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羊の皮を被った狼とは、まさにこの端末の事か?

その発表以来独特の筐体デザインと洗練された独自UIによってスマートフォン業界を騒がせ、発売するや全国で予約完売の嵐を吹かせた話題のAndroidスマートフォン「INFOBAR A01」ですが、案外その中身についてはあまり知られていないようです。

そこでINFOBAR A01の実力を探るべくベンチマークテストを行い、主に今年の夏に発売された他のAndroid端末とその性能を比較してみました。

まずは基本スペックのおさらいです。

INFOBAR A01はブランド名こそiidaになっていますが、中身はシャープ製。同社の「AQUOS PHONE IS11SH」や「AQUOS PHONE IS12SH」との姉妹機にあたり、その性能や内部アーキテクチャーも非常によく似通っています。

CPUにはQualcomm社製「Snapdragon」MSM8655T 1.4GHzを搭載し、OSにAndroid 2.3を採用。RAM容量は512MB、ROM容量はユーザー領域として1.1GBが用意されています。ディスプレイにはQHD(540×960ドット)の3.7インチNEWモバイルASV液晶を搭載、カメラは有効805万画素CMOSセンサーで、720p(HD)サイズまでの動画撮影にも対応しています。通信技術としてはCDMA2000、GSMに加え、Wi-Fi(802.11b/g/n)、更にBluetooth 3.0+HSも採用しています。

これらの基本性能からも分かるように、INFOBAR A01はデザインのみならずかなりハイスペックな基本性能を有しています。そのためFlashによって構成された独自UI「iida UI」も滑らかに動作し、快適な操作性を実現しています。



今回ベンチマークで使用したのは、Aurora Softworksの「Quadrant Standard Edition」と、OPDA teamの「Global Quadrant rank」です。それでは初めに「Quadrant Standard Edition」によるベンチマーク結果から見ていきましょう。

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「Quadrant Standard Edition」ベンチマークテスト結果。

結果は1826と非常に良好な数値でした。上記スクリーンショットでは比較対象となっている端末の世代が若干古いために頭1つ抜き出た形になっていますが、今夏発売モデルなどと比較した場合はどうでしょうか。以下にその一覧表を掲載します。(各端末のベンチマーク結果はS-MAX調べ)

NTTドコモ
製品名チップセットクロック数コア数Quadrantスコア
Xperia acro SO-02CMSM82551GHz11679
MEDIAS WP N-06CMSM82551GHz11555
GALAXY S II SC-02CS5PC2101.2GHz23121
Optimus bright L-07COMAP36301GHz11274
AQUOS PHONE SH-12CMSM82551.4GHz11504
AQUOS PHONE f SH-13CMSM82551GHz1-
F-12CMSM82551GHz1-
P-07COMAP36301GHz1-


au by KDDI
製品名チップセットクロック数コア数Quadrantスコア
INFOBAR A01MSM86551.4GHz11826
Xperia acro IS11SMSM86551GHz11530
G'zOne IS11CAMSM86551GHz1-
AQUOS PHONE IS11SHMSM86551.4GHz11812
AQUOS PHONE IS12SHMSM86551.4GHz1-
REGZA Phone IS11TMSM86551.4GHz(検討中)1-


ソフトバンクモバイル
製品名チップセットクロック数コア数Quadrantスコア
AQUOS PHONE 006SHMSM82551.4GHz1-
AQUOS PHONE 007SHMSM82551GHz1-
Sweety 003POMAP36301GHz1-


EMOBILE イー・アクセス
製品名チップセットクロック数コア数Quadrantスコア
Pocket WiFi S II S41HWMSM7227600MHz1-
S42HWMSM7227800MHz(600MHz CPUをクロックアップ)1-
A01HWSamsung Cortex A81GHz1-


見ての通り、今夏発売モデルなどと比較してもやはりかなり高い数値である事が分かります。また姉妹機である「AQUOS PHONE IS11SH」と数値がほぼ同じである事からも、その内部アーキテクチャーに大差が無い事が分かります。

さすがにデュアルコアCPUを採用したサムソン製端末「Galaxy S II SC-02C」の圧倒的な数値には及びませんが、シングルコアでこれだけの数値を出しているのは非常に優秀です。

その数値の差を推測するため、次に「Global Quadrant rank」でのベンチマークテストを行ってみました。

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「Global Quadrant rank」ベンチマーク結果。


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メモリアクセス性能の高さに注目。

こちらも比較対象となる端末が若干古い世代となっていますが、それだけに得られた数値から面白い考察が出来ます。CPU性能やグラフィックス性能では大きな差が見られないものの、メモリアクセスについては全製品の中で最高値をマークしており、十分な優位差が見て取れます。

またベンチマークグラフには現れていませんが、2つ目のスクリーンショットからも分かるようにmicroSD(microSDHC)カードへのアクセススピードも非常に速い事が分かります。今回使用したのはバルーン社製のmicroSDHC 16GB class10ですが、そのメモリーカード性能が十分に発揮されているようです。

以上の事から、INFOBAR A01はCPUだけではなくメモリアクセスも含めてマシン全体のバランスが高い位置で取れている事がうかがえます。

INFOBAR A01はiida UIという独特のミドルウェアを快適に動作させるために、高いマシン性能が要求されたものと思われます。実際iida UIの動作は十分に快適で、一度使ってしまうとAndroid標準のUIは煩雑で使う気が起こらなくなってしまうほどです。

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象徴的でもあり、実用性にも優れた「iida UI」。

それだけに気になるのはバッテリー容量で、標準では1,020mAhと他の端末と比較して少なめになっており、連続使用時間の面で不安が残るのは否めません。ですが今年の夏モデルの中ではトップクラスの性能である事からも、単なるデザイン端末というだけでなく実用面でも十分にその実力を発揮してくれる事は間違いありません。

以上、INFOBAR A01のベンチマークテストでした。見た目はオシャレだけど性能がよく分からないから…と悩んでいた方は、是非参考にしてみて下さい。

記事執筆:あるかでぃあ


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