なぜスマートウォッチを使っている人をあまり見かけないのだろう?

遅まきながらサムスン電子製スマートウォッチ「GALAXY Gear」を購入し、使い始めた筆者ですが、日常で使いはじめるとそれなりに便利なガジェットです。その理由としては、スマートフォン(スマホ)をバッグに入れたまま、メールや通話の着信が確認できたり、LINEの着信もわかったり、スケジュールの確認もできるといった点。また、GALAXY Gearはカメラも使えます。

そう書くと、なにやら良いことずくめのスマートウォッチなのですが、実際には日常生活で、腕にしている人をあまり見かけません。そこで、今回は「なぜスマートウォッチを使っている人を見かけないのか」を筆者なりに考察してみました。

◯腕時計なだけに気がつかない?
スマートウォッチはその名の通り、腕時計型のガジェットです。ですから、気がつかないということも考えられます。さらに冬場はジャケットやコートの袖に隠れてしまいます。ひょっとして、腕にしていること自体気が付かないので、日常で見かけないのかもしれません。

ですが、英国の調査会社のCanalys(カナリス)によると、Google(グーグル)のウエアラブル向けOS「Android Wear」を搭載するスマートウオッチは2014年下半期に出荷された台数がわずか72万台にとどまっています。意外に普及していないのが現状です。世界的にこのような状況ですから、日本国内でも愛用しているユーザーはかなり少ないと思われます。


◯機能的に必要が感じられない?
では、なぜ普及してないのでしょうか。FacebookやTwitterなどのSNSの確認、LINEの既読確認や音声入力で返信、Googleマップのナビ表示など、できることの増えたスマートウォッチの機能ですが、「それ、スマホでやればいいんじゃない?」と言われてしまえば、それまでです。スマートウォッチでないといけない、スマートウォッチでないと不便だ、というものがまだないのが現状です。必要性が感じられなければ、買おうと思わないのは必然的なのではないでしょうか。


◯そもそも、腕時計を必要としていない?
さらに、そもそも腕時計の必要性が薄いでいるという理由もあるのではないでしょうか。若者を中心に「携帯を持ち歩くようになって腕時計はしなくなった」という意見をよく聞きます。日本では皮肉にもスマホ自体が、スマートウォッチの普及を阻害しているという面があるのです。


◯認知度が低い?
私もスマートウォッチを腕にしていると、他人から「なに?それ?通話できるの?」や「ガッチ◯マン見たい!」と言われることが多々あります。スマートウォッチに対する認識や理解は、一般的にはまだそのレベルだということなのです。

もちろん、スマートウォッチはキャリアショップや家電量販店では展示してありますが、まだまだコーナーやブースができる「イチオシ商品」というほどではありません。ですから、それほど認知度が高いとは言いがたく、いまだ物珍しい物として見られているのだと思います。


◯価格がネック?
比較的高価だというのが、実際に私もすぐに購入に踏み切れなかった理由の1つです。例えば、最新の3G接続に対応したサムスン電子製「Gear S」の価格が公式Webストア「ドコモオンラインショップ」にて34,992円(税込)、丸型ディスプレイが特長のLGエレクトロニクス製「G Watch R」が公式Webストア「au Online Shop」にて36,612円 (税込)とスマートウォッチの価格は腕時計の価格としては決してカジュアルとは言えません。「腕時計に必要性を感じなくなった」という世代の人たちに3万円をオーバーする価格は、ハードルが高いといえるでしょう。


◯今後、どうなるの?スマートウォッチ
しかしながら、今年1月にアメリカ・ラスベガスにて開催された展示会「CES 2015」では数多くのスマートウォッチが発表・展示されていたと聞きます。そして、大本命の「Apple Watch」も控えています。世界的にメーカーの方向性がそうであれば、少なからず日本もマーケットもそのような流れに巻き込まれていくと思われます。

最初は奇異なものに見られるものでも、それがマーケットにあふれだすと、時間をかけて受け入れられ始めるものです。最近ではセルカスティック(自撮り棒)がいい例ではないでしょうか。あれだけ「それって流行る?」と疑っていたものが、今や女子学生たちの必須アイテムとなっています(価格的には比べ物になりませんが)。

普及の鍵はまずはさらなる低価格化でしょう。例えば、1万円をきるスマートウォッチが登場すれば「使ってみよう」という人も増えるはずです。機能が限定されても、低価格機が増えれば、その便利さに価値を求めるユーザーも増えるのではないでしょうか。

今後も日本国内でのスマートウォッチの動向に、引き続き注目していきたいと思います。

記事執筆:甲斐寿憲


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