NTTドコモが新たに東北大とも協定を結び震災後の街づくりを支援! |
NTTドコモ東北支社は8日、東日本大震災以降毎年恒例となっている「NTTドコモ東北復興支援の会2017」を同社東北ビル14階大会議室にて開催しました。NTTドコモは同震災以降、2011年12月に東北復興新生支援室を立ち上げ、自治体などと連係し、同社のICT技術を利用した街づくりの支援活動を行っています。
当ブログメディア「S-MAX(エスマックス)」でも昨年8月の仙台市との連携協定締結や今年2月に行われたドローンを用いた遠隔の災害救助活動の実証実験など、さまざまな取り組みを紹介してきました。
また社内募金を募り、さまざまな自治体に寄付を行ったり、昨年からはなでしこジャパンの佐々木則夫前監督によるサッカー教室の支援など、復興に向けて多岐に渡る支援活動を行っています。
今回の東北復興支援の会は活動報告のみならず、前述の佐々木則夫氏の講演や新たに東北大学災害科学国際研究所とNTTドコモによる「防災・減災」に関する連携協定の締結・調印式が行われるなど、盛りだくさんの内容でした。イベントの様子を紹介します。
始めにNTTドコモ執行役員東北支社長の藤原道朗氏より「仙台市及びNTTドコモによるICTを活用したまちづくり二冠する連携協定」の取り組み状況報告がありました。連携協定の話の前に復旧活動についての言及がありました。
すでにネットワークは完全復旧していましたが、今年4月に津波被害を受けたドコモショップ陸前高田店が営業再開することになり、震災から6年経過してようやくドコモショップも“完全復旧”となったそうです。
また、NTTドコモ東北グループでは管理業務を行う社員に防災士資格取得を促し、2017年2月時点で317名もの社員が防災士資格を取得したとのこと。大規模災害が頻発する中、地域や企業で活躍する防災士の需要は高まっており、そうした流れにいち早く対応しています。
復興への取り組みとしては、水温や塩分濃度を遠隔管理できる漁業システム、母牛に体温センサーを付けて分娩事故の低減を図れる農業システムの開発など、NTTドコモのICT技術を各種産業に有効活用した事例が紹介されました。
そして仙台市との連携協定によって実現したドローンを使った実証実験に関しても紹介されました。昨年11月5日には防災無線の代わりにドローンによって津波からの避難を促す実証実験が行われました。実際に映像も流されましたが、ドローンによる放送は緊迫感を生み出し、避難を迅速に促すのには有効だろうと思われました。
しかしこの実証実験は海岸でドローンを操作していたため、震災時のように行政の担当者が被害を受けてしまいます。そこで今年2月にお伝えした泉ヶ岳スキー場で行われた遭難者捜索支援の実証実験では、ドローンを遠隔操作する実証実験も行われました。今後はLTE通信によってドローンが自動航行できるよう、さらなる研究を進めていくそうです。
携帯電話通信網を用いて人口動態をメッシュデータで取得できるモバイル空間統計に関しては、昨年11月22日に津波警報が発令された時も、人がどう避難しているかをデータ取得したそうです。
今後、学術的にデータを解析し、幅広い分野でモバイル空間統計が活用できるよう、後述する東北大学災害科学国際研究所との技術連携を図っていくとのことでした。
続いて行われたパネルディスカッション「ICTで加速する新産業の創出と産業振興」では、パネリストとして仙台市経済局産業制作部産業振興課長白岩靖史氏、スマートブイなど水産業ICTをNTTドコモと共働で開発したアンデックス 代表取締役の三嶋順氏、NTTドコモ東北支社 法人営業部長の山田広之氏が登壇し、震災復興のため、新しい事業家をどう育成し、どう産業振興を図っていくかについて、仙台市とNTTドコモで行ったハッカソンや、水産業ICTの取り組みを通じてディスカッションが行われました。
強調されたのはNTTドコモ社員の震災復興への強い“思い”。三嶋氏も漁業者やNTTドコモ社員との交流を通じ、NTTドコモ社員の思いの強さに心を動かされたとのことでした。
NTTドコモ東北支社企画総務部長安部成司氏からは「今年度の復興支援活動報告」がありました。社員から募金を募り、自治体から公募のあった物を寄付しています。例えば、福島県双葉町には「ふるさとかるた」、岩手県の田野畑村には廃校になった6校の小学校校歌のCDが寄付されています。
また社員ボランティアによる復興活動に関しては、今後は心の復興が大事とのことで、子会社であるABCクッキングスタジオを活用した料理教室や、dTVを活用した動画教室なども行われているそうです。
その後、なでしこジャパン前監督で、NTTドコモなどのNTTグループがスポンサーとなっているJリーグクラブ大宮アルディージャトータルアドバイザー佐々木則夫氏の講演がありました。震災以降継続的にサッカー教室を行っており、そうした試みについての話がありました。
サッカー教室は多くの企業・個人からスポンサーを募って行われており、昨年からはNTTドコモもスポンサーに入っているとのことです。サッカー教室では「命の尊さを感じてもらいたい」とAEDの利用実習もセットにしているのも特長です。
佐々木氏は「サッカーはチームでやるスポーツで一人ではやっていけません。ゴールをした時は同じチームで見ている人も含めて喜ばないと得点にならないなどのルールを設けて、チームとして関わり合うことを大事にしています」と語り、人と人とが関わり合う大切さをサッカーを通じて伝えているとのことでした。
サッカー教室以外の活動としては2013年以降福島県いわき市小名浜で行っているチャリティーゴルフコンペがあります。全国から集まった方々に被災地の現状を見てもらうと共に、チャリティーゴルフではパットを3回叩いたら募金を……などのルールで集めたお金を被災地への募金としています。その他なでしこジャパンのこぼれ話などもあり、大いに盛り上がって講演は終了しました。
最後に東北大学災害国際研究所とNTTドコモによる「防災・減災」に関する連携協定の締結・調印式が行われました。前述通り、こちらは仙台市との連携協定をより強化するもので、モバイル空間統計などで得られたデータを学術的に確かな知見で解析してもらうため、災害研究のエキスパートである今村氏を所長とする東北大学災害国際研究所と連携していくことになったそうです。
調印式に出席したNTTドコモ 取締役 常務執行役員 法人ビジネス本部長 東北復興新生支援室室長の古川浩司氏は「仙台市との連携の時も東北大との連携は見据えていた」とのことでした。今は人の動態を見るために活用されるモバイル空間統計は、潮位変化の動態を見るのにも使えるかもしれない、とのことで、今後産学連携によって、ハザードマップの作成などさまざまな分野で連携の効果が期待されます。
このように、街づくりからサッカー教室まで、NTTドコモの復興支援は多岐に渡っており、復興への熱意も強く感じられる東北復興支援の会となりました。
なお、出席者に配られたお土産の中に、なんとNTTドコモの移動基地局車のトミカが入っていました。上部のアンテナは折りたたみ可能になっています。なかなかレアなので、マニアには嬉しい逸品です。
記事執筆:こば
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