便利で快適なデータ圧縮だが、裏側で何が行われているかも知っておきたい |
GoogleのWebブラウザー「Chrome」の最新Android版では、Webページのデータを圧縮することでデータ量を節約し高速に表示できる「データ使用量を節約」機能を提供しています。特にネットワークが不安定になりがちなモバイル環境において、より快適なWebページ閲覧を実現するこの機能ですが、この機能を用いるとWebページの取得がGoogleのサーバーを経由して行われるようになります。
今回の連載「スマホのちょっと深いとこ」では、この「データ使用量を節約」機能を使った時に通信の様子がどのように変わるかを紹介します。この機能を使うかどうかを考える上の参考にしていただければ幸いです。
【設定をONにするだけで最大50%データ量を節約】
「データ使用量の節約」を使う手順は極めてシンプルで、「設定」-「帯域幅の管理」-「データ使用量を節約」の設定をONにするだけです。利用者は面倒なことを考える必要はなく、自動的にデータ使用量が節約されます。節約量はGoogleが言うには最大50%で、手元の環境では40%程度のデータ量が節約されていました。
【データ圧縮はGoogleのサーバーが行う】
このデータ量節約を実現するために、ChromeブラウザーはGoogleのサーバーを利用します。Googleのドキュメントによると、Googleのサーバーでは「画像ファイルのサイズを圧縮するとともにその他の最適化を」行い、Chromeブラウザーは圧縮・最適化済みのデータを取得します。なおセキュリティで保護されたリクエスト(HTTPS)や、シークレット タブを利用している場合はGoogleのサーバーを経由せず直接Webページを取得します。
【Googleサーバー経由のWebアクセスを確認】
それでは実際に通信の様子を見てみましょう。筆者が借りているサーバーに、サーバーから見たアクセス元を表示する検証用のWebページ(*1)を配置して、Chromeブラウザーからデータ使用量の節約機能をONまたはOFFにした状態でアクセスします。機種はXperia Z SO-02E、ネットワークはNTTドコモ携帯電話網(spモード)です。
*1: (開発者用補足)PHPで$_SERVER環境変数を表示させるWebページを作成しています。
機能がOFFの場合は、サーバーから見えているアクセス元のホスト名は「spmode.ne.jp」、つまりspモードになっています。SO-02Eからspモードのネットワークを経由してWebページを取得していることがわかります。
一方機能をONにした場合、アクセス元のホスト名は「google.com」に変化します。またプロキシー(Webページの取得を代行するサーバー)として「1.1 Chrome Compression Proxy」という文字列が現れ、Googleのサーバーを経由していることがわかります。
【Webページの取得がGoogle経由になることをどう考えるか?】
以上から「データ使用量の節約」機能をONにするとWebページの取得がGoogleのサーバー経由になることを実験で示しました。Googleのサーバーを経由するということは、理屈上「自分のWebブラウジングの様子がGoogleにバレてしまう」ことになります。このことをどの程度気にするのかが、この機能を使うかどうかの判断基準になりそうです。
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