総務省が「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」を公表! |
総務省は27日、携帯電話などのモバイル市場における「競争ルールの検証に関する報告書2020」などを踏まえ、モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けて同省が今後取り組むべき事項について具体化を図る観点から「アクション・プラン」を取りまとめて公表したとお知らせしています。
同省では菅義偉 内閣総理大臣の旗振りの元で「日本の携帯電話料金が諸外国と比べて高い」としてNTTドコモやKDDI、ソフトバンクといった移動体通信事業者(MNO)の大手3社に対して携帯電話料金の値下げや競争促進を要請しています。
そうした中でモバイル市場においてどうしたら値下げや競争促進が行われるのかを検討し、具体的な取り組みを公表しました。アクション・プランは「分かりやすく、納得感のある料金・サービスの実現」や「事業者間の公正な競争の促進」、「事業者間の乗換えの円滑化」の3つの柱からなります。
主な具体策としては通信料金と端末代金の完全分離をさらに進め、頭金などの誤解を与える表示の是正や中古端末を含めた端末流通の活性化、他社から乗り換え(MNP)の手数料無料化を含めた乗り換え環境の整備、キャリアメール転送、eSIMの促進、固定通信と携帯電話のセット割引などの検証などが行われるということです。
さらに格安SIMと呼ばれる仮想移動体通信事業者(MVNO)も推進し、MNOから回線を貸し出す際のデータ接続料や音声卸料金の一層の低廉化、周波数の有効利用やインフラシェアリングの促進などが実施されるとのこと。こうした取り組みを受け、早くもソフトバンクでは携帯電話サービス「SoftBank」と「Y!mobile」にて来春にMNP手数料を無料化すると発表しています。
またNTTドコモやKDDI(auおよびUQ mobile)でも競争ルールの検証に関する報告書やモバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プランで示された総務省の方針を踏まえ、市場動向を見ながらMNP手数料の無料化を含めた各施策を検討していくということです。
なお、報告書ではMNP手数料についてオンラインでは無料、店頭や電話窓口は1,000円以下とすべきとしているものの、武田 良太 総務大臣は2020年10月27日の閣議後記者会見で「原則0円」とするとし、現在、転出時と転入時の2回かかる移転手続の課題を解決するなど、利用者がより使いやすいものとしていきたいとコメントしています。
携帯電話は今や国民の生活必需品となっているとともに国民の生命・財産を守り、社会経済活動を支える重要インフラとしての役割を果たしており、国際的に見ても遜色がなく、国民利用者にとって分かりやすく納得のできる料金・サービスの実現が求められることから利用者が低廉で多様なサービスの中から自らのニーズに合ったものを利用できる環境の整備が必要となります。
総務省ではこれまでも事業者間の活発な競争を通じて低廉で多様なサービスの実現を図るべく、モバイル市場における公正な競争環境を整備するための取組を進めてきており、昨年10月に通信料金と端末代金の完全分離や行き過ぎた囲い込みの禁止等を内容とする電気通信事業法の一部を改正する法律(令和元年法律第5号)が施行され、以後、その着実な執行を進めてきました。
またこの改正電気通信事業法により講じた措置の効果やモバイル市場に与えた影響について、「電気通信市場検証会議」(座長:大橋弘東京大学公共政策大学院長)の下に「競争ルールの検証に関するWG」(主査:新美育文明治大学名誉教授)を設置し、検証を行ってきました。
このWGにおいて競争ルールの検証に関する報告書2020が取りまとめられるとともに「接続料の算定等に関する研究会」(座長:辻正次神戸国際大学学長・教授)においても今年9月に第4次報告書が取りまとめられるなど、関連する有識者検討会等においても議論の進展が見られています。
そうした中で総務省では改正法の施行やこれらの報告書に加えて今月8日に開催した「武田総務大臣と携帯電話利用者との意見交換会」において寄せられた国民各層の意見や事業者・有識者の意見等も踏まえつつ、モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けて総務省として今後取り組むべき事項について具体化を図る観点からアクション・プランを取りまとめて公表しました。
アクション・プランでは利用者にとって携帯電話サービスが「安く」「わかりやすく」「納得感のある」ものとなるように総務省として取り組むべき内容となっており、3つの柱からなる施策を今後、順次実施していき、実際に各通信事業者が早急に対応できるようにスピード感をもって取り組んでいくとしています。なお、総務省では公正取引委員会や消費者庁と協力していくということです。
料金プランの値下げについては低・中容量プランについてはすでにサブブランドやMVNOによってさまざまな低廉なサービスと料金が選択肢として存在しているとし、大容量プラン中心に国際的に見て割高なため、大容量プランを国際水準に近いものに発展させていく方針だとし、そのためにMNPの手続きやキャリアメールの持ち運び、eSIM促進などによって競争を促していくとしています。
記事執筆:memn0ck
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・総務省|武田総務大臣閣議後記者会見の概要(令和2年10月27日)
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