iPhoneやAirPodsを売るべき理由について考えてみた!

先日、筆者はAppleが発売した新型スマートフォン(スマホ)「iPhone 14」と新型完全ワイヤレスイヤホン「AirPods Pro(第2世代)」を購入しました。それに伴い、古いiPhoneやAirPodsは中古買取へ売却しました。

筆者が毎年新しいiPhoneを購入し古いiPhoneを売却するのも、もはや恒例になりました。10年ほど前までは古い端末をコレクション的に集めておく癖がありましたが、後述するさまざまな理由から「売却したほうが良い」という結論に至って以来、手元にスマホなどのモバイルデバイスを残しておくことは稀になりました。

なぜスマホなどのモバイルデバイスは売却したほうが良いのでしょうか。またモバイルデバイスを売却することに金銭的な理由以外のメリットはあるのでしょうか。

感性の原点からテクノロジーの特異点を俯瞰する連載コラム「Arcaic Singularity」。今回はiPhoneやAirPodsを「今」売るべき理由について考察します。

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自宅に使い古したiPhoneを寝かせていませんか?


■iPhoneシリーズはリセールバリューが非常に高い
現在も多くの人がNTTドコモやKDDIといった通信キャリアの販売するiPhoneを購入しているかと思いますが、筆者はSIMフリー版が発売されて以来、ずっとAppleの公式オンラインストアや実店舗のApple Storeで購入しています。

最大の理由は通信キャリアで買うよりも数万円安く買えるからですが(意外とその事実も一般には知られていない)、中古で売却する場合にも手間がなく、しかも通信キャリアによる下取りなどより高く買い取ってもらえる場合が多かったからです。

例えば今回はiPhone 13 miniを売却しましたが、売却価格は86,000円でした。購入時の価格が122,800円だったので、差し引き36,800円で1年間使えたことになります。

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筆者はスマホをとにかくキレイに使う。今回も傷1つなく満額での買取だった


コストパフォーマンスの是非はひとまず置いておくとして、iPhoneを売却したほうが良い理由の1つがリセールバリューの高さです。

Androidスマホと比較してiPhoneシリーズは中古価格が落ちづらく、中古販売店の店頭では2~3年前の型落ち機種でも「え?こんなに高いの?」と驚くような価格が付けられていることが多くあります。そして中古価格が高いということは、当然買取価格も高くなります。

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大手中古買取業者「イオシス」の買取価格表。2年以上前のiPhoneシリーズでもこの価格で買い取ってもらえる


最近では通信キャリアによる残価設定型プログラム(およびそれに準ずる販売方式)によるスマホ販売が定着し、一括販売価格の半額程度で購入できるようになりました。

しかしながら、前述のようにそもそも通信キャリアはスマホの販売価格に数万円単位でマージンを乗せている点や、自由に売却しづらい点、さらに中古買取業者に売却するよりも若干安い場合が多い点など、デメリットも多くあります。

そのため、相場の変動に左右されたり、スマホの状態によっては買取価格が大幅に下るリスクはあるとは言え、少しでも安くiPhoneを購入したいと考えるならば、購入時の安さだけではなく、中古買取価格なども考慮して中~長期的な計画を立てて購入することをオススメします。

例:iPhone 14(128GBモデル)の一括販売価格の比較

【Apple】119,800円

【NTTドコモ】138,930円

【au(KDDI)】140,640円

【ソフトバンク】140,400円

【楽天モバイル】131,800円

※いずれも公式オンラインストアでの価格

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ソフマップ横浜ビブレ店での中古販売価格。4年も前の機種でさえこの価格だ


■新品が高いからこそ中古市場を活用する
そして、もう1つの「今iPhoneを売るべき理由」があります。それはAppleによる製品価格の改定です。

Appleは今年7月、iPhoneシリーズなどほとんどの販売製品に対して値上げを行いました。円相場の厳しい円安傾向を反映したものです。

普通に考えるならば円相場が落ち着き、再びAppleがiPhoneを値下げするまで購入を待ちたいところですが、そもそもAppleが値下げを行うのか分からない上、どうしても今年iPhoneを買い替えたいと考えるのであれば、少しでも元は取りたいところです。

Appleによる新品販売の価格が上がったことで中古相場も同程度に上がったという様子は今のところありませんが、前述したようにリセールバリューの高さを活かせる状況であることは変わりありません。

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1年前の機種から買い替える人はほとんどいないと思うが、売るなら当然早いほど高い


■意外な落とし穴?AirPodsシリーズも「高値で」売れる
最後に、意外と人々が知らないのが「AirPodsも売れる」という点です。しかも結構な値段が付きます。

一般的にスマホの周辺機器で中古市場が賑わうことはほとんどありませんが、AirPodsシリーズだけは別です。中古買取業者がわざわざ看板を出すほど買い取りに力を入れており、例えば2019年発売のAirPods Proの場合、3年経った今でも1万円前後で買い取ってもらえるケースが多くあります。

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イオシスのAirPods Pro(2019年モデル)の買取価格


スマホの周辺機器というのは意外と寿命が早く、次々に買い替える印象がありますが、その処分先として「売却する」という発想に至る人は少ないように思います。

かく言う筆者もAirPodsシリーズは買い替えるたびに処分することなく自宅に保管していたのですが、無駄に積み上げていても仕方がないと、今回売却に至った次第です。

ちなみに売却価格は、初代AirPods(2台)はそれぞれ400円と500円で流石に経年劣化による捨て値での買取でしたが、AirPods(第2世代)は7,600円、AirPods Pro(2019年モデル)は10,400円と、かなりの値が付きました。

AirPodsシリーズも決して安くはない製品ですので、買い替えに躊躇する人も多いかと思います。もし買い替えを検討するのであれば、中古市場への売却も積極的に検討したいところです。

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ソフマップ横浜ビブレ店でも買取をアピールしていた


■モバイルデバイスにおける最大のSDGsはリユース
結局、筆者は今回iPhone 1台とAirPodsシリーズ 4台の、合計5台を売却し、合計金額は104,900円にものぼりました。正直、自分でも驚くほど高値が付いたという印象です。

中には初代AirPodsのように、捨て値のものもありました。しかし自宅に置いていても押入れの肥やしにしかならず、しかもバッテリーの経年劣化による破裂や発火の危険もあるため、正しく処分する必要がありました。

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押し入れの肥やしが10万円になった


以前のコラムでも書きましたが、現在のモバイルデバイスの多くは内蔵バッテリーが取り外せないものが多く、自宅保管などにはまったく向いていません。

筆者は仕事柄、できることならモバイルデバイスを資料として手元に残しておきたいと考えていますが、前述のように破裂や発火のリスクが伴う上に、仮にそのような危険がなかったとしても、10年や20年という期間を経れば、経年劣化による膨張で製品自体を破壊してしまうのがオチです。

製品が破壊されてしまっては、資料としての価値もほとんどありません。結果として捨てることになってしまうのであれば、使用できるうちにリユース品として売却してしまうのが最良であると考えるのです。

【過去記事】秋吉 健のArcaic Singularity:漂泊と邂逅のデジタル・アーカイブス。電子機器とそのデータをどのように残し管理・処分すべきか考える【コラム】

昨今は何かとSDGsというスローガンを掲げ、持続可能な社会の実現を目指そうという流れになっていますが、ことモバイルデバイスやデジタルガジェットといった類の世界では、大量生産と大量消費を繰り返す印象で環境に優しくないと感じることが多くあります。

Appleなど一部のデバイスメーカーは、製品を構成する部品の多くをリサイクル素材にするなどの環境保護アピールに積極的ですが、それは製品を作る段階の話であり、販売した後の製品についてはユーザーの意識に委ねられているのが実情です。

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製品の製造過程はエコでも、それを使うユーザーがエコにならなければ意味がない


モバイルデバイスを利用する上で、環境保護に最も有効な手段は「できる限り長く使うこと」です。

何十年も昔のエアコンのように電力効率が悪く環境負荷が高いものであればともかく、スマホやその周辺機器などは数年経ったからと言って「買い替えないと環境負荷が高い」といったことはほぼありません。むしろ頻繁に買い替え続けることで環境負荷は高くなるでしょう。

それでもなお製品を買い替えるのであれば、それまで使っていた製品は積極的に再利用(リユース)へと回して欲しいと考えるのです。

仮に中古市場で売れ残ったとしても、それはそれで部材を回収するリサイクルへと回されます。自宅で埃を被ったままで放置されるよりは余程マシです。

今、iPhoneやAirPodsを売るべきたくさんの理由。それは単なる金銭的な損得の問題だけではありません。道具を大事に使い、持続可能な社会を目指すという視点でも、とても重要なことなのです。

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使える道具は使えるうちに、誰かに使ってもらいたい


記事執筆:秋吉 健


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