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koryolink Sales & Customer Service Centerの入り口。この入り口の横では銃を装備した朝鮮人民軍の兵士が警備していた。 |
謎に包まれた「朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)」の携帯電話事情を数回に渡って紹介している。前回紹介したように北朝鮮では2013年1月7日に外国人による携帯電話の持ち込みが解禁されたのと同時に外国人向けのプリペイドSIMカードの販売を開始した。
そこで、実際に北朝鮮に渡航して現在、唯一の移動体通信サービスを提供している「CHEO Technology JV Company」(ブランド名としては「koryolink」)のプリペイドSIMカードと北朝鮮のスマートフォンを購入してみたので、その模様をお伝えする。
◯koryolinkのSIMカードの購入する
北朝鮮は外国人に対して携帯電話の持ち込みを解禁し、同時に平壌順安国際空港(FNJ)でプリペイドSIMカードの販売を開始しており、このことは世界各地で報じられて話題となった。koryolinkのプリペイドSIMカードは入国目的や国籍などによって異なるが、基本的には音声通話のみでデータ通信は使えない。音声通話でも北朝鮮国内に発信することはできないため、実質的に国際電話専用となっている。
すでに紹介したように、koryolinkは2.1GHz帯(Band I)のW-CDMA方式でサービスを提供しているため、購入したプリペイドSIMカードはW-CDMA方式の2.1GHz帯に対応したSIMロックのかかっていないいわゆる“SIMフリー”の携帯電話で使うことができる。2.1GHz帯のW-CDMA方式は第3世代移動通信システム(3G)としては世界では最も主流で、大半の携帯電話は2.1GHz帯のW-CDMA方式に対応するが、中には2.1GHz帯のW-CDMA方式に非対応の携帯電話も存在するため注意が必要である。また、事前にSIMロックが掛かっていないことも確認しておく必要があるだろう。
koryolinkが販売するプリペイドSIMカードのサイズはminiSIMカードサイズ(2FF)のみであることを事前に把握していたため、miniSIMカードサイズのSIMカードスロットを搭載し、2.1GHz帯のW-CDMA方式に対応したSIMロックフリーのスマートフォンを北朝鮮に持ち込んだ。
一般的に外国人は平壌順安国際空港にあるkoryolinkのブースでプリペイドSIMカードを購入する。当初は、筆者も平壌順安国際空港でプリペイドSIMカードを購入する予定であったが、北朝鮮を訪問した際は観光客が少ない時期であり、平壌順安国際空港にあるkoryolinkのブースは営業していなかった。
そのため、INTERNATIONAL COMMUNICATIONS CENTREの2階に入居するkoryolink Sales & Customer Service Centerで購入することになった。なお、センターの綴りは、INTERNATIONAL COMMUNICATIONS CENTREが英式、koryolink Sales & Customer Service Centerが米式となり、多少ちぐはぐな印象を受ける。
INTERNATIONAL COMMUNICATIONS CENTREにはkoryolinkのサービスを提供するCHEO Technology JV Companyの本社が入居し、koryolink Sales & Customer Service Centerは事実上の本社併設販売店となっており、北朝鮮ではkoryolinkの「本店」と呼ばれる。プリペイドSIMカードはkoryolink Sales & Customer Service Center以外に北朝鮮各地の電話局や郵便局で入手することも可能だ。
筆者はkoryolink Sales & Customer Service CenterでプリペイドSIMカードを入手できたが、プリペイドSIMカードの購入には身分証明書としてパスポートとTOURIST CARDの提示、申込書への署名が求められた。TOURIST CARDは事実上の査証(ビザ)であり、滞在期間などが記載されている。プリペイドSIMカードは有効期限などが異なる複数のプランが用意されているが、TOURIST CARDに記載された滞在期間から判断してプランが決定された。
また、北朝鮮ではIMEIホワイトリスト制度(許可制)を採用するため、利用する携帯電話のIMEIをプリペイドSIMカード購入時に登録する必要がある。すなわち、IMEIを登録していない携帯電話では使えないことになる。最初は日本から持ち込んだスマートフォンのIMEI登録を申し込んだが、平壌市民が隣のカウンターでスマートフォンを購入している様子を見て、IMEI登録を中止して急遽、北朝鮮でスマートフォンを購入することにした。購入したのは北朝鮮のスマートフォンとして世界で注目された「Arirang AS1201」で、国際電話のみであるがArirang AS1201でkoryolinkのサービスを利用できた。
料金の支払いはすべての手続きが完了してから外貨で支払う。外国人は現地通貨である北朝鮮ウォンを使用できず、北朝鮮は外貨獲得を強化していることからも外国人はユーロや人民元などの外貨を使うことになる。一部の店舗では日本円が使える場合もあるが、価格表の記載がユーロと北朝鮮ウォンであることからも、ユーロでの支払いが望ましいとされる。

koryolinkが販売するスマートフォンのArirang AS1201とその化粧箱(パッケージ)。北朝鮮で展開している「Arirang(아리랑)」ブランドを冠している。北朝鮮ではスマートフォン以外にもArirangブランドを冠するタブレットやテレビも存在する。
◯SIMカードのプランと料金
koryolinkのプリペイドSIMカードを購入する際に、料金体系や各プランの価格を確認できた。音声通話に関しては4種類が用意されており、「Visitor Line 1」および「Visitor Line 2」、「Visitor Line 3」、そして、後から追加された「名称なし」のプランが存在する。各プランの料金などは以下の表の通りである。

一部の国は国際電話の通話料が記載されていた。日本を含め、個々に記載されていない国への通話料は分からないと言われた。北朝鮮からは日本と香港に電話をかけたが、合計で10分も話さないうちに初期残高を使い切ってしまった。
◯観光客の旅程を考慮して料金プランの新設も
外国人向けにプリペイドSIMカードの販売を開始した際は、料金プランとしてVisitor Line 1およびVisitor Line 2、Visitor Line 3の3種類を用意していた。ところが、1年も経たずに名称なしの料金プランが新設された。価格表には手書きで追記されており、後から追加されたことが明白である。
これは北朝鮮を訪問する観光客は7日以下の滞在が少なくないということもあり、7日以下の滞在に有効期限が14日で50ユーロは高いとの声が出ていたようで、料金の高さが影響して購入する観光客も多かったとのことである。そこで、有効期限が7日の料金プランを用意し、価格を30ユーロと安く設定している。安価な料金プランを新設することで、短期滞在の観光客によるプリペイドSIMカードの購入を促進する狙いがあるのだろう。
北朝鮮は外国人に対して携帯電話の持ち込みを解禁し、同時に平壌順安国際空港(FNJ)でプリペイドSIMカードの販売を開始しており、このことは世界各地で報じられて話題となった。koryolinkのプリペイドSIMカードは入国目的や国籍などによって異なるが、基本的には音声通話のみでデータ通信は使えない。音声通話でも北朝鮮国内に発信することはできないため、実質的に国際電話専用となっている。
すでに紹介したように、koryolinkは2.1GHz帯(Band I)のW-CDMA方式でサービスを提供しているため、購入したプリペイドSIMカードはW-CDMA方式の2.1GHz帯に対応したSIMロックのかかっていないいわゆる“SIMフリー”の携帯電話で使うことができる。2.1GHz帯のW-CDMA方式は第3世代移動通信システム(3G)としては世界では最も主流で、大半の携帯電話は2.1GHz帯のW-CDMA方式に対応するが、中には2.1GHz帯のW-CDMA方式に非対応の携帯電話も存在するため注意が必要である。また、事前にSIMロックが掛かっていないことも確認しておく必要があるだろう。
koryolinkが販売するプリペイドSIMカードのサイズはminiSIMカードサイズ(2FF)のみであることを事前に把握していたため、miniSIMカードサイズのSIMカードスロットを搭載し、2.1GHz帯のW-CDMA方式に対応したSIMロックフリーのスマートフォンを北朝鮮に持ち込んだ。
一般的に外国人は平壌順安国際空港にあるkoryolinkのブースでプリペイドSIMカードを購入する。当初は、筆者も平壌順安国際空港でプリペイドSIMカードを購入する予定であったが、北朝鮮を訪問した際は観光客が少ない時期であり、平壌順安国際空港にあるkoryolinkのブースは営業していなかった。
そのため、INTERNATIONAL COMMUNICATIONS CENTREの2階に入居するkoryolink Sales & Customer Service Centerで購入することになった。なお、センターの綴りは、INTERNATIONAL COMMUNICATIONS CENTREが英式、koryolink Sales & Customer Service Centerが米式となり、多少ちぐはぐな印象を受ける。
INTERNATIONAL COMMUNICATIONS CENTREにはkoryolinkのサービスを提供するCHEO Technology JV Companyの本社が入居し、koryolink Sales & Customer Service Centerは事実上の本社併設販売店となっており、北朝鮮ではkoryolinkの「本店」と呼ばれる。プリペイドSIMカードはkoryolink Sales & Customer Service Center以外に北朝鮮各地の電話局や郵便局で入手することも可能だ。
筆者はkoryolink Sales & Customer Service CenterでプリペイドSIMカードを入手できたが、プリペイドSIMカードの購入には身分証明書としてパスポートとTOURIST CARDの提示、申込書への署名が求められた。TOURIST CARDは事実上の査証(ビザ)であり、滞在期間などが記載されている。プリペイドSIMカードは有効期限などが異なる複数のプランが用意されているが、TOURIST CARDに記載された滞在期間から判断してプランが決定された。
また、北朝鮮ではIMEIホワイトリスト制度(許可制)を採用するため、利用する携帯電話のIMEIをプリペイドSIMカード購入時に登録する必要がある。すなわち、IMEIを登録していない携帯電話では使えないことになる。最初は日本から持ち込んだスマートフォンのIMEI登録を申し込んだが、平壌市民が隣のカウンターでスマートフォンを購入している様子を見て、IMEI登録を中止して急遽、北朝鮮でスマートフォンを購入することにした。購入したのは北朝鮮のスマートフォンとして世界で注目された「Arirang AS1201」で、国際電話のみであるがArirang AS1201でkoryolinkのサービスを利用できた。
料金の支払いはすべての手続きが完了してから外貨で支払う。外国人は現地通貨である北朝鮮ウォンを使用できず、北朝鮮は外貨獲得を強化していることからも外国人はユーロや人民元などの外貨を使うことになる。一部の店舗では日本円が使える場合もあるが、価格表の記載がユーロと北朝鮮ウォンであることからも、ユーロでの支払いが望ましいとされる。

koryolinkが販売するスマートフォンのArirang AS1201とその化粧箱(パッケージ)。北朝鮮で展開している「Arirang(아리랑)」ブランドを冠している。北朝鮮ではスマートフォン以外にもArirangブランドを冠するタブレットやテレビも存在する。
◯SIMカードのプランと料金
koryolinkのプリペイドSIMカードを購入する際に、料金体系や各プランの価格を確認できた。音声通話に関しては4種類が用意されており、「Visitor Line 1」および「Visitor Line 2」、「Visitor Line 3」、そして、後から追加された「名称なし」のプランが存在する。各プランの料金などは以下の表の通りである。
プラン名 | 販売価格 | 初期残高 | 有効期限 |
名称なし | 30ユーロ | 10ユーロ | 7日 |
Visitor Line 1 | 50ユーロ | 30ユーロ | 14日 |
Visitor Line 2 | 75ユーロ | 55ユーロ | 1ヶ月 |
Visitor Line 3 | 100ユーロ | 80ユーロ | 2ヶ月 |

一部の国は国際電話の通話料が記載されていた。日本を含め、個々に記載されていない国への通話料は分からないと言われた。北朝鮮からは日本と香港に電話をかけたが、合計で10分も話さないうちに初期残高を使い切ってしまった。
◯観光客の旅程を考慮して料金プランの新設も
外国人向けにプリペイドSIMカードの販売を開始した際は、料金プランとしてVisitor Line 1およびVisitor Line 2、Visitor Line 3の3種類を用意していた。ところが、1年も経たずに名称なしの料金プランが新設された。価格表には手書きで追記されており、後から追加されたことが明白である。
これは北朝鮮を訪問する観光客は7日以下の滞在が少なくないということもあり、7日以下の滞在に有効期限が14日で50ユーロは高いとの声が出ていたようで、料金の高さが影響して購入する観光客も多かったとのことである。そこで、有効期限が7日の料金プランを用意し、価格を30ユーロと安く設定している。安価な料金プランを新設することで、短期滞在の観光客によるプリペイドSIMカードの購入を促進する狙いがあるのだろう。
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