mineoの新しいステートメント「Fun with Fans!」

ケイ・オプティコムは25日、都内にて「MVNO市場の現状とmineoの今後の取り組み」と題する事業戦略説明会を実施した。同社がNTTドコモやauから回線を借り入れて仮想移動体通信事業者(MVNO)として提供している携帯電話サービス「mineo(マイネオ)」( https://mineo.jp )の今後について解説した。

冒頭、同社 取締役 経営本部副本部長の橘俊郎氏は、MVNO事業の状況について「まだ価格差はあるが、大手携帯電話会社の低価格化や新規のMVNOによる競争の激化で、これからは淘汰の時代に入る。」と説明。

今後は「安さ、サポートの充実だけでは差別化が難しい。新しい競争の軸を提案したい。」として、「楽しい!」という新しい価値を象徴しする同社の新しいステートメント「Fun with Fans!」を発表した。今回はCMに起用していたベッキーさんの契約解除などについても飛び出た説明会の模様を紹介する。

02
取締役 経営本部副本部長の橘俊郎氏

次に、モバイル事業戦略グループ グループマネージャーの津田 和佳氏からは、mineoの市場環境と事業戦略について説明。現状のmineo契約者は、1月22日時点で約19万件に達しており、昨年9月にauのSIMカード(回線)に加えて、NTTドコモのSIMカード(回線)も取り扱いはじめたことで加入者が急増したという。また、mineoへのMNP手続きを自宅で10分ほどで完了できる「MNP即時ネット切替」も好評だという。

03

04
mineoはサービス開始1年半で19万人を突破

契約者の構成は昨年9〜10月の割引キャンペーンにより、NTTドコモの回線による「ドコモプラン」のデータ通信のみ(シングルタイプ)の利用者が多くなっているが、現在の新規加入は6対4で音声通話対応サービス(デュアルタイプ)の契約が多くなっており、「いずれ逆転するのでは。」という。

契約地域について、人口比率に対して近畿の利用割合が多いのは、ケイ・オプティコムが関西電力グループの子会社なのと、近畿エリアのFTTH市場では同社の「eo光」がNTT西日本と互角のシェア争いをするなど、他エリアと比較して認知度が高いことが影響している。

05
キャンペーン施策により、シングル契約の3GBプラン利用者が多い

通信トラフィックはビジネスマンが多く利用する平日昼間や通勤時間がピークで、加入者の増加に伴って回線を増設している。最近ではユーザーの反響などを見て、1人当たりに割り当てる平均的な通信帯域を増やしているとのことだ。

06

07
加入者数に応じて毎月のネットワーク増強を実施。昨年6月からは一人当たりの割り当て速度を向上させている

昨年12月17日には大阪駅前のグランフロント大阪にアンテナショップを設置。週末には即日手続きに行列が出来るとのことで、次の商戦期までにカウンターを増やして月1000回線の契約に対応できるよう検討しているという。

◯春商戦向けのキャンペーンと新サービスを拡充
また、1月21日からはすでに発表があったように新たな割引キャンペーンを実施。3月31日までに契約すると、音声通話月のデュアルタイプ契約が3ヶ月間800円引きになるほか、12ヶ月間はデータ通信量が2GBぶん追加される。また、既存ユーザーの紹介で契約すると、紹介者と契約者にAmazonギフト券1,000円をプレゼントするキャンペーンも継続して実施している。

08
3月31日まで新規加入者向けキャンペーンを実施。既存ユーザーには紹介キャンペーンを実施している

料金プランについては10GBコースを追加。また、パソコン工房、GOODWILL、ドクターホームネットの全国81店舗にて、SIMカードの差し替えなどの初期設定を1,000円で請け負うサポートサービスも利用できるようになった。

今後の展開だが、今春から夏にかけて量販店でのSIM即日お渡しサービスを展開を予定。取り扱いスマートフォン(スマホ)についても現在の国内メーカー製に加えて、海外メーカー製のSIMフリースマホやタブレットも取り扱うという。また、持ち込み端末の補償サービスも検討しているとのことだ。

◯楽しさを提供するユーザーコミュニティー「マイネ王」
mineo独自の取り組みとしては、新しいステートメント「Fun with Fans!」の中核となる、今月1周年を迎えたコミュニティーサイト「マイネ王」がある。月間PVは12月に170万、UUが20万と「大手企業のコミュニティーサイトとしては胸を張れる数値。」とのことだ。

09
ユーザーのコミュニティーサイト「マイネ王」


10
新しいサービスの提供ごとに利用者数を増やし続けている

マイネ王ではリテラシーの高いユーザーが疑問を持ったユーザーをサポートする流れやスタッフの情報発信もあり、「いろいろしんどいこともある。」としながらも良好な反響を得られているとのことだ。

また、mineoユーザー全体で通信量を溜めておき、月末に通信量の足りないユーザーがシェアできる「フリータンク」や役に立った情報に1回10MBの通信量を渡せる「チップ」サービスを提供。これらの施策は想定よりもスムーズに活用されており、コミュニティーをより「楽しく」活用できるものになっているという。

11
ユーザー間で通信量を融通できる「フリータンク」と「チップ」サービス。通信量を仮想通貨のような扱いで利用できるコミュニティーはほかにない


◯シェア拡大に向けた認知度の向上に注力
いわゆる格安SIM市場の契約回線数は、MM総研調べによると2016年3月末で510万回線と予測されており、ケイ・オプティコムでは期待も込めて5年後に2000万回線規模になると推測。顧客層が「マジョリティー層が徐々に増えてくる。」変化に対しては、サポートや品質の不安の払拭と、認知度を向上させる体力勝負のマスマーケティングが必要だという。

12
現在のユーザーは携帯電話のリテラシーが高い30代以上の男性が多い


13
今後は携帯電話にあまり詳しくないマジョリティ層の比率が高まると予測

ケイ・オプティコムの調査によると、現状のMVNO市場では契約者数のトップグループはOCNとIIJだが、一般の認知度では楽天モバイルとイオンがトップグループになっているとのことだ。

同社としては、FTTHで市場成長初期のシェアがそれ以降のシェアを決めたことから、ここ1〜2年でこれらトップシェアに食い込んでいきたいという。今後はマイネ王のようなコミュニティーなどの長期的な「共感」のアプローチ中心へと発想を転換しつつも、短期的には従来の「リーチ」発想のマスマーケティングを活用していくとのことだ。

14
ケイ・オプティコムが関西エリアで高いシェアを誇るFTTHだが、シェアの内訳は成長初期と比べてあまり変化がない


15
今後はコミュニティーなどを活用した「共感」発想のアプローチと、従来のマス広告などを活用する「リーチ」発想の両方を活用していくという

なお、マス向け広告では有吉弘行さんとベッキーさんをCMに起用していたが、騒動の影響からベッキーさんについて1月に契約を終了したという。影響は春の商戦期の「準備していたものをやり直している。」ほか、騒動の話題でmineoを取り上げられたことで社員の話題にもなったとのことだ。「しっかりとCMなどを展開していきたいので、推移を見守ってもらえれば。」と説明した。

mineo(マイネオ)


記事執筆:sureare(島 徹)


■関連リンク
エスマックス(S-MAX)
エスマックス(S-MAX) smaxjp on Twitter
S-MAX - Facebookページ
mineo 関連記事一覧 - S-MAX