日本通信が新事業戦略を発表

日本通信は22日、都内で「事業戦略発表会」を開催し、同社がこれまで「b-mobile」などで行ってきた仮想移動体通信事業者(MVNO)のモデル事業者から他のMVNOやメーカー、金融機関などがモバイル・ソリューションを実現するための「MSEnabler(Mobile Service Enabler)」へ事業を転換していくことを発表した。

同社代表取締役社長の福田尚久氏によると、MVNO事業における新しい役割として示したMSEnablerの背景には、格安SIMとして話題を集めているが市場としての規模はまだ小さく、価格競争のみで勝負をしている現状で利益を上げている会社はひとつもないのだという。

そこで、同社は格安SIM市場だけではなくサービスの多様化を実現するためのMSP(Mobile Solution Platform)事業へ舵を切るにあたって、ビジネスの障壁となるMVNOの規制緩和を訴えてきた。今回の事業説明で、そのMVNOの規制緩和によってどのようなサービスが実現できるのかを説明した。

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これまで障壁となってきた技術的制約解消方針として、次の「データ伝送交換機能(L2)」および「パケット着信機能」、「音声伝送交換機能」、「MNP転送機能」、「SMS伝送交換機能」、「料金情報提供機能」、「携帯電話のEメール転送機能」、「HLR/HSS連携機能」、「端末情報提供機能」といった9項目をプライオリティーが高いものとして示した。

続いて規制緩和後に同社が提供するサービスとして既に実現しているものも含め次の「デュアルネットワーク」および「グローバルマルチキャリアSIM」、「グローバル無線専用S年」、「通話定額」、「フルIP電話」、「ユニーバーサル電話番号」、「NFC決済」、「決済プラットフォーム」、「IoT向けセキュアサービス」、「SIMソリューション」といった10項目をあげた。

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これらのサービスの組みあわせで、MVNO・SI・メーカー・金融機関ほかにこれまでなし得なかったモバイル・ソリューションの実現が同社の狙いだ。

従来のb-mobileはMSEnablerとして今後も継続はするが、福田氏は質疑応答において「(b-mobileを提供してきた目的を)MVNO事業を展開してきた目的のひとつとして、自分たちで運営することでノウハウを蓄えるため」と述べ、同社はMVNOモデルの事業者としてある程度の役割を終え、他のMVNOと提携してb-mobileの面倒をみてもらう可能性も示唆した。

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HLR/HSS連携によって、無線による専用線が実現すると金融・行政・物流・医療といったセキュリティーが重要な業種において、有線の専用線を引かずに業務ができる、どこでも使えるといった新しいサービスの提供が可能となると説明。

同社のMSEnablerとしての働きで、メーカーやSI、金融機関がキャリアの垣根を越え業種にあったSIMカードを含む通信モジュールを組み込んだ製品が作れるようになるとしている。

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IoTや自動車などで個人がこれらの製品を使えるようになった場合、従来は携帯キャリアで契約して製品を購入するというモデルだったが、これからは通信キャリア契約を意識することなく製品を購入すれば月額○○円で利用可能なモデルに変わって行くのだろう。

記事執筆:mi2_303


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