TwitterのAPI制限や代替SNSについて考えてみた!

7月に入ってからの1週間、日本だけではなく全世界がTwitterのAPI制限関連で右往左往する騒ぎとなりました。もはや各メディアでも解説され、そもそも私たちユーザーがその影響を大きく受けているために説明不要かと思いますが、7月8日現在のTwitterは無料ユーザーの場合1日1000件、Twitter Blueユーザー(課金ユーザー)の場合1日1万件までのタイムライン閲覧に制限されています。

他にも非ログイン状態ではツイート内に埋め込まれた外部リンクをクリックしてもリンク先を開けないなど、いくつかの制限がかかっていました。これらの制限は日を追うごとに緩和されているものの、完全に元に戻ったわけではありません。

Twitterの突然の「暴挙」に人々は猛抗議を行ったり他SNSの利用を検討したりと、慌ただしい毎日が続いています。しかし、結局ほとんどの人々は文句を言いながらもTwitterを利用しているように思います。

人々は何故Twitterから離れられないのでしょうか。また他SNSとTwitterの違いとは一体何なのでしょうか。感性の原点からテクノロジーの特異点を俯瞰する連載コラム「Arcaic Singularity」。今回はTwitterユーザーを襲ったAPI制限や代替SNSについて考察します。

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筆者はツイートを書き込みまくる連投魔であるせいでbotと間違えられ、閲覧制限ではなく書き込みやいいねができない珍しい制限が掛かってしまった


事の発端はTwitterが収益性を高めるためにAPIの利用を有料化したことだと考えられます。Twitterはそれまで外部サイトや各種ツールとの連携用としてAPIを提供していますが、赤字解消を目的としてAPIを原則有料化しました(一部は無料でも利用できるがほとんどテスト用にしか使えないレベルの利用回数)。

そのため、Twitterを通じて情報を集めたい企業の多くは渋々使用料を払って利用することとなりましたが、その利用料が非常に高額であったため、お金を払いたくない企業や一部の個人ユーザーが「スクレイピング」(ウェブスクレイピング)と呼ばれる使い古された手法でターゲット層の情報を集めはじめたのです。

スクレイピング自体は多くの場合違法ではありませんが、Twitterのタイムラインや検索システムを通じてアクセスし大量のデータを集めるため、APIを用いる方法よりもTwitterのサーバーなどに大きな負荷を与えることとなってしまいました。

そこで負荷軽減策として行われたのが今回のAPI制限(閲覧数制限など)だと考えられます。タイムラインを自由に閲覧し世界中の人々とランダムに交流することこそSNSの本質であることを考えればあまりにも異常な対策ですが、他にスクレイピングを軽減させる良い方策がなかった、といったところでしょうか。

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ユーザーにしてみれば単なる経営の舵取りミスであり良い迷惑でしかない


■Twitterの代わりはいない?
さて、Twitterのお粗末な経営戦略はひとまず置いておくとして、今回の騒動によってユーザーは「Twitterがダメなら他のSNSに逃げればいいじゃない」と、ポストTwitterになり得るSNS探しに躍起になりました。

以前からTwitterが使いづらくなるたびに名前が上がる「Mastodon」(マストドン)や「Misskey」(ミスキー)、さらに2022年に運用が開始された「Bluesky」(ブルースカイ)などが「Twitterからの移転先候補」として挙がり、さらにはこのような状況を予知していたかのようなタイミングで登場したMeta(元Facebook)の「Threads」(スレッズ)が注目を浴びるなど、実に多くのSNSが「Twitter上で」話題となっていたのは皮肉な話です。

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Twitterからの移転先はどこがいいのかとTwitterで情報を集める。依存性の高さが逆説的に証明されてしまった


しかしながら、Twitterユーザーが他のSNSへ乗り換えるというのは簡単な話ではありません。理由は複数ありますが、最も大きな問題は「コミュニティがない」という点です。

そもそも、SNSとはその名の通り「ソーシャル・ネットワーキング・サービス」であり、ユーザー同士がテキストベースや音声による交流を行うことで成り立ちます。

人同士が交流しそれが数十人・数百人と増えていけば、そこにコミュニティが生まれるのは必然です。仮に「Twitterはニュースやトレンド情報を読む場所」と割り切って使っている人であったとしても、そこにニュースが流れてくるからこそSNSとして成立するのであって、ニュースを流す人や企業がいなければ利用価値の多くを失ってしまうのです。

その点で他SNSはTwitterと比較してユーザーが少なく、またTwitterでよく知る人々がそのまま移行しているわけでもなく、Twitterと同程度の情報やニュースが常に流れているわけでもありません。

これは、Twitterのユーザーシェアが大きな日本では特に大きな障壁となります。MastodonやMisskeyがどれだけ使いやすくとも、そこに求めるようなコミュニティがなければ乗り換える意味がないのです。

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コミュニティとまで言わずとも、SNSは多くの人が様々な話題を投じているからこそ面白い。人の少ないSNSはそれだけで面白くない


そしてもう1つ、Twitterから乗り換えしづらい理由が「SNSごとの特徴やルールがある」という点です。

例えばMastodonは、以前Twitterによる表現規制問題が持ち上がった際、より表現規制の緩いMastodonにイラストレーターやイラストを趣味とする人々が大量に流入した経緯があります。

そのため話題性はアニメや漫画の二次創作イラストなどに偏っている場合が多く(そればかりではないが)、コミュニティも全体的に「同じ趣味を持つ人々」だけで集まった結果、狭く閉鎖性の高いコミュニティが主体という印象があります。

また新たに登場したMetaのThreadsは、そもそもFacebookとの連携が必須でThreadsのアカウントからFacebookを辿れることなどから、匿名性は非常に低く投稿内容についてもFacebookと同等のモラルやマナー、ルールが適用されます。

良くも悪くも匿名性が高く、それ故に「言いたい放題」であるTwitterとは対象的なSNSである上に、Facebook同様に自己顕示欲の高めな投稿(ポスト)が多いため、Threadsを試したTwitterユーザーの多くが「なんか違う」、「こういうのが欲しいワケではない」、「キラキラしすぎてボクには眩しすぎる」とTwitterユーザー独特の拒絶反応を示す人も散見され、思わず苦笑してしまったほどです。

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筆者もThreadsアプリを使ってみたが、着飾ったポストの多さや自分のフォロワーのみのタイムラインがない点で使いづらさを感じた


■たかがTwitter、されどTwitter
TwitterはAPI制限を「一時的なもの」としており、いずれはさらに緩和されて問題のないレベルとなるか完全に解消されるものと考えていますが、イーロン・マスク氏がCEOとなって以来(現在はCEOから退いているが)、数多くの実験的とも言える変更や改修が「唐突に」繰り返されてきただけに、長期的に安心して利用できるSNSではないという印象が定着してしまいました。

しかしながら、その代替となるSNSも見つからないのが現状です。リアルで会う機会の多い知人・友人との連絡にはLINE、少し離れた関係や仕事ならFacebook、承認欲求を満たしたいならInstagram、ゲームやアニメなど趣味の濃密なコミュニティであればDiscord、だらだらと暇を潰すならTwitterといったように、今や人々には多くのSNSを使い分けする習慣がついています。

そのような中で、敢えて「Twitterと似たSNS」を探そうというのがそもそも間違いなのです。それぞれのSNSは「TwitterやFacebookやInstagramではないもの」という特徴を付けることで差別化し、それらのユーザーが別の目的で利用できるようにと特化してきたわけで、TwitterではないものをTwitterのように使おうと考えたり、Twitterと同じ機能性を求めること自体がナンセンスなのです。

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使い方や機能まで酷似した後追いアプリではシェアを獲得できない


結局、筆者を含めたTwitterユーザーたちは、愚痴や不満をこぼしながらもTwitterから離れられない運命なのです。私たちにできることと言えば、イーロン・マスク氏やTwitterの運営に「使いづらいぞなんとかしろ!」とシュプレヒコールを上げることくらいです。

もはや生活の一部となってしまったSNSだけに、これからも真に自由で便利な存在であり続けてくれることを願っています。

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不平不満はあれどTwitter奴隷な日々。そんなグダグダな関係もまたTwitterらしいと感じてしまう


記事執筆:秋吉 健


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