総務省が未利用の700MHz帯における狭帯域4Gシステムの割り当てを検討開始!

総務省は30日、情報の電磁的流通および電波の利用に関する政策について重要事項を調査審議する「情報通信審議会」における「情報通信技術分科会」にて「新世代モバイル通信システム委員会」の「技術検討作業班(第29回)」を開催し、新たに700MHz帯(Band 28)において未利用の周波数帯を用いた4G(第4世代移動通信システム)の導入が提案されたことを明らかにしています。

この提案は楽天モバイルが“プラチナバンド”と呼ばれる低周波数帯(700〜900MHz帯)の獲得に向けた議論の中で既存のNTTドコモやKDDI、沖縄セルラー電話、ソフトバンクが利用している周波数帯を再配分(再割当)するように求めていたことに対し、NTTドコモが700MHz帯において未利用の周波数帯(715〜718MHz、770〜773MHz)が存在しているため、この周波数帯の4Gへの新規割当を検討するように提案しました。

NTTドコモからの提案を受けて総務省ではこの700MHz帯の3MHz幅×2の「狭帯域LTE-Advancedの技術的条件を検討開始」し、導入のために過去の情報通信審議会の共用検討を踏まえて隣接帯域を使用している「地上デジタルTV放送」や「特定ラジオマイク」などとの共用検討を行うことが必要とし、技術検討作業班の下に「700MHz帯等移動通信システムアドホックグループ」を新たに設置することを公表しました。

これに対して楽天モバイルは1日、同省による狭帯域LTE-Advancedの技術的条件を検討開始の決定を受けてプラチナバンドの再割当以外の新たな選択肢になりうる700MHz帯の狭帯域な4Gシステムの検討が開始されたことを歓迎し、総務省における技術検討に参加予定であり、議論にしっかりと貢献していきたいと、この提案による700MHz帯の新規割当を希望する旨を表明しています。

08

楽天モバイルでは移動体通信事業者(MNO)として自社回線(以下、楽天回線)を構築して提供する携帯電話サービス「Rakuten UN-LIMIT」シリーズ( https://network.mobile.rakuten.co.jp/ )を2020年4月より提供しており、これまで総務省では4G用として1.7GHz帯(Band 3)の20MHz幅×2、5G用のSub6として3.7GHz帯(n77)の100MHz幅および東名阪以外の地域における1.7GHz帯(n3)の20MHz幅×2、ミリ波(mmWave)として28GHz帯(n257)の400MHz幅を楽天モバイルに割り当ててきました。なお、当面は東名阪以外の地域における1.7GHz帯は4Gとしても利用可能としています。

そうした中で楽天モバイルは4Gの1.7GHz帯にてエリア展開を進めており、総務省に提出した基地局開設計画を4年以上前倒しして今年2月には日本全国の人口カバー率96%を達成するなど、急速にエリア拡大を行ってきましたが、一方でやはりプラチナバンドと呼ばれる低周波数帯がないため、エリア内であっても屋内や建物の裏側などでは利用できないといった状況となっているため、楽天モバイルではプラチナバンドの割当を強く要望しています。

09

10

11

特に最近では既存のプラチナバンドを割り当てられているNTTドコモやKDDI・沖縄セルラー電話、ソフトバンクといった移動体通信事業者(MNO)からプラチナバンドを5MHz幅ずつ回収して15MHz幅を再割当するように総務省に要望しており、さらに再割当についても1年以内に再割当するという主張を展開しているため、NTTドコモやKDDI、ソフトバンクなどは基地局にフィルタ交換などを行いながら10年程度かけて順次以降(再割当)するのが妥当など、楽天モバイルの計画にかなり難色を示していました。

一方、総務省における楽天モバイルへのプラチナバンドの割当について「携帯電話用周波数の再割当てに係る円滑な移行に関するタスクフォース」が開催されてきましたが、その第12回においてそもそもプラチナバンドを「15MHz幅も必要なのか」という意見が出され、NTTドコモでは同社の利用状況から15MHz幅なら約5500万契約が収容可能だとし、再割当であっても利用目的や収容見込などを勘案して適切な帯域幅を検討すべきだと主張してきました。

02

03

04

05

そして今回、NTTドコモが新たに移動通信システムの仕様の検討・作成を行う標準化プロジェクトである「3GPP」においてBand 28(700MHz)に内包されているものの、すでにNTTドコモやKDDI・沖縄セルラー電話、ソフトバンクに割り当てられているBand 28(700MHz)と隣接システム(特定ラジオマイク、地上デジタルテレビ放送、 ITS)との間に未利用の周波数が存在しており、この周波数を割り当てることを検討するよう提案してきました。

未利用の700MHz帯は715〜718MHzと770〜773MHzの3MHz幅×2とかなり狭い周波数幅なっているものの、海外では3MHz幅×2による導入事例もあり、かつ、NTTドコモでは3MHz幅×2でも約1100万契約の収容が可能だとし、現在の楽天モバイルの契約数であれば1.4MHz幅×2(約510万契約収納可能)でも十分ですが、今後、契約数が倍増したとしても当面は3MHz幅×2でも十分なのではないかというように主張しています。

なお、周波数幅が狭いと最大通信速度も下がるため、例えば、受診時(下り)の最大通信速度は4GのFDD-LTE方式であれば、3MHz幅×2で30Mbps、1.4MHz幅×2で12Mbpsとなりますが、楽天モバイルが最も必要としているのはプラチナバンドによる屋内などの電波の届きにくい場所のエリア化であるため、ひとまずは3MHz幅×2でも比較的早い時期に割り当てられるなら歓迎するといったところではないかと思われます。

06

07




記事執筆:memn0ck


■関連リンク
エスマックス(S-MAX)
エスマックス(S-MAX) smaxjp on Twitter
S-MAX - Facebookページ
楽天モバイル 関連記事一覧 - S-MAX
総務省|新世代モバイル通信システム委員会|情報通信審議会 情報通信技術分科会 新世代モバイル通信システム委員会 技術検討作業班(第29回)
総務省情報通信審議会における狭帯域LTE-Advancedに関する技術的条件の検討開始について | プレスリリース | 楽天モバイル株式会社
楽天モバイル