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楽天モバイルが「Rakuten最強衛星サービス Powered by AST SpaceMobile」を2026年第4四半期に提供開始めざす! |
楽天モバイルは23日、都内およびオンラインにて「楽天モバイル プレスカンファレンス」を開催し、同社が移動体通信事業者(MNO)として自社回線(以下、楽天回線)を構築して提供している携帯電話サービス(
プレスカンファレンスでは同社とASTが2025年4月22日(火)に日本国内で初めて低軌道衛星と市販のスマートフォン(スマホ)同士のエンドツーエンドでの直接通信によるビデオ通話に成功したとし、これによってこれまで日本において携帯電話ネットワークの圏外だった山間部・離島などを含むより広域のエリアカバーや災害などの緊急時に向けたネットワーク冗長性の実現に向けた大きな一歩となったとのことで、料金やサービスの具体的な内容については今後に案内されることになるということです。
楽天モバイルとASTは2020年3月に締結した戦略的パートナーシップの基づいてASTの低軌道衛星と市販されているスマホによる直接通信による音声通話やビデオ通話などを含む高速通信サービスを提供するプロジェクトを推進しており、ASTは2024年9月12日に商用の低軌道衛星「BlueBird」の打ち上げに成功し、すでに5基が周回しており、これまでは日本国内で2026年に提供開始する計画であることが案内されていました。
今回、日本国内において低軌道衛星とスマホのエンドツーエンドでの直接通信によるビデオ通話に成功したとのことによってサービス提供開始が近づいた年、新たに2026年第4四半期のサービス提供開始をめざすことが明らかにされ、サービス名もRakuten最強衛星サービスとなることが発表されました。この実験では福島県内に設置した楽天モバイルのゲートウェイ地球局から電波を低軌道衛星「BlueBird Block 1」に向けて発信し、衛星を介してスマホが受信していたとしています。
また市販のスマホ同士で通話アプリを使用した福島県と東京都間でのビデオ通話を実現し、衛星と市販のスマホによる直接通信に成功しました。さらにプレスカンファレンスでも福島県にいる担当者と衛星経由で繋がった状態でビデオ通話をするデモが披露され、衛星とスマホの直接通信でも遅延がほぼない状態でビデオ通話が可能であることが紹介されました。なお、実験は日本国内で市販される一般的なスマホを使って実験試験局免許の予備免許を取得した上での事前疎通確認となり、今後は実験試験局免許を取得の上で通信試験を開始する予定だということです。
プレスカンファレンスではすでに衛星は量産ラインが作られており、1回当たり5〜6基を打ち上げる予定で、どんどん打ち上げていくとし、楽天モバイルで用いる周波数帯についてはまだ決めていないとしつつ、4G用のBand 3またはBand 28(プラチナバンド)を用いる計画だとのことですが、今回の実験にはプラチナバンドが用いられたとのこと。また同じ衛星を用いた通信サービスである「Starlink」との違いはASTの衛星にはいわゆるリピーター機能のみが搭載され、基地局機能は地上にあり、日本には地上にある基地局機能が3カ所用意されるという。
そのため、Starlinkでは次から次へと日本上空に来る衛星に対してハンドオーバーをしていく形となるものの、ASTでは違う衛星が来ても基地局のIDは変わらずにハンドオーバーをしないとしています。また衛星専用の周波数ではなく、通常地上で使用している周波数帯で通信できることが大きなポイントで、auで提供が開始されたStarlinkによる「au Starlink Direct」では衛星通信中にはアンテナ状態を示すピクトが衛星通信のものとなるものの、Rakuten最強衛星サービスでは通常のサービスとの同じで、利用者は衛星と通信しているかどうかを気にせずに使えるということです。
さらに現在のASTの衛星はアンテナサイズが64.4m2となっていますが、次期バージョンでは36倍の223m2となり、より弱い電波状態でも通信できるようにする上、低軌道に50基を配置してカバーエリアを広げて日本の海まで含めた地球全体をカバーしていくという。加えてこの次期バージョンの衛星ではソーラーパネルやバッテリーなどの部品の約50%が日本製となるということです。
楽天グループの代表取締役会長兼社長で楽天モバイルの代表取締役会長である三木谷 浩史氏は『米国での試験成功に続いて日本でも衛星と市販スマホのビデオ通話が実現し、この画期的な技術を証明できたことを大変嬉しく思います。日本で楽天モバイルは、エリアカバーの拡大のために様々な施策を講じています。しかしながら、一部の山岳地帯や離島などは基地局建設の難しさからモバイル通信の恩恵が行き届かないこともあります。』と述べています。
また『災害大国である日本では気候変動の影響を受け激甚化する災害に対する国民の意識は年々高まっています。『携帯市場の民主化』を掲げる楽天モバイルとしては、すべての方がモバイル通信を使用可能になる世界を目指し、本プロジェクトをさらに推進してまいります』とし、さらにプレスカンファレンスでは『やはり安否確認も含めて法人での需要が結構高いと思っています。』とコメントしていました。なお、サービス提供開始時期については三木谷氏は「(ASTとパートナーシップを締結している通信会社は複数あるため、その中で)楽天モバイルが一番最初になれれば良いな」としつつも「(一番でなくとも)タイミングのズレはそこまで発生しないと思う」と回答していました。
一方、ASTの創業者で会長兼CEOのアーベル・アヴェラン氏は『AST SpaceMobileは強固な戦略的パートナーシップを通じて、世界をつなげていくという取り組みにおいて新たなマイルストーンに到達しました。楽天モバイルを含むパートナーの皆様は、世界中のカバレッジギャップとデジタル格差を埋めるために、他に類を見ない宇宙からのセルラー・ブロードバンド・ネットワークを初めて構築するという当社の使命に全面的に賛同してくれています』と述べています。
その他、今後も楽天モバイルとASTではこのプロジェクトにおいて強固に連携して日本でのサービス提供の実現を推進し、楽天モバイルを契約している人がさらに快適で利便性の高い通信サービスをご利用いただけるよう取り組んでいくとし、さらにプレスカンファレンスの質疑応答では三木谷氏が「災害時には楽天モバイル契約者以外の人もつながるようにできたら良いと思っている」と説明していました。料金体系も含めてまだこれから決めていくということなのでサービスの詳細が発表されるのが楽しみなところです。
記事執筆:memn0ck
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