ファーウェイの最新フラッグシップスマホ「Huawei P8」を購入!じっくりレビューしてみた |
既報通り、Huawei Technologies(以下、ファーウェイ)は今年4月15日にフラッグシップスマートフォン(スマホ)「Huawei P8」(以下、P8)および「Huawei P8max」(以下、P8max)を発表した。このうちP8は5月からアジアやヨーロッパなどですでに順次販売が始まっている。
残念ながらファーウェイの日本法人である華為技術日本(以下、ファーウェイ・ジャパン)が5月20日に日本で行った新製品の発表会ではP8はアナウンスされなかったが、過去の同社の販売戦略を見てみればフラッグシップモデルはいずれも日本に投入されており、今後のP8登場も期待できる。
そこで、今回はそのP8のグローバルバージョンを入手したのでレビューをお届けしよう。
P8は過去のPシリーズ同様、デザインにも注力したモデルだ。パッケージはなんと暗色系の樹脂製で紙箱を使った他社のスマホとは大きく異なる印象を与えてくれる。
しかも蓋を開けるとP8本体がパッケージ内に刺さるように収納されている。これは本棚に収められた本をイメージしており、P8を取り出す際は本棚から書籍を出すかのように引き出すのだ。
パッケージを開けるとスマホが正面を向いて鎮座しているパッケージングは今や当たり前のものになっているが、スマホを横向きに収納したファーウェイのアイディアは大胆なものだ。
ディスプレイは約5.2インチだがベゼル幅を狭くしたおかげで、本体サイズは144.9x72.1x6.4mmと、横幅は片手でも持てるサイズに抑えている。本体は金属素材で質感は非常に高い。
反面デザイン上の特徴さにやや欠けるのは否めない点かもしれない。前モデルの「P7」(Ascend P7)のほうが思い切ったデザインを採用していたと感じられる。とはいえ、アルミニウム製の一体化ボディーの高級感はファーウェイのブランド力を大きく引き上げるものになるだろう。
P8は徹底的に「フラット」なデザインとなっており、背面を見るとカメラ部分のでっぱりはない。このリアカメラは約1300万画素で光学手振れ補正が大幅に強化されている。
さらにカメラODMメーカーの大手、台湾Altekの画像処理チップを搭載するなど高画質化に妥協を許さないものとなっている。暗いシーンでの撮影結果はiPhoneよりもより美しいと同社では謳っている。一方、フロントカメラも約800万画素と高画素で自分撮り(セルフィー)にも最適だ。
カメラ機能は撮影した写真に炎の軌跡を追加できる「Light Painting」を用意。プロモーションとしてインスタグラムの専用ページを使った利用者からの作品応募が行われる。この手のイベントは同社として初の試みだ。またP8と他のスマホ3台、合計4台のスマホを使い、それぞれの動画を1本につなぎ合わせることのできる「Director Mode」アプリもプリインストールされている。利用する際は他のスマホに同アプリをインストールする必要がある。
側面にはSIMカードスロットとmicroSDカードスロットを用意。SIMカードはnanoSIMカード(4FF)サイズとなった。なお、中国などにはデュアルSIMバージョンも投入されている。デュアルSIMではmicroSDカードスロットが片面nanoSIMスロットとなり、両者は排他(同時利用不可)仕様となる。なお、デュアルSIMモデルは両方のSIMスロットがLTE対応となるが、片側は常に2G(GSM)となるため残念ながらLTEデュアル待ち受けはできない。
さて待受画面(ホーム画面)を見てみるとアプリのショートカットではなく、アプリアイコンがそのまま配置されている。iOSに類似したこのUIはファーウェイ独自のEMUIで、従来の同社スマホにも搭載されているもの。ベースOSはAndroid 5.0、最新のEMUI 3.1はテーマを多数用意しておりアイコン形状も含めた複数のテーマセットがプリインストールされている。
P8には2つのモデルが用意されており、「Standard Version」の499ユーロ(約67,000円)と「Premium Version」の599ユーロ(約80,000円)が存在する。内蔵ストレージが違い、前者は16GB、後者は64GBとなっており、RAM容量はどちらも3GBと高容量となっている。本体カラーも前者は「チタニウムグレイ」および「ミスティックシャンペン」、後者は「カーボンブラック」「プレステージゴールド」となっている。
なお、このRAMとカラーバリエーションは大画面モデルのP8maxでも同等だ(価格は549ユーロ、649ユーロ)。そしてデュアルSIMモデルは中国で2888元(16GB)、3488元(64GB)となっている。ちなみに中国ではSoCとディスプレイ解像度などのスペックを落とした「P8青春版」も発売になった。
5.2インチディスプレイは片手でもなんとか操作できるが、片手で持ったまま親指だけでも操作できるように画面を縮小するモードも搭載している。また、ディスプレイ下部のナビゲーションキーも配置を複数から選択できるなどカスタマイズが可能だ。
さらには発表会では一切アナウンスのなかった機能が設定にある。それは「タッチプラス」と呼ばれ、専用のフィルムをディスプレイ上に貼ることで、上部2カ所と下部3カ所に機能を割り当て可能なボタンを配置可能だ。いわば「機能性保護フィルム」とも言えるもので、なかなか面白いアイディアだ。
ところでP8には従来のスマホにはない新しいUIが加わった。「Knuckle Sense」と呼ばれるもので、指を折り曲げてその関節部分で画面をダブルタップするというものだ。ダブルタップすると画面キャプチャが簡単に撮れ、そのまま保存できる。また、ダブルタップ後に必要なエリアを関節でそのまま適当に円を描けば、その部分が四角に切り取られて保存できる。Webブラウザーで見つけた地図やお店情報、写真などをどんどんキャプチャして保存できるわけだ。ソーシャルサービスでシェアする場合も、URLを送るよりキャプチャ画像を送ったほうが手っ取り早いこともあるだろうからこの機能はなかなか便利だ。ただし、購入時に説明を受けなければ一度も使われない機能になってしまう可能性もあるため、ロック画面にたまに使い方を表示するなどKnuckle Senseをファーウェイが自らアピールしていくことが必要だろう。
最後にベンチマークアプリ「AnTuTu Benchmark」で性能を取るとスコアは42457と、Galaxy S5を上回っている。SoCはファーウェイの子会社のHiSillicon「Kilin 930」(2.0GHzオクタコア)で性能は十分だ。ハイエンド製品だけにiPhone 6やXperia Z4、Galaxy S6 edgeなどとどう差別化していくのかも興味深く、日本での販売をぜひ望みたい製品である。
記事執筆:山根康宏
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