mineoが9月よりソフトバンク回線による新プラン「Sプラン」を開始!

ケイ・オプティコムは23日、同社が仮想移動体通信事業者(MVNO)として提供する携帯電話サービス「mineo(マイネオ)」( https://mineo.jp )にてソフトバンク回線を利用した新プラン「Sプラン」を2018年9月4日(火)より開始すると発表しました。

料金設定は現在提供しているAプラン(au回線)やDプラン(NTTドコモ回線)とは異なり、500MBが790円(以下、すべて税抜)、3GBが990円、6GBが1,670円、10GBが2,610円、20GBが4,070円、30GBが5,990円で、音声通話の追加は+960円、SMSのみの追加は+180円となっています。

またSプランの発表に伴い各種キャンペーンも展開。新規契約者向け施策として、6カ月間月額基本料金が333円(A、DおよびSプランいずれも、デュアルタイプ、500MBの場合)で利用できる「祝 トリプルキャリア!3つそろって333キャンペーン」を7月24日(火)から11月6日(火)まで実施します。

さらにソフトバンク回線の予約を行うと、上記キャンペーンと併せ6カ月間月額基本料金が実質無料(500MBの場合)となる「ソフトバンク回線プランスタート記念!先行予約キャンペーン」を8月1日(水)から8月31日(金)17時まで実施します(いずれのキャンペーンも3GB以上のプランでは料金が増加します)。

NTTドコモとauの各回線に加えてソフトバンク回線によるMVNOサービスを開始したことで、移動体通信事業者(MNO)から直接回線を借り受けて事業を行うMVNOとしては日本初のトリプルキャリア対応となったmineoが狙うこれからの事業戦略とはどういったものなのでしょうか。発表会の模様とともに同社の戦略について解説・考察します。

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トリプルキャリア戦略へと舵を取った同社の目論見とは


■ソフトバンク回線で3段目の急成長を見込むmineo
「100万回線は飽くまでも通過点」。壇上で強気の発言をしたのは6月にケイ・オプティコム代表取締役社長へ就任したばかりの荒木誠氏です。mineoは4月に100万回戦を突破し、6月現在で約106万回線と順調にユーザー数を増やし続けています。

ブランドステートメントである「Fun with Fans」を掲げてユーザーファーストの戦略とファンコミュニティ「マイネ王」の運営や「フリータンク」といったユニークな施策がその原動力であり、顧客満足度調査などでも非常高い評価を獲得し続けています。

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ケイ・オプティコム 代表取締役社長 荒木誠氏


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ユーザーファーストを謳う各施策を長年拡充し続けてきた結果として現在の高い顧客満足度がある



100万回線を通過点と語る荒木氏の新たな急成長戦略こそがトリプルキャリアMVNOです。au回線を利用したMVNOとして始まったmineoは2015年9月からNTTドコモ回線によるMVNOサービスを開始することでユーザー数を倍増させてきた経緯があり、今回のソフトバンク回線によるMVNOサービスもまた顧客の裾野を大きく広げる起爆剤であると考えている点は間違いないでしょう。

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au回線、NTTドコモ回線ともに頭打ちの感はまだない


■MVNOを悩ませる「SIMロック解除の壁」
MVNO業界全体としてはまだまだ堅調に伸びている状況でもあり、同社もまたNTTドコモやau回線を用いたMVNOサービスの限界点が見えてきているとは思えませんが、現在ソフトバンクを契約しているユーザーの受け皿としてのMVNOサービスは業界全体で見てもまだまだ少なく、同社はその数少ない選択肢としてのサービスにメリットを見出したと考えられます。

特にその戦略を後押しするのが「SIMロック解除の壁」です。現在MNO各社から発売されているスマートフォン(スマホ)などは購入後にSIMロックを解除できる仕様となっていますが、その解除には一定の条件があったり、ショップでの解除手続きでは別途料金が発生する場合などもあり、あまり利用されていないのが実態です。

そのため「au回線で利用していたスマホをMVNOのNTTドコモ回線で利用する」といったような使い方がなかなか浸透していないのも事実です。つまり、mineoはSIMロック解除の煩わしさや面倒を気にせずに利用できるサービスとしてのソフトバンク回線によるMVNOサービスに期待を寄せているのです。

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SIMロック解除の手続きは行ってしまえば至って簡単なのだが、やったことがないことには抵抗があるのが人間というもの


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一般層の「フツー」の感覚を変えるのではなく、「フツー」に合わせていく戦略こそがトリプルキャリアMVNOだ


■目標は200万回線!強気の戦略に商機と勝機はあるか
荒木氏はSプランについて、NTTドコモ回線を用いたMVNO業界全体の契約者比率などから約360万回線分のポテンシャルがあると試算したスライドを用いながら「ソフトバンクの契約者、3978万人の選択肢に」と語り、mineo全体の目標契約者数としても2020年度までに200万回線を達成するという点を何度も強調していました。

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NTTドコモユーザーを元としたMVNO選択率はmineoだけではなく飽くまでも業界全体での数値


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あと2年で100万回線を獲得する戦略を強気と見るか、無謀と見るか


しかしいくら堅調なmineoであっても課題や不安点がないわけではありません。今回のSプランにおいて最も不安視されるのは設定料金と他者競合です。

料金プランではいずれの容量においてもAプランやDプランより90円高く設定されています。同社は「できれば同じ料金にしたかったがMNO各社で違いがあり、SプランはSIMの種類が多くさまざまに勘案してこうなった」、「各プランごとに採算を加味した結果」と語るなど、ギリギリの料金設定である点に理解を求めましたが、これが消費者の目にどう映るのかは未知数です。

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数字だけ見てしまうと割高感は拭えない


またソフトバンク回線の場合、格安スマホ市場向けとしてワイモバイルブランドが存在している点も若干の不安要素です。au回線においてもUQモバイルがそのポジションになるため、それでもAプランのユーザー数を伸ばし続けている同社の現状を鑑みるに大きな不安はないのかもしれませんが、低価格路線と独自のスマホ展開で特色を出し続けるワイモバイルの存在は実際にSプランの動向を見るまでは分からないのが実状でしょう。

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ワイモバイルはMVNOではない上にMVNO各社よりも若干価格は高めだが、その分通信速度の安定性などで堅実に顧客を獲得している


この他、今年4月に同社が導入した通信の最適化においてユーザーへの告知不足などで混乱が生じた件も完全には終息していません。同社ではその後ユーザーへの謝罪や通信の最適化への理解などを求めてファンミーティングなどで説明会を実施してきましたが、通信の最適化そのものは今後も継続していく方針であり、その利用をユーザーが任意に制御する仕組みについても9月以降の導入となると伝えています。

ユーザーの増加に伴いトラフィックの過密時間帯と閑散時間帯の差は激しくなる一方であり、過密時間帯に合わせた回線の増強はそのままコストの上昇につながります。同社がソフトバンク回線を用いたプランの導入を行った理由にはこういった過密時間帯と閑散時間帯の差の拡大を続けるトラフィックの分散、もしくはトラフィックの逼迫を抑えつつユーザー数を拡大するための最善策という意味もあると思われます。

■コンテンツの充実によって黒字化を狙う
何よりも同社を悩ませているのが事業としてのmineoの黒字化でしょう。現在もmineoサービスは黒字化を達成できておらず、その実現について質疑応答で問われた際も「黒字化の目処は立っていないが取り急ぎ200万回線を狙う。使い続けていただくことで収益力を高めていく」と答えており、シェアの獲得が黒字化への大きな戦略であるとの見解を示しています。

それを裏付けるように、今回の発表会でも前述した各種キャンペーンとともにAプランによるテザリングサービス「au iPhone iPad テザリングサービス」を10月末より開始すると発表、また店頭でのSIM発行や直接の手渡しなどが行える「mineoショップ」の出店拡大や、エンタメ系コンテンツサービスとして電子コミックサービス「Renta!」や動画配信サービス「Hulu」、音楽配信サービス「レコチョクBestライトプラン」を8月8日より順次開始することを発表しています。

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Sプランではサービス開始時よりテザリング利用が可能


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店舗運営はコストが大きいがユーザーメリットも大きく今後も拡大していきたいとしている


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エンタメ系コンテンツは重要な黒字化戦略となるだろう


荒木氏がユーザー数(シェア)を重視する理由こそがコンテンツ戦略にあります。前述のようにMVNOサービス単体での黒字化は閑散時間帯を上手く活用できる法人契約などが広がらない限りかなり難しいのがMVNOの宿命ですが、コンテンツ収益の拡大はそれを相殺できる可能性があります。

コンテンツ収益を上げるには当然ユーザー数の増加が至上命題です。コンテンツの充実はユーザーにとってもメリットであり、また同社としてもより大きな容量のプランを契約してもらえる原動力となるため、事業者・ユーザーともにメリットの多い戦略と言えるでしょう。

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mineoの5年目の戦略も実にアグレッシブだ


■Sプランの成長性に期待
100万回線達成を迎えるとともに回線の逼迫から通信の最適化に踏み切らざるを得なくなるなどさまざまな困難に突き当たった2018年前半を終え、mineoの戦略はまた大きく舵が切られました。MNOからの直接契約を行っているMVNOとして日本初のトリプルキャリア対応を選択した背景には、こうした回線の問題や長引く赤字経営、そしてユーザー満足度の維持と向上という複数の課題の解決があります。

コンシューマ向けのMVNO業界全体としても、ユーザー数こそ増加し続けているもののサービスとしての「パイの奪い合い」の様相が気になり始めている昨今、ソフトバンク回線を用いた新たなMVNOサービスが登場する点には素直に期待したいところです。

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すべてのMNOの受け皿となり得るか注目だ


紹介コード
http://mineo.jp/syokai/?jrp=syokai&kyb=F0U2C7X4J0




記事執筆:秋吉 健


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