KDDI、JR山手線の車両内を5Gミリ波のエリア化に成功!屋外の基地局からミリ波を車両内に引き込んで増幅&再放射は日本国内初


KDDIが電車の車両内を5Gミリ波のエリア化に成功!AGC製ガラスアンテナや京セラ製アンプなどを利用

KDDIおよび東日本旅客鉄道(以下、JR東日本)は20日、JR東日本の東京総合車両センターにおいて「山手線」の車両内で「5G(第5世代移動通信システム)」の高周波数帯を利用した「ミリ波(mmWave)」のエリアを拡大する実証に成功したと発表しています。実証期間(評価期間を含む)は2026年3月3日(火)から4月15日(水)まで。

実証では線路沿線のミリ波基地局から放射された電波を車両の窓に設置したミリ波対応のガラスアンテナ(AGC製)で受信し、電波をアンプ(京セラ製)にて増幅した上で誘電体導波路と漏洩・ロッドアンテナ(日本電業工作製)を用いて車内へ伝送・再放射する構成によって留置中の車両内にミリ波の電波を引き込んだとのこと。なお、屋外の基地局からのミリ波を車両内に引き込んで再放射する取り組みは日本国内初でだということです。

これにより、金属によりミリ波の電波が届きにくい車両内においても通信速度1Gbpsを達成可能な通信エリアが車両全体の約40%から約97%へ改善されることを確認したとのこと。両社は今後もミリ波を含む電波の有効活用や鉄道沿線などでの通信環境向上、鉄道業務のDXに向けて取り組んでいき、鉄道車両は金属が多く、一般的な屋内環境に比べてミリ波のエリア化が難しいとされていますが、今回の実証で得られた知見に基づいてあらゆる屋内環境へミリ波の活用を広げ、さらなる通信品質の向上とお客さまの利便性の向上をめざすとしています。


実証の構成イメージ

5Gのミリ波は28GHz帯の高周波数帯における広い帯域幅を活用することで高速・大容量通信を実現する一方、電波の直進性が強く遮蔽物の影響を受けやすいため、エリア展開が課題です。この課題に対してKDDIはミリ波の通信エリアを自律的に最適化して構成する無線中継器を活用し、ビル街などの遮蔽物の多い屋外を中心にミリ波の通信エリアを拡大してきました。

またJR東日本との共同の取り組みとして2025年4月の新宿駅ホームにおける実証実験の成功に続き、2025年10月に高輪ゲートウェイ駅周辺、3月は東京駅新幹線ホーム上のミリ波エリアを拡大しました。さらに屋外・駅構内でのミリ波エリア化が進む一方、車両の金属がミリ波の遮蔽物となる鉄道車両のように既設のミリ波基地局や中継器の活用だけではエリア化が困難な場所が存在します。


ガラスアンテナの設置イメージ

誘電体導波路および漏洩・ロッドアンテナの設置イメージ

そこで今回の実証ではミリ波の電波が浸透しにくい鉄道車両内をミリ波エリア化するため、複数の技術を組み合わせた新たな構成を採用し、山手線の実車両に設置してその有効性を検証しました。実証ではJR東日本の東京総合車両センターに留置中の山手線車両の内部に基地局から受信したミリ波の電波を再放射するための構成品を設置しました。窓ガラスに設置したガラスアンテナで受信した電波をアンプで増幅した上で、誘電体導波路を用いて伝送し、漏洩アンテナとロッドアンテナを用いて任意の位置から再放射する構成を採用しています。

この構成によって車両内の必要な箇所を効率的にエリア化することが可能となります。実証では車両の天井に設置した送信アンテナ(漏洩アンテナおよびロッドアンテナ)から電波を再放射することによって遮蔽の影響を最小限に抑えて車両内の通信エリアを効率的に拡大できることを確認しました。また通信速度1Gbpsを達成可能な通信エリアは車両全体の約40%から約97%に改善し、車両の金属による電波の減衰によって離散的だったエリアが車両内のほぼ全域に拡大していることを確認したということです。


構成導入前後の車両内ミリ波エリアの比較
<使用した機器の特徴>
ガラスアンテナ 主に屋内側ガラス面に直接後付けで設置でき、透明性にも優れているため、景観や内装デザインを損ないません。これらの特長によって設置場所の制約が少なく、今回の実証における構成の設置性の自由度を飛躍的に高めます。さらに対象とするガラス面に合わせて設計することによって高いアンテナ利得によるミリ波電波の送受信を実現します。
アンプ ミリ波の電波を低雑音かつ高出力を両立しながら、高利得で増幅可能なアンプです。
誘電体導波路 誘電正接の低い誘電体材料で構成された導波構造であり、ミリ波帯の電磁波を低損失(0.5dB/m)で伝送することが可能な伝送路です。従来の同軸ケーブル対比で1mあたりの損失を約83%低減します。
漏洩アンテナ 誘電体導波路の任意の位置に設置され、導波路内を伝搬するミリ波電力の一部を空間へ放射するアンテナです。これにより、必要な場所にミリ波の電波を効率的に届けることが可能になります。
ロッドアンテナ 誘電体導波路の先端に削り加工を施して形成されるアンテナであり、導波路内を伝搬したミリ波電力を効率よく空間へ放射します。これにより、広いミリ波エリアの形成に寄与します。
<各社の役割>
KDDI 全体構成の立案、本実証の企画・実行・評価
JR東日本 実証環境の検討・提供
AGC ミリ波用ガラスアンテナの設計・提供
日本電業工作 ミリ波用誘電体導波路およびロッドアンテナと漏洩アンテナの設計・提供
京セラ ミリ波用高利得アンプの設計・提供
記事執筆:memn0ck

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