルは、実際に、営業金額ベースで、1億2千万円となる予定と紹介し、今後も、予備電源と予備回線を強化しなければならないと考えているが、その設備投資に、今季および来季にそれぞれ20億円を投入することとのことです。
続いて、イー・モバイルやイー・アクセスの会社概要を再度説明し、はじめ、イー・アクセスをベンチャーとして設立し、今年で12年目であることを紹介していました。まずは、イー・アクセスで、ADSLを用いた固定事業からスタートし、続いて、モバイル通信事業として、イー・モバイルをスタート。今年3月に黒字化したことも受けて、イー・モバイルをイー・アクセスに合併し、ブランドとして「イー・モバイル」を携帯電話事業として継続していることを紹介していました。
現在は、資本金185億、従業員数1400名で、固定事業も伸びていることに加え、さらに伸びる分野としてモバイル事業を行っている点をベンチャー企業としての強みとしていました。また、通信事業では、後発企業となりますが、先行するライバル企業と比べ、新しい事業者であるため、新しい技術を採用でき、その結果、他の主要3社と比較して大容量で高性能な基地局を設置できていると説明し、設備費用も1/5~1/10程度で済んでいるとのことです。
ネットワークコストパフォーマンスが良いことで、差別化できる端末と料金プランを提供できているのではないかと力説していました。
他にも、ビジネスモデルとして、ホールセールを行って来ており、ベンチャーは赤字が多いが、イー・モバイルはすべて昨年黒字化したことを紹介しました。さらに成長していくとした上で、現在、伸びている分野では、通信セクター、特にドングルなどのモバイルデータ通信であるとのこと。
主に、モバイルデータ通信に力を入れている3社、イー・モバイル、NTTドコモ、UQ WiMAXで2009年3月末には累計194万だったものが、2010年3月末に346万、2011年3月末に547万となり、マーケットは拡大していることを紹介し、さらに、2012年3月末には826万まで成長する見込みであるという予測を紹介し、純増ペースも大きくなっている市場であるとのことでした。
また、人口普及率でも2009年3月末に1.5%から2011年3月末に4.3%まで拡大。2012年3月末に6.5%となる見込みであるものの、まだまだ普及率低いと思っているとし、これからまだまだ成長する市場であることを紹介していました。
データ通信における速度についても、はじめは、3.6Mbpsからスタート、7.2Mbps、14.4Mbps、21Mbps、42Mbpsと速度を上げていったことに加え、Pocket Wi-Fiといった人気商品を生み出したことで、加入者数320万近くになっており、モバイルブロードバンド市場でシェア56%の強いリーダーシップポジションを維持していると説明していました。
中でも、ネットワーク速度(スピード)と人口カバー率(エリア)の両立が図られているとし、昨年末開始した下り最大42MbpsのDC-HSDPAは、37.5MpbsのLTEも開始されているが、実際の速度でNo.1であることを紹介していました。さらに、DC-HSDPAのほうがLTEよりも速度速くだけでなく、エリアも広く、基地局ベンダーにコンパクトな基地局を開発してもらっていることで、ランニングコストも安いとしていました。
世界最速レベルの高速ネットワークを、人口カバー率92%、地下鉄カバー率で98%とし、地下鉄はもうすぐ100%を達成できると思っているとしていました。
次に、イー・モバイルの速度が向上するサービスの導入時期を紹介し、他社に比べて半年くらい早いタイミングで導入できており、がんばって75Mbpsも日本で実現したいと思っているとしていました。
イー・モバイルG4ネットワークのエリアも2011年3月末時点で、人口カバー率約40%ですが、2012年3月末には約70%まで押し上げる予定で、75Mbpsサービスも今年度末までに開始したいということを明らかにしていました。さらに、来年度早めに75Mbps以上のサービスを投入したいということです。
ビジネスモデルの考え方は、ワイヤレスも固定もデータ通信で、中でもPocket WiFiのようなモバイルワイヤレスルーター、スマートフォン、そして、Pocket WiFi DockのようなFMCの3つを主軸事業とし、スマートフォンについては、音声も積極的に展開していきたいとしていました。
スマートフォンを大きなマーケットと位置付け、チャレンジしていきたいとし、Android 2.3といった最新OSをキャッチアップし、データカードも伸びてきているが、データ中心となるスマートフォンをもっと大きなデータ通信市場として捉えているということでした。スマートフォンをこれからがんばっていきたいとのことです。
FMCサービスについては、開始6ヶ月で累計加入者数が10倍の2万3千となっており、2012年3月末までにさらに4倍の10万まで増加することをめざすとしていました。また、法人需要として、震災時に他社では色々な問題が発生したことで、BCP需要が高まっていることから、こちらにも対応していくそうです。
スマートフォンについては、国内市場が2011年度予想1500万台、2012年度予想2000万台で、データカードよりも10倍大きな市場かつ接続率も高い、魅力のある市場であると説明。他社とは、料金戦略が違うとし、テザリングを利用しても、スマートフォン単独での利用と同じ料金で追加料金なくデータ通信を定額で利用できると紹介し、さらに、イー・モバイル同士通話定額や通話回数・時間に制限はあるものの他社への通話も定額なサービスも導入していることを紹介していました。
面白い例えとして、「他社は、食べ放題のメニューはあるが、飲み放題のメニューがない」とし、どちらもあるイー・モバイルは、「日本初のメニュー」と、スマートプランやスマートプランライトを紹介していました。
スマートフォンのラインナップも、現在は、コンパクトサイズの2機種のみですが、今年度末までに5機種以上のスマートフォンおよびタブレットを発売予定であることを紹介。マーケティングもAKB48の板野友美さんを起用するなど、強化していきたいとし、最後に、決算について説明し、講演を終えていました。
記事執筆:memn0ck
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