ショッピングモールに移転した「小米之家深圳(セン)新城市广场店」 |
2010年に創業し、一時期は中国のみならず世界中のスマートフォン(スマホ)市場で存在感を見せた「小米科技(Xiaomi Technology)」(以下、シャオミ)。そんなシャオミは中国を始めとした進出各国において「小米之家」と言う直営店を展開しています。
以前にも上海店の模様を紹介しましたが、深セン市内にある小米之家が11月に移転し、新たに「小米之家深圳新城市广场店(以下、深セン小米之家)」としてリニューアルオープンしました。そこで筆者もさっそく訪問してきたのでレポートしていきたいと思います。
深セン小米之家は、香港と隣接するイミグレーションのひとつである「羅湖(ローウー)」から深セン地下鉄1号線で4駅目の「科学館駅」に直結したショッピングモール「城市広場(City Mall)」の1階にあります。そのため、香港からも非常にアクセスしやすくなりました。
訪問時はシャオミの新製品「Mi Note 2」や同社のコンセプトモデルとなる「Mi MIX」などの発売直後ということで、店先には両製品のPOPが大々的に掲示されていました。
ショッピングモールの1階という好立地にある深セン小米之家は、その内装も広々としていました。スマホはもちろんのこと、サプライ品や家電製品など、シャオミが手掛ける多くの製品が展示されており、その多くはその場で購入することが可能です。
シャオミといえば、主力製品としてスマホやタブレットをイメージしがちですが、最近のシャオミはIoT(Internet of Things)家電を中心とした製品にも力を入れています。特に大型テレビには販売に力を入れているのか、店の一番目立つところに展示されていました。
また、最近何かと話題になる2輪のモビリティデバイスであるninebot miniや電動自転車であるMi QiCYCLEまでも販売しており、スマホ分野が不調なシャオミにとって、スマホ市場の復調はもちろんのこと、スマホ以外の分野での市場開拓にも躍起になっているようです。
近年日本でも話題になっているIoT家電ですが、中国においてもそのニーズが発生しており、シャオミはスマホを販売している点を活かしてスマホと連携させて使用することができる家電製品を数多くラインナップしています。上記の写真はその製品の中の一部に過ぎず、今後もIoT家電製品のラインナップは増えていくでしょう。
さて、話題がスマホから大きく外れてしまいましたが、シャオミはスマホ製品においてもまだまだ野心的です。最近発表されて話題になった製品といえば、コンセプトモデルのMi MIXでしょう。画面の3辺に狭額設計を採用しており、画面の占有率は91.3%を誇っています。
残念ながら、本体は非常に指紋がつきやすく、しかも記事執筆(2016年12月5日)時点ではカラーバリエーションが黒1色であることもあって、Mi MIXは表裏面ともに指紋がつきやすいデザインとなっていました。黒い本体は非常に高級感ある外観ですが、その反面、指紋のつきやすさという犠牲も伴っているのは残念な点です。
Mi MIXと同時に発表されたシャオミのフラグシップモデルのMi Note 2は、その"Note"という名の通り、約5.7インチの大画面を採用したファブレットモデルとなります。デザインは率直に言って「Galaxy Note 7」のパクリで、板状なので最近の製品はどれも似ていますが、特に似ている印象を受けるものとなっています。
両側にエッジディスプレイを採用した点や本体の光沢感、本体の外形すらそっくりで個人的にはプライドの欠片も感じませんでした。シャオミに限った話ではありませんが、せっかく良いデザインの製品を自社で作れるようになってきているので、プライドを持ってシャオミならではのデザインを採用して欲しいものです。
また、正面下部にあるホームボタンのできも非常に悪く、長いスパンで製品を使うときにボタンがヘタってくるような不安を感じる押し心地でした。酷評が多くなったMi Note 2ですが、つまりは個人的にまったく物欲がそそられませんでした。
シャオミには安さだけの"ウリ"という古い考えを捨て、そういった点が現在の不振につながっているとも考えられますので、是非、プライドのあるシャオミならではのフラグシップモデルを開発してもらいたいものです。
一方、こちらはシャオミが突如発表し、世間を驚かせたノートパソコン「Mi Notebook Air」。本体は12.5インチのモデルと13.3インチのモデルの2種類のモデルがあり、それぞれスペックが異なっています。本体はボディにアルミニウム素材を採用しており、ある程度の剛性があるので、特にケースなどに入れないで持ち歩いても殆ど支障をきたさないことでしょう。
キーボードは中国販売モデルでありながら最初から英字キーボードを採用しており、キーストロークも充分に確保されているため打鍵感も良好です。また、下部のトラックパッドもやや広めで、あらゆるマウス操作を快適に操作することが可能でした。
Mi Notebook Airの天板にはロゴを含め何も印字されておらず、非常にシンプルな割り切ったデザインを採用しています。天板にもアルミニウム素材を採用している為、シンプルでも非常にスタイリッシュに見えるのも良いポイントです。
専用のカバーやケースも販売されており、自由に組み合わせて使用することも可能です。気になるお値段ですが、小型の12.5インチモデルが3,499人民元(約57,000円)とかなりお安い価格設定となっており、Mi Note 2とは対照的に非常に物欲をそそられました。
今回は移転したばかりの深セン小米之家の様子をご紹介しました。シャオミはスマホ出荷台数では前年比で4割以上の出荷台数減と窮地に立たされていますが、一足早くIoT機器の活用に目をつけて販売の中核にしようとするシャオミの戦略が見えてきました。
Mi MIXはコンセプトモデルとして非常に挑戦的なデザインを採用しており、指紋が付くのは気になりますが、個人的にはかなり気に入った1台となりました。一方でシャオミの顔とも言えるMi Note 2は微妙な仕上がりでシャオミの先行き自体を不安に感じました。
窮地に立たされているシャオミは広告に有名人を起用するなどブランド化戦略を加速させています。その反面、フラグシップであるはずのMi Note 2は競合他社と比較しても残念と言わざるをえないもので、今後の製品次第ではさらにシャオミを取り巻く環境が悪化する恐れもあります。
繰り返しになってしまいますが、シャオミらしさを持ったハイエンドスマホを自信を持って販売してもらいたいと思います。一方で、今回、小米之家を訪れてみてシャオミがIoT機器などの新たな市場開拓に積極的に行っているのを肌で感じ、この分野では今後どのような個性的な製品で市場を開拓してくれるのか、今から楽しみになりました。
記事執筆:雪華
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