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Xperia acroについて色々聞いてきました!

NTTドコモから6月~7月に発売が予定されているスマートフォン「Xperia acro SO-02C」(ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製)。今年3月に発売された「Xperia arc SO-01C」をベースに、おサイフケータイ、赤外線通信、ワンセグといった日本人からの需要が多い「三種の神器」を追加搭載したモデルです。

今回、このXperia acro SO-02Cの商品企画を担当したソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ 内田さんにインタビューを行ってきました。ここぞとばかりに、Xperia acro(たまにXperia arcについても)の気になるあれこれを聞いてきましたので、紹介していきたいと思います。

――先に発売しているXperia arcと今回リリースするXperia acroの違いはどういったところになるでしょうか?
日本のユーザーからの要望が多かった「三種の神器」と呼ばれているワンセグ、赤外線通信(IrDA)、おサイフケータイ(FeliCa)を搭載したことです。以前から、日本のユーザーには必要だろうと話を進めてきましたが、晴れて今回のXperia acroで実現できました。

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上段がXperia arc SO-01C、下段がXperia acro SO-02C


――Xperia arcの開発段階からXperia acroへおサイフケータイなどの搭載を前提にしていたのでしょうか?
はい。おサイフケータイやワンセグ、赤外線については、Xperia SO-01B(グローバルモデルでは「Xperia X10」)の発売前の段階でこれらを入れ込む日本市場に受け入れられるモデルを作るということで商品企画はスタートしておりました。。

日本において、Xperia arcは、最新のAndroid 2.3(開発コード名:Gingerbread)を搭載した端末を最新のOSを求めているユーザーに向けていち早く出す、という使命を帯びて開発されたものです。

一方で、おサイフケータイなどのニーズが高いことはわかっていましたので、Xperia arcと同様にXperia acroの開発を進めていました。

――Xperia arcは名前の通りの弧(アーク)を描いた背面デザインが評判でしたが、Xperia acroで少し「平ら」になっています。
Xperia acroは、「三種の神器」をうまく収めつつ、かつソニー・エリクソンの2010-2011年の一貫したデザインコンセプトを踏襲しています。側面に配したシルバーのラインで、弓が反ったような曲線を描き、太さも徐々に変化しながらボディを一周しています。Xperia arcは、ボディのそのものが弓型に反っていましたが、acroではそのダイナミックな造形をシルバーのラインで表現しています。

同時に、Xperia acroでも、社内で“Human Curvature(人間的な曲線)”と呼んでいる曲面を活かした持ちやすさを意識したデザインに仕上がっています。Xperia arcよりも幅広い人に使ってもらうことを想定して、シャープさだけでなく丸みを帯びた親しみやすいデザインを採り入れました。

例えば、ボディの背面は、左右の端のカーブをできるだけ大きくとったラウンドしたフォルムです。角が無いことで手になじみやすくなります。一方、丸みを帯びたデザインは緊張感が足りなくなりがちです。そこでXperia acroではボディ上下の平面を少し斜めに切り落としています。これにより丸みを帯びたデザインに緊張感を与えています。

――開発にあたって一番苦労した点はどういった点でしょうか?
ワンセグのアンテナの収納場所です。結果的に良い空間が見つかって、(本体を正面から見たときに)横向きに収納することになりました。珍しい感じになったと思います。

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ワンセグアンテナの収納は他にあまり例のない横収納

――Xperia acroは最初からXperia arcベースと決まっていたのでしょうか?
そうですね。最初からグローバルの最新フラッグシップモデルであるXperia arcに日本市場に求められる機能をフルに搭載することで、ユーザーの幅を広げるという命題のもとに開発を進めてきたのがXperia acroです。

――ソフトウェア的にもXperia arcベースなのでしょうか?
そうですね。「三種の神器」に関わるもの以外は同一です。グローバル仕様の中に、日本主体でこれらの機能をきっちり入れていく、ということに特化しています。

――このような日本的機能を搭載することでOSなどのバージョンアップが遅れるのでは、という意見もあります。その点についてはどうなのでしょうか?
設計的には、OSをバージョンアップしやすいように意識して開発しています。

――これから先も、Xperia arcとXperia acroの関係のようにグローバルモデルをベースに日本独自機能を搭載したモデルを出していく、という流れになるのでしょうか?
ソニー・エリクソンとしてグローバルの最新モデルをいち早く出すことは、大切なことだと考えています。今回のXperia acro SO-02Cについてはまだ発売されていませんが、前評判も好評で、日本向け機能が必要であることは確信していますので、今後もグローバルモデルと平行して日本向けモデルも出したい、という思いはあります。

――Xperia arcと比べて、Xperia acroには、新しく「Facebook Inside」や「Gガイド番組表」など新しいアプリがいくつか入っています。これらは、Xperia arcに対応させる予定はありますか?
ソフトウェアとしては、ベースが同じなので、入れられます。ただし、Xperia arcにアップデートで対応するかどうかは、NTTドコモさんとの話し合いの中で決めていきたいと思っています。

――デザイン面に戻りますが、Xperia acroは、カラーバリエーションも特徴的です。Xperia arcとの棲み分けは意識したのでしょうか?
はい。Xperiaの時は黒と白の2色でした。そこからどう進化させるかというところで、Xperia arcでは、グラデーションの入ったミッドナイトブルーとミスティシルバーを出しました。

加えて、日本市場を意識したときに、もう少しファッショナブルな、女性にアピールできる色として(サクラ)ピンクを用意しました。Xperia arcの発売当時は、桜の咲く時期ということもあって、桜のつぼみの濃いピンクを意識した色にしました。スマートフォンが黒や白ベースなものが多い中で、新しい風を起こせたのかな、と思います。

また、Xperia arcはどちらかというと、進化し続けている更なる“可能性”を示すようなカラーを採用したのに対し、Xperia acroは、機能的にもより幅広いユーザー層をターゲットにすべく、まずは、初代Xperiaの流れを汲み、普遍的で誰からも愛される色としてブラックとホワイトを採用しました。

Xperiaでもマットな感じが好評だったので、それを継続することにしたのですが、全く同じではなく、ブルーの粒子が入っています。写真だと撮りにくいとは思うんですが……。

また、Xperia acroのホワイトもよく見るとグラデーションが入っていますし、アクア(ブルー)は、顕著なグラデーションがかかっています。

アクアは、ひとつのチャレンジで、遊び心があり、なおかつ今までなかった色です。海で、水深が浅いところから深いところにかけて、徐々に深みを持った青に変化するグラデーションを表現しています。グラデーションについては、背面だけでなく、前面液晶部や側面の本体とカバー部でも同じようにかかるようになっています。この辺りは、非常に苦労した点です。
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別パーツでグラデーションを出すのは苦労したポイントのひとつ

――ほかには検討した色はあるんでしょうか?
他にもありますが、Xperia acroについては、Xperia arcと併せて、2機種で次のXperiaの世界観を創る、という意味ではベストであろうとこのようになりました。

――端末の起動時間なんですが、開発途中とは言え、製品版のXperia arcより、Xperia acroのほうが早い気がするんですが、この点についてはどうなんでしょうか?
基本的に同じソフトウェアですが、発売時期が異なるということで、最適化をさらに進めた結果かと思います。ソフトウェアでは、POBox Touchもバージョンが上がって、4.1になっています。

――POBox 4.1では、ちまたで「ドラクエキーボード」と呼ばれている五十音キーボードも使いやすくて良いですね。
ありがとうございます。実際には、ドラクエの並び方とは違いますけど、社内でそう呼んでいる人もいました。ATMなどで使われている五十音キーボードであれば、幅広い年代の方に快適に文字入力してもらえると思って採用しています。

実は、この状態で英字入力にすると、普通のQWERTYキーと思いきや、上段に数字キーも出てくるんです。地味に便利さを感じてもらえると思います。「キーボード保持」機能を使えばさらに便利です。辞書のバックアップ機能も新たに付いたので、microSDカードに保存して次のXperiaに乗り換えるときも学習内容を引き継ぐことができます。

――Xperia arcでもPOBox Touch 4.1になる予定はあるのでしょうか?
アップデート時に検討したいとは思います。

――Xperia acroのワンセグには録画機能がありません。これは何か理由があるのでしょうか?
一番大きいのは開発上のプライオリティ(優先順位)ですね。搭載することで、発売が遅れるのが良いのか、搭載して発売するのが良いのかといった選択で、今回は、対応せずに発売するという方向になりました。

――と、なると、おサイフケータイや赤外線通信のハードルはどうだったんでしょうか?
実は一番厳しかったのはおサイフケータイです。セキュリティやソフトウェアの性能、アンテナの配置など、色々苦労しました。

――FMラジオが付いているのは非常に評価されていると思うのですが、かつてのRADIDENのように、AMラジオに対応するのは技術的にハードルが高いのでしょうか?
AMラジオはチップとして対応しておらず、難しい状況です。FMラジオに関しては、好評で、TrackIDで曲認識してmora touchなどへの導線が便利に使えると思います。

――地味ですが、Xperia arcより電源ボタンが押しやすくなりました。
はい。Xperia acroの方が大きく押しやすくなってますね。その他、着信用LEDランプが前面に配置されていたり、細かい点が変更されています。

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押しやすくなった電源ボタン(上がarc、下がacro)


――突然ですが、個人的には端末は全裸(カバー無し)で使う派なのですが、他の方を見るとスマートフォンにカバーをしている人が多いですよね。この点は、おサイフケータイの使用などで問題はでないのでしょうか?
フィーチャーフォン同様、性能検定試験は通っているので通常の使用では問題ないと思いますが、保証はできません。メーカーの担当者としては、デザインにこだわって作っている商品なので、できれば、カバー無しで使って欲しいです(笑)。

――Xperia arcは特に発売当初品薄でしたが、Xperia acroは大丈夫でしょうか?
今、生産を頑張っている、という状況です。発売日にはひとりでも多くの人のてに届くように頑張ります。

――パッケージは、Xperia arcと同じような感じになるのでしょうか?
基本はそうですね。ただし、microSDカードは32GBのものが添付されます。

――今日はインタビューにおつきあい頂き、ありがとうございました。

今後も、S-MAXではいろいろな人にインタビューしていくので、お楽しみに!

記事執筆:せう(井上翔)


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