2013年にはiOS・Androidともに最新OSがリリースされたが……

2013年もそろそろラストスパートを迎える昨今、みなさまいかがお過ごしでしょうか。この1年、スマートフォンやタブレットなどいわゆるスマートデバイスをめぐり、さまざまな動きがありました。

そこで、毎年、当ブログメディア「S-MAX(エスマックス)」で行われている「年末企画」の一環として、そんな2013年のトレンドを思いつくままに振り返っていこうと思います。アプリ開発者の立場としてはどうしてもOS周りの進歩や業界の活気がどうなっているかが気になるところです。

【iOS 7リリースとアプリのデザイン革命】

2013年のスマートフォンを振り返るときに、アプリ開発に携わるものとしては9月にリリースされたiOS新バージョン「iOS 7」を挙げないわけにはいきません。現実世界を模した従来の画面デザインから決別し、虚飾を廃したいわゆるフラットデザインに大きく姿を変えたiOS 7ですが、この外見変更が既存アプリのいろいろなところに細かく影響を及ぼし、フラットデザインに対応しないまでもアプリの機能を成立させるために細かい修正が必要なケースが多かったです。

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iOS 7は外見も内容も大きな変化が見られた

昨年の年末企画で書いた記事には「iPhone 5がリリースされて画面サイズ変更への対応が大変」とありました。結局アプリ開発者は毎年何らかの変更対応を行わなければならないわけで、AppleやGoogleの手のひらの上で踊り続けなければならない悲しい現実を改めて認識させられます。

iOS 7の登場によりアプリの画面デザインは根本的に見直しが必要になっていくことでしょう。当面はiOS 6(以下)との共存も図らなければならず、開発者にとって悩ましい日々が続きそうです。

またiOS 7が提示したフラットデザインは、Androidなど他のプラットフォーム向けアプリ、ひいてはスマートフォンやPC向けのWebサイトにまで影響を与えています。しばらくの間はいわゆるフラットデザインがデザインの潮流になることでしょう。テクスチャーや影でごまかせなくなる分、デザイナーの力量が問われることになります。

【Androidは4.4に到達するも2.3を無視できず】

スマートフォンOSもう一方の雄であるAndroidはというと、11月に最新版となるAndroid 4.4(開発コード名:KitKat)がリリースされました。

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KitKatという開発コード名が話題を呼んだAndroid 4.4

Androidにおいては4.0(開発コード名:Ice Cream Sandwich)において外観や操作方法が大きく変更されているため、統一的なユーザー体験を提供するためには4.0より前のバージョンを非対応としたいところですが、現実問題としてAndroid 2.3(開発コード名:Gingerbread)以下がいまだ4分の1程度残っており、無視できない現状は1年たっても何も変わっていません。

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Android 2.3以下が依然として4分の1程度残る(Googleの資料より)

Android 4.4は512MBの(比較的)少ないメモリーでも動作し、ローエンド端末にも対応できることがアピールされています。Googleとしては現状Android 2.3を搭載することが多いローエンド端末もAndroid 4.4とすることで全てのAndroid機種のバージョンを統一したい意向ですが、現実的にはもうしばらくAndroid 2.3へのケアも必要そうです。アプリ開発においてAndroid 2.3を対象外にできるのはいつになるでしょうか。個人的には1年経ってもまだ無理、2年経ったらもしかしてという印象です。

【iPhone 5sとNexus 5に見る新しさと閉塞感】

順番が前後しましたが、2013年はスマートフォンの2大プラットフォームといえるiOSとAndroidにおいて、それぞれの最新OSを搭載したフラッグシップモデルが登場しました。9月に発売された「iPhone 5s」(*1)と11月に発売された「Nexus 5」です。

*1:「iPhone 5c」も同時に発売されていますが、ここではフラッグシップモデルとしてiPhone 5sに着目します。

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iPhone 5s(写真=左)とNexus 5(写真=右)

iPhone 5sのハードウェアは64ビットプロセッサ「A7」と新たに搭載したモーションコプロセッサ「M7」、指紋センサー「Touch ID」など非常に野心的な構成になっている一方、その外見は前モデルであるiPhone 5とほとんど同じで、お世辞にも新鮮味はない状態でした。一方のNexus 5も、クアッドコアプロセッサ「Snapdragon 800」や2GBのRAM、フルHD液晶画面などAndroid 4.4の新機能をフルに活用できるハードウェアを備えた優秀なスマートフォンと言えますが、やはり製品としての新鮮味は乏しいという意見が多いのではないでしょうか。

2013年はOSもハードウェアも新しいものが多く投入された一方で、スマートフォンの使い方を変えるような画期的な新しさは提示されなかったように感じています。要素技術自体はいろいろと提案されているのですが、誰もが認識できる新しさに結実する前に2013年が時間切れになった感じです。

来年2014年は例年通りならばiPhoneのメジャーチェンジが行われるはずです。Androidを含めて「やっぱり新しい機種は違うな」と思わせる機種がたくさん出てきてほしいなと思わずにはいられません。

【2014年はVoLTE導入による100%LTEに期待】

2013年は携帯電話事業者各社がLTEの速度やエリアをアピールする1年でしたが、現状LTEは音声通話には使われていません(詳細は連載「スマホのちょっと深いとこ」の記事をご覧ください)。LTEで音声通話を実現する技術は「VoLTE(Voice over LTE)」と呼ばれており、2014年には国内でも導入されることが期待されます。

LTEスマートフォンはVoLTE導入によって全ての機能が「LTEだけで間に合う」ようになり、3Gの呪縛から解放された「100%LTE」が実現可能になります。国内事業者のうちどこが最初にVoLTEを導入するか、楽しみにしながら待ちたいと思っています。とくに3G通信規格の違いにより音声通話の品質が他社より良くないと感じることがあるauには(LTEのエリアが他社より広いことも生かして)いち早い導入を期待したいところです。

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VoLTEにより通話の高音質化にも期待(写真はLINEの無料通話)

【2014年も「ちょっと深いとこ」を目指します】

2013年にはS-MAXにおいて『吉川英一の「スマホのちょっと深いとこ」』という連載を始めました。スマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスはすでに珍しいものではなくなっていますが、それゆえに中身をよくわからないで利用する方が増えてきているのではないかと思います。それが悪いというつもりは毛頭ないのですが、ただ「ちょっと深いとこ」を知っているともう少し便利に楽しく使えるかもしれないよという意図をこの「ちょっと深いとこ」というタイトルにこめたつもりです。

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「スマホのちょっと深いとこ」、8月掲載の初回はスマホにまつわる番号の話題

今後もこのコンセプトからブレないよう、いたずらにマニアックになることなく、シンプルでわかりやすい記事を心がけてまいります。2014年もどうぞお付き合いいただければと存じます。


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