Googleがディスプレイ広告に圧縮技術「Brotli」を使うように! |
Googleが配信するディスプレイ広告は、Googleの検索結果ページや広告サービス「Google AdSense」を導入した多くのWebページなどに表示されており、同社の大きな収益源となっています。
このディスプレイ広告ですが、テキストを用いたものだけではなく、画像や動画を利用したものも配信されており、最近では画面の高解像度化に伴って広告のサイズが大きくなり、場合によってはページの表示速度が遅くなったり、ユーザーの通信量が増えてしまうといった問題が存在します。
その影響を少しでも小さくするために、Googleは今年6月に同社が配信するディスプレイ広告により通信量を削減できる「Brotli(ブレトリ)」という圧縮技術(アルゴリズム)を可能な限り適用すると発表しました。
これにより、Brotliが適用された広告は通信量が削減されるため、読み込み速度向上とバッテリー消費量の削減にも効果があるということです。通信量の削減は有線LANや無線LAN(Wi-Fi)に接続した状態であれば、そこまで気にしなくても良いですが、モバイルネットワーク環境で閲覧している場合は非常に大きなメリットになるかと思われます。
なお、Webブラウザーでは「Google Chrome」のVersion 49以降、「Mozilla Firefox」のVersion 44以降、「Microsoft Edge」における標準ウェブコンポーネント「EdgeHTML 15.14986」(Windows 10の「Build 14986」)以降、「Opera」のVersion 36以降などでサポートされており、これらを利用していれば自動的に適用されます。
Googleでは先日紹介したWebブラウザー「Chrome」への迷惑な広告に対するブロック機能の導入など、収益の柱である広告収入を維持・拡大しながらもユーザーに有意義かつ快適な表示ができるような取り組みも増えており、ユーザーの利便性との協調に努めているように感じられます。
Brotliとは、Googleが開発して現在はオープンソース化した圧縮技術で、非常に優秀な圧縮率を誇ります。名前の由来はスイスで“小さなパン”を意味する「Brötli」(ドイツ語)がとなっています。
Brotli自体はGoogleが2015年に開発したことを発表した技術なのですが、なぜこのタイミングで導入されることとなったのでしょうか。
それはBrotliの前提条件が原因となっています。その前提条件とは、Brotliではhttpsを利用した接続でしか効果が発揮されないという点です。
Brotliがリリースされた当初は、まだhttps接続が一般的でなかったため、大きなサービスでは利用されていませんでした。
しかしながら、最近ではhttps接続が当たり前となってきており、GoogleでもChromeにおいて常時https接続に向けた動きが出ているなど、https接続が当たり前の時代が近づいてきました。そういったこともあってか、今回、Googleがディスプレイ広告の配信に利用したものだと考えられます。
今回、Googleが発表した内容によると、ディスプレイ広告にBrotliを利用することによって、従来のgzip圧縮と比べておよそ15%、場合によっては40%もデータを圧縮できるようになるとのこと。
BrotliをGoogleが利用することによって、全ユーザーに送信する1日のデータ量を数万GB(ギガバイト)も節約することができ、ページの読み込み速度向上、それによるバッテリー消費量の削減などのユーザーエクスペリエンス(UX)向上が見込まれるということです。
記事執筆:YUKITO KATO
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・Google Developers Blog: Brotli Compression in Google Display Ads
・Introducing Brotli: a new compression algorithm for the internet | Google Open Source Blog
・GitHub - google/brotli: Brotli compression format
・Google Developers Japan: Chrome の HTTP 接続におけるセキュリティ強化に向けて