Googleがスマホなど向けインディーゲームフェスを開催!

Googleは28日、同社のアプリ配信マーケット「Google Playストア」にて配信されている人気インディーゲームを集めた「Google Play Indie Games Festival 2018」( https://events.withgoogle.com/indie-games-festival-2018-1/ )のファイナルイベントを開催しました。

同イベントは巨大なスマートフォン(スマホ)などのモバイル向けゲーム市場へ情熱とアイデアのみで挑むインディーゲームを支援する目的で開催されるもの。これまでに世界各地で開催されていますが、日本では今回が初開催となります。

以前に「Google Play インディーゲームデベロッパー メディアセッション2」の記事でもお伝えしたように、インディーゲームは現在世界中で静かなブームを巻き起こしています。今回はイベントの模様や表彰作品の紹介などとともに、インディゲームの今後について解説します。

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奥深いインディーゲームの世界を大紹介!


■ゲーム開発者の生の声を聞ける貴重なイベント
今回ノミネートされた作品は以下の20作品となります。一部の作品にはベータ版や開発中のものもありますが、多くの作品がすでにGoogle Playストアにてダウンロードできるゲームとなります。

・怪異掲示板と7つのウワサ
・ぼくとネコ
・リバーシクエスト2
・Million Onion Hotel
・キメラクエスト
・in:dark
・旅かえる
・クリスタル・クラッシュ
・ブロッククエスト・メーカー
・ネコの絵描きさん
・Strange Telephone
・Peko Peko Sushi
・Craft Warriors
・思い出の食堂物語
・ねぇ、AI、本当の事がしりたい
・Ninja Flicker
・PARADE!
・From_.
・Enblox
・ねこかわいいぼくゆうれい

それぞれのゲームはイベント会場にてブース展示され、来場者が自由に試遊することができるようになっていました。各ブースでは各々のゲームメーカーの開発者やスタッフから直接そのゲームの魅力や遊び方について聞くことができ、インディーゲームらしいユーザーとゲーム開発者の距離の近さを感じられる素晴らしい展示内容でした。

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たくさんの来場者で大盛況のイベント会場内


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ゲーム開発者から直接話を聞けるイベントはとても貴重だ


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3時間ほどの試遊時間はあっという間に過ぎていった


来場者はゲームをプレイするとステッカーがもらえ、そのステッカーをコンプリートすることでユーザー投票への参加権を得ることができます。ユーザー投票されたゲームからトップ10が選定され壇上にてプレゼンが行われるとさらにその中から審査員とユーザーによる採点が行われ、トップ3が決定されました。

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ステッカーコンプでもらえるメダルを投入してトップ10が選出された


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ガジェット通信副編集長のひげおやじ氏が司会を勤める表彰式


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審査員にはバーチャルYouTuberのキズナアイさんも参加


■ゲームへの熱意を感じたプレゼン&表彰式
ユーザー投票によるトップ10を獲得したのは以下の3作品です。

・Million Onion Hotel
・クリスタル・クラッシュ
・Craft Warriors
・Ninja Flicker
・ねぇ、AI、本当の事がしりたい
・怪異掲示板と7つのウワサ
・ブロッククエスト・メーカー
・ねこかわいいぼくゆうれい
・PARADE!
・ネコの絵描きさん

トップ10作品は壇上でのプレゼンが上記の順にランダムで決定され、自慢のゲームをどれだけ審査員やユーザーにアピールできるのかも採点の対象となりました。

各ゲーム開発者のプレゼンで特に印象的だったのは「ゲーム開発を楽しんでいる」姿勢です。プレゼン冒頭で「ゲームは好きですか?」のスライドを大きく表示する開発者は多く、「さっきのプレゼンと被っちゃいましたね」、「もう見飽きた文字だと思いますが……」と笑いを取る場面が多く見られましたが、それだけゲーム開発への情熱の高さを感じさせてくれました。

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この会場に集まった人々の中にゲームが嫌いな人など居ようはずもない


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ゲームが大好きだからゲームを作る。そんな純粋で素朴な雰囲気に包まれたイベントだった


いずれの作品も甲乙つけがたい良作ばかりだと審査員も唸るほどで、ユーザー投票でも大きく得点が分かれることのない接戦に。

今回トップ3とともに集英社より「少年ジャンプ+賞」も贈呈され、本賞を受賞するとGoogleや集英社によるバックアップのもとに少年ジャンプ+で連載している漫画のゲーム化権が与えられるというものです。

各受賞作品は以下の通りとなります。

「少年ジャンプ+賞」
・ネコの絵描きさん

「トップ3」
・Craft Warriors
・PARADE!
・ネコの絵描きさん


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少年ジャンプ+賞を受賞した「ネコの絵描きさん」はトップ3にも選出されダブル受賞に


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トップ3を受賞した3メーカーで記念撮影


少年ジャンプ+賞とトップ3のダブル受賞となったネコの絵描きさんを制作したのは「Nukenin」というメーカー。こちらのメーカーは任天堂の元社員が集まって作ったゲーム会社ということで「任天堂を抜けた人たち=抜け任」から「Nukenin」という社名になったのだそうです。

元任天堂の社員が集まったというだけありゲームコンセプトや遊びのポイントの掴み方が上手く、絵心のないユーザーでも楽しく遊べるお絵かきゲームというコンセプトはプレゼンでも十分に伝わってくる内容でした。

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やはり元大手ゲームメーカーのノウハウは強みがあったようだ


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下手なら下手なりに楽しくお絵描きが楽しめるというのがこのゲームの最大のポイント


Craft Warriorsはマインクラフトで一世を風靡したボクセルデザインによるリアルタイムストラテジーゲームで、キャラの見た目(デザイン)をユーザーが自由に作りオンライン上でシェアできることが大きな特徴です。

この「オンライン上でシェアできる」というのは今回ノミネートされていた他の多くのゲームにも共通したポイントでもあり、如何に多くのユーザーをそのゲームに巻き込んでいくか、ユーザー同士の繋がりによってゲームを盛り上げていくのかがヒットゲーム製作の1つのポイントだったように思われます。

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コロっとしたかわいいボクセルデザインのキャラたちが箱庭の中で戦略シミュレーションバトルを繰り広げる


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手足胴など基本的なパーツさえあれば自由に3Dキャラクターを作ることができる


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本イベントのプレゼン用にキズナアイさんやドロイドくんに似せたキャラも


PARADE!で大きく評価されたのは音楽とゲームの融合です。PARADE!は音楽のテンポに合わせて画面をタップする、いわゆる「音ゲー」に分類されるゲームですが、大きな特徴として画面を見ながら遊ぶというよりも音楽のリズムに乗せて操作をするというイメージの強いゲーム性で人々を魅了しました。

インディーゲームでは開発費や人件費、開発機材の問題などから3Dモデルを使ったゲームはなかなか手が出しづらいというのが一般的ですが、このPARADE!やCraft Warriorsのように3Dキャラを用いたゲームが軒並み受賞している点は、インディーゲームの世界でも単なるアイデア勝負だけではなく十分な開発力や高度な技術力が試される時代に入っていることを示しているように思われます。

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動物たちが音楽に合わせて街を練り歩くコンセプトについて「王道感を出したかった」と語る「PARADE!」


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音楽ゲームはスマホと相性の良いジャンルの1つだろう


■ゲームを愛するすべての人へ
本イベント全体の印象として感じたことは、インディーゲームにこそ「ゲームの原点」があるのではないか、という点です。

昨今のモバイル向けゲームのランキングやヒット作品などを見てみれば、その多くはキャラクターなどのランダム排出を基本とした課金要素の強い、いわゆる「ガチャゲー」と呼ばれるものがほとんどです。

こういった作品はユーザーの射幸心を煽り何かと話題を呼びますが、ゲームシステムそのものでユーザーを楽しませる工夫といった部分では話題に上らないことが多々あります。もちろんゲーム開発者はさまざまなギミックを凝らしたゲーム性を付加していますが、いずれも「課金させるための要素」である場合が多いように思われます。

一方でインディーゲームでは課金要素を極力配したものが多く、課金しなくても十分に遊べたり課金要素があってもガチャではない普通のアイテム購入であったりするなど、常識的に考えて妥当と思える課金要素に収まっているのが大きな特徴です。

筆者はことさらにガチャ課金を批判したりそれを否定するつもりはありませんし「強いキャラを手に入れてゲームを有利に遊ぶ」という要素もまたゲーム性の1つだと理解していますが、インディーゲームに見る課金要素は従来からの「ゲームを購入して遊ぶ」という当たり前の行為を任意による課金にすることで、「面白かったらお金を払ってもらえれば結構」というゲーム開発者側の奥ゆかしい姿勢やポリシーを示しているようにすら感じるのです。

そしてまた、ユーザー側もゲームをプレイし「もっと遊びたい」、「このゲームにならもう少しお金を払ってもいい」と感じればこそ課金するのではないでしょうか。

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「旅かえる」の課金画面。そもそも課金しなくてもゲームを最初から最後まで遊べてしまうこのゲームにおいて「課金」は重要な要素ではない。少なくとも数千円や数万円という重課金をする意味はゲーム性を含めて皆無である


ゲーム開発も当然収益あっての企業活動です。収益がなければゲーム開発を続けることすらできません。しかしインディーゲーム開発者が何よりも望んでいることは「ゲームを楽しんでもらうこと」です。「ゲームは好きですか?」のスライドがさまざまなゲームメーカーのプレゼンで出されたように、ゲーム開発者はゲームを愛しゲームが大好きなユーザーを求めているのです。

インディーゲームを遊んだことがないみなさんも、この機会にぜひ一度遊んでみてはいかがでしょうか。往年のゲームファンであればファミコンやスーパーファミコンの時代に感じた面白さを思い出すかもしれません。若い方であればトップセールスランキングのゲームにはない純粋なゲームの楽しさを発見するかもしれません。ゲームを楽しめるかどうかは、それを遊ぶみなさん次第なのです。

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モバイル向けゲームの未来が、きっとここにある


記事執筆:秋吉 健


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