新スマホ「iPhone 14」や「iPhone 14 Pro」、「iPhone 14 Pro Max」が各所で分解!通信用チップはQualcomm製と判明

日本ではNTTドコモやau、SoftBank、楽天モバイル、Appleなどから9月16日に発売された最新スマートフォン(スマホ)「iPhone 14」および「iPhone 14 Pro」、「iPhone 14 Pro Max」ですが、発売直後の恒例とも言えるiFixitなどの修理業者を中心に分解がさっそく行われています。な

Appleが公開している製品仕様では内蔵メモリー(RAM)や電池パックの容量などの詳細なスペックが明らかにされていませんが、すでに各種認証機関などによってある程度判明していましたが、今回、分解したことによる部品によってそれらの数値が確定しました。

またiPhone 14シリーズの大きなトピックのひとつである衛星通信への対応ですが、通信用チップ(モデム)はQualcomm Technologies(以下、Qualcomm)製「Snapdragon X65 5G Modem-RF System(SDX65M)」であることが判明し、SDX65Mは衛星通信会社「Globalstar」が用いている2.4GHz帯のSバンドのうちの4G Band 53および5G NR n53(2483.5~2495MHz)に対応しています。

その他、各種の搭載部品や修理のしやすさなど、分解してわかったことをまとめて紹介したいと思います。なお、iPhone 14シリーズはこの後、10月7日(金)にスタンダード機の大画面モデル「iPhone 14 Plus」も発売予定となっています。


まず各所の分解からiPhone 14については内部構造がこれまでのiPhoneシリーズから大幅に変更され、ディスプレイ面を外すと濃紺色の金属プレートが全面を覆っている「センターパネル構造」になっており、これによって従来よりも修理しやすくなっているということです。

この変更は2021年に米連邦取引委員会(FTC)が「修理する権利」に関する法律の施行を決定したことが背景にあるようで、実際に今年に入ってからAppleでは個人でも修理ができるようなプログラム「Self Service Repair」をアメリカで提供開始しています。一方、iPhone 14 ProおよびiPhone 14 Pro Maxについては従来までの構造と同じだったとのこと。

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そして通信用チップは2019年のiPhone 11シリーズではIntel製でしたが、2020年の初の5G対応となったiPhone 12シリーズはQualcomm製「Snapdragon X55 5G Modem-RF System(SDX55M)」、2021年のiPhone 13シリーズは「Qualcomm製「Snapdragon X60 5G Modem-RF System(SDX60M)」に続いてiPhone 14シリーズでは衛星通信にも対応したQualcommのSDX65Mを採用となりました。

なお、AppleとQualcommは以前に長らくライセンス料を巡って対立しており、一時的にQualcommから通信用チップを調達できずにしましたが、2019年4月に全面的な和解に達し、同時に2019年4月にIntelが5Gへ対応する通信用チップの開発を中止することを発表したこともあってそれ以降はQualcommの通信用チップを採用しています。

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緊急SOS機能はまずはアメリカとカナダにて今年11月以降に提供されるソフトウェア更新を行うことで利用可能に

また和解の条件として当時開発中だったSDX65Mまたは「Snapdragon X70 5G Modem-RF System(SDX70M)」をAppleが採用することになっていました。そうしたことから今回(和解の条件になっていなくても採用していた可能性は高いですが)、iPhone 14やiPhone 14 Pro、iPhone 14 Pro MaxにSDX65Mを採用したものと見られます。

なお、AppleではIntelが5G対応通信用チップの開発を中止後にIntelから携帯電話など向けのモデム事業に関わっている約2200人の従業員と知的財産(IP)、設備などを10億ドルで買収しており、将来的には通信用チップも自社で開発することをめざしていると思われます。

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緊急SOS機能は衛星の方にiPhoneを向けるように画面に案内が出て簡単な緊急メッセージを送信する仕組み

iPhone 14シリーズが対応する衛星通信機能は遭難したときなどの緊急時に緊急SOSを送れる限定的な機能で、まずは今年11月からアメリカ(本土)とカナダで提供され、少なくとも2年間は無料で利用可能となっており、2年後以降は現時点ではどういった形でサービスが提供されるのかは明らかにされていません。

またアメリカやカナダでも北緯62°以上の場所では利用できないことがあるとのこと。なお、この衛星通信を利用した緊急SOS機能は中国や香港特別行政区、マカオ特別行政区で販売されている製品以外では利用できると案内されているため、日本で販売されている製品を含めて今年11月以降にアメリカやカナダで利用できるようです。

製品画面大きさ重さSoCRAM電池容量
146.1型146.7×71.5×7.8mm172gA156GB3279mAh
14 Plus6.7型160.8×78.1×7.8mm203gA156GB4323mAh
14 Pro6.1型147.5×71.5×7.9mm206gA166GB3200mAh
14 Pro Max6.7型160.7×77.6×7.9mm240gA166GB4323mAh
136.1型146.7×71.5×7.7mm173gA156GB3095mAh
13 mini5.4型131.5×64.2×7.7mm140gA156GB2406mAh
13 Pro6.1型146.7×71.5×7.7mm203gA156GB3095mAh
13 Pro Max6.7型160.8×78.1×7.7mm240gA156GB4352mAh
126.1型146.7×71.5×7.4mm162gA144GB2815mAh
12 mini5.4型131.5×64.2×7.4mm133gA144GB2227mAh
12 Pro6.1型146.7×71.5×7.4mm187gA146GB2815mAh
12 Pro Max6.7型160.8×78.1×7.4mm116gA146GB3687mAh
116.1型150.9×75.7×8.3mm194gA134GB3110mAh
11 Pro5.8型144.0×71.4×8.1mm188gA134GB3046mAh
11 Pro Max6.5型158.0×77.8×8.1mm226gA134GB3969mAh
XR6.1型150.9×75.7×8.3mm194gA123GB2945mAh
XS5.8型143.6×70.9×7.7mm177gA124GB2659mAh
XS Max6.5型157.5×77.4×7.7mm208gA124GB3179mAh
X5.8型143.6×70.9×7.7mm174gA113GB2716mAh
SE(第3世代)4.7型138.4×67.3×7.3mm144gA154GB2018mAh
SE(第2世代)4.7型138.4×67.3×7.3mm148gA133GB1821mAh

なお、米連邦通信委員会(FCC)ではiPhone 14シリーズの認証情報(FCC ID「BCG-E8155A」および「BCG-E8156A」、「BCG-E8138A」、「BCG-E8150A」、「BCG-E8152A」、「BCG-E8142A」、「BCG-E8140A」、「BCG-E8151A」)をすでに掲載しており、衛星通信としては受信・送信ともに理由できる2.4GHz帯の4G Band 53および5G NR n53だけでなく、送信用としてTバンドの1つである1.6GHz帯(1626.5〜1660.5MHz、n99)でも認証を通過しています。

その他ではiPhone 14はチップセット(SoC)に「Apple A15 Bionic」、iPhone 14 ProとiPhone 14 Pro Maxは「Apple A16 Bionic」を搭載していますが、iPhone 14 ProとiPhone 14 Pro Maxでは内蔵メモリー(RAM)がLPDDR5に対応しているとのこと。またRAM容量は3機種ともに6GBとなっており、バッテリー容量はiPhone 14が3279mAh、iPhone 14 Proが3200mAh、iPhone 14 Pro Maxが4323mAhに。











記事執筆:memn0ck


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