Pepper社会貢献プログラムスクールチャレンジをレポート! |
ソフトバンクグループは11日、同社が2017年4月より実施しているAIロポット「Pepper」を用いてプログラミング技術を競う「Pepper社会貢献プログラムスクールチャレンジ」に参加している全国の小中学生がその学習成果を競う成果発表会を開催しました。
2020年より小学校でのプログラミング教育の必修化が予定されている中、各教育機関の取り組みとともにIT業界による教育支援の動きが活発化しています。本コンテストもまたソフトバンクグループによる教育支援の一環として行われているもので、今回はその集大成として初めての成果発表会および表彰式となります。
ソフトバンクグループがめざすプログラミング教育の未来とは一体どのようなものなのでしょうか。発表会の模様とともに本コンテストの意義やこれからの展望などを解説します。
■大人も感嘆させるプログラミングセンスと発想力
本コンテストには全国18の自治体から小学生部門、中学生部門、部活部門の各代表約50チームが参加し、それぞれにアイデアと工夫を凝らしたプログラミング技術を競いました。
プログラムし動かすのはソフトバンクグループ傘下のソフトバンクロボティクスが開発・提供するAIロボットのPepper。単なるコンピューター上のアプリではなく、人型のロボットをどのように動かし活用するのか、子どもたちの発想力とそれをどのように発表するのかというプレゼン力に注目が集まりました。
Pepperのプログラムには専用アプリ「Choregraphe(コレグラフ)」を用います。コレグラフは一般企業やソフトバンク社内でもPepperの開発に利用されている商用アプリで小学生が扱うには少々難しい印象がありますが、プレゼンでは大人顔負けの見事なプログラムを披露し流れるようにPepperとの演技を行っていきます。
コンテストでは「◯◯に役立つPepper」といった題目に基づいたプログラム製作が設定されており、小学生部門では「人々の笑いに役立つPepper」、「学校と地域のつながりに役立つPepper」、「お留守番に役立つPepper」など、学校や家族、地域コミュニティーなど身近なテーマを題材としたものが多く見られました。
一方中学生部門や小中学校交えての部活部門になると「老後の生活に役立つPepper」、「環境保全に役立つPepper」、「2020年のオリンピックに役立つPepper」といったように扱うテーマの視野が広がり、日本が抱える少子高齢化や孤立社会、環境問題やグローバル社会など、今後考えられる課題を解決する手段としての提案が行われていました。
子どもたちならではの発想力はとくにプレゼンのやり方に現れます。単なる技術発表や一辺倒なデモンストレーションで終わらず、Pepperと小演劇を行ったり本当に会話をしているようにプログラミングをしたり。中にはPepperと上方漫才を演じる学校もあり、プログラミング次第でこんな活用や遊び方までできるという驚きや発見を与えてくれました。
■驚くべき完成度のプレゼンを披露した受賞者たち
各大学の教授や教育関係者、そしてソフトバンク関係者などによる厳正な審査の後に行われた授賞式では、以下の学校が表彰されました。
・小学生部門
金賞……岡山県新見市 新砥小学校
銀賞……岐阜県岐阜市 梅林小学校
銅賞……福岡県飯塚市 立上穂波小学校
・中学生部門
金賞……佐賀県武雄市 武雄北中学校
銀賞……栃木県下野市 南河内第二中学校
銅賞……岡山県新見市 新見第一中学校
・部活部門
金賞……岐阜県岐阜市 青山中学校
銀賞……和歌山県かつらぎ町 笠田中学校
銅賞……東京都町田市 本町田東小学校
授与式にはソフトバンクグループ 常務執行役員管理統括の青野史寛氏が登壇し、記念のメダルなどを授与。各部門で金賞を獲得した3チームには米国シリコンバレー視察の招待権も贈呈されました。
壇上では受賞したチームへのインタビューの他、審査で披露したプレゼンを再び全員の前で行う機会が与えられ、受賞できなかったチームの人たちにも大いに参考になる席となりました。
印象的だったのは、惜しくも金賞を逃しつつも銀賞や銅賞を獲得した子どもたちが皆一様に「金賞が取りたかった!」と言っていたことです。それぞれに笑顔でのインタビューではありましたがその悔しさは本物のようで、それだけ自分たちのプログラムとプレゼンに自信を持ち、どこまでも頂上をめざしたいという強い意思の現れのように思えました。
そして見事金賞を獲得した3チームのプレゼンは圧巻の一言。巧みにPepperを操り、あたかもそこに本物の独立型AIを搭載したロボットが存在しているかのように感じる場面すらありました。
街の雑踏などの中でも正しく動作するよう音声認識ではなく頭や手に搭載されたタッチセンサーに触れて操作する方式を採用するチームが多かったほか、スムーズな動作ときめ細かな配慮や言葉のイントネーションにまでこだわり、時には喋る速度や音声のキーまで調整して利用者により自然な対応ができる工夫まで見せるなど、ロボットとしてのPepperの癖までも掴んだプログラミング技術が光りました。
その見事なプログラミングセンスと素晴らしいプレゼン力は、以下の動画からもご覧いただけます。
S-MAX:ソフトバンク「Pepper社会貢献プログラムスクールチャレンジ」表彰式・1
動画リンク:https://youtu.be/9BXpxt_9a_I
S-MAX:ソフトバンク「Pepper社会貢献プログラムスクールチャレンジ」表彰式・2
動画リンク:https://youtu.be/83UquY2Tq7s
■表彰式が終わりではない、これからが始まりである
本コンテスト「Pepper社会貢献プログラムスクールチャレンジ」は今回が初開催となりましたが、ソフトバンクグループでは今後も継続して同コンテストを行っていくとのこと。また2月16日より新たなプログラミング教育向けアプリ「Robo Blocks(ロボブロックス)」の提供を開始するなど、プログラミング教育への更なる取り組みも表明しています。
子どもたちの論理的思考力や基礎応用力、そして問題解決力などを養う目的で必修化されるプログラミング教育は、時には「小学生のうちからプログラミングなど教えても……」と否定的に捉えられることも少なくありません。
しかし今回のコンテストの取材を通し、子どもたちの発想力や粘り強い調査、失敗にめげないチャレンジ精神など、本来目的としていなかったであろう才能の数々が開花し十分に引き出されていることに気付かされました。
プログラミング教育のめざすところは、ただ盲目的にプログラマーを養成することではありません。目標や目的に対しどのようにアプローチしていくのか、そのアプローチに必要な道具は何か、足りない技術をどう補うのか、そういった「1人の人間としての総合力」を鍛えるための学習方法です。すべての子どもたちがプログラミングに興味をもつわけではないでしょう。しかしそこにわずかでも楽しさや問題を解決していく喜びを感じてくれる子どもたちが現れるのならば、それは将来への大きな資産となるはずです。
壇上で口々に「金賞を取ってアメリカへ行きたかった!」と言っていた子どもたちが、10年後、そして20年後に自分たちの力でアメリカへ旅立つかもしれません。今はそのために必要な「種蒔き」のときなのではないでしょうか。
記事執筆:秋吉 健
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