初の仙台開催となったXperiaアンバサダーミーティング |
ソニーモバイルコミュニケーションズ(以下、ソニーモバイル)は今冬モデルのフラグシップスマートフォン(スマホ)としてNTTドコモ向け「Xperia Z5 SO-01H」およびau向け「Xperia Z5 SOV32」、SoftBank向け「Xperia Z5 501SO」のXperia Z5を日本国内でも10月に投入しました。
また、コンパクトモデル「Xperia Z5 Compact SO-02H」および世界初の4Kディスプレイ搭載の大型モデル「Xperia Z5 Premium SO-03H」もNTTドコモから11月に販売開始しています。
ここ最近では、ソニーモバイルは新モデル発表時に「Xperiaアンバサダーミーティング」というブロガーイベントを開催し、ブロガーへのプレゼンテーションやさまざまな展示・体験企画を催してきています。これまではこういったイベントはほぼ東京に限られていましたが、近年は地方都市開催が増加していて、今回のXperia Z5では福岡(11月19日開催)および仙台で初開催となり、東京(12月10日開催)、名古屋(11月25日開催)、大阪(11月12日開催)と合わせて5都市での開催となりました。
そこで、今回は筆者の住む仙台会場で12月3日にアンバサダーミーティングが行われましたので、イベントの様子やXperia Z5シリーズの魅力を紹介するとともに、担当者に地方開催の狙いについて伺ってきましたのでその模様をお送りします。
仙台での開催当日、イベントの進行とプレゼンを務めたソニーモバイルコミュニケーションズの宣伝担当の笹谷氏にXperiaアンバサダーミーティング地方開催の狙いを伺いました。
笹谷氏は「ブロガーさんは東京に集中していますが、地方にもいらっしゃいます。名古屋と大阪で1回やって反応が良かったのでもう1回やって、今回トライアルで仙台と福岡で開きました。東京で開催したときに参加していただける方々はイベント慣れしている感があり、地方のメリットとしては、新鮮な目で見ていただけるということがあります。そのような点は記事になった時の言葉が違うのかなと思いました。」と地方開催の目的を語ってくれました。
続いて「(Xperiaの)アンバサダーは自発性を目的としています。良い意見だけでなくて厳しい意見もありますが、それをどこまで真摯にメーカーとして受け止められるかが大事です。Xperiaユーザーの方がなぜ選んでいただけたのかを知り、リアルユーザーの声を聞いて、我々と一緒にXperiaという商品づくりを支えてくださる方を増やしたいと思っています。」とのこと。
このようにブロガーイベント慣れした東京の参加者とは別の切り口でブロガーが表現をしてくれるのではないか、そうした可能性に賭けて今回の福岡や仙台といったこれまで行ってこなかった新たな会場での開催が実現しました。
ただし、仙台会場は20名の定員でしたが、当日参加予定者は13名で実際に参加したのは11名でした。福岡も15名だったとのことで、さらに東京から来たレポーター参加者もいましたので、思いの外参加者が集まらなかった模様です。
この点について笹谷氏は「我々の取り組みをファンとして広めていただけそうな方はいらっしゃるとは思うのですが、交通事情や生活環境が違うようで、なかなか人が集まらないという部分がありました。Xperiaアンバサダーは5000人以上の登録があるのですが、すべての人がアクティブに活動していただいているわけではありません。どのくらいの方が仙台で開催するとか、その他の地方でやるというのを知っているのか、絶対出てみようというモチベーションになっているのかという問題はあります。1回開催するともしかしたら行ってみようかなという方はいらっしゃるかもしれません。」と説明。
一方、仙台に住む筆者が感じたのが仙台圏は自動車で移動する人も多く、混み合う仙台駅前での平日夜開催は、若干敷居が高く思われた可能性もあるのかなと思いました。また、そもそもイベントが認知されていなかったことも影響したかもしれません。イベントの認知度を地方都市でいかに高めていくかは今後の課題と言えるでしょう。
続いて、5都市で行われるXperia Z5アンバサダーミーティングですが、都市によっての違いはあるのか聞いてみました。
笹谷氏は「ベースのプレゼンは変えていませんが、演出は多少変えています。東京はプレゼンの流れを一番端折れます。拡散力のあるブロガーさんもお呼びしますが、そういう方々はすでに情報を知っていますので、商品紹介よりも別のことを考えないといけません。」ということで、今週開催された東京会場では仙台会場とは違った演出もあるようでした。
それでは、イベントの様子を少し紹介します。まずは仙台会場では比較的丁寧に各製品の説明を行っていました。デザインの紹介では、Xperia Z5と Xperia Z5 Compactで新たに採用された背面の磨りガラス(フロストガラス)のデザインにおいて、どのくらいガラスを削るのかさまざまな試行錯誤があったことが語られました。
汚れの付きづらさにも配慮してガラスを削る量が決められたそうです。なので、ホワイトなどの色が薄い色で汚れが気になりそうだと思っている人も安心できそうです。
また、色にも関してもホワイトやブラックも真っ白または真っ黒ではなく、普段の生活に馴染むように自然界にある色にあった色を採用したとのこと。ホワイトはより灰色っぽく、ブラックも若干グレーっぽくなっており、さらにXperia Z5とXperia Z5 Compactでもそれぞれ色合いが若干変えられています。
展示スペースには最終的に商品には採用されなかったグリーンの背面の試作品がいくつか展示されていましたが、微妙に色合いが違っていて、色の決定にもかなりの試行錯誤があったことが分かります。その他、Xperia Z5 Compactのイエローについても「Xperia Z1 fのライム(黄色)は発売されてすぐはものすごく売れましたが、その後落ち着いてきました。そのため、欲しい人はすごく欲しいという色だとわかりました。」と笹谷氏の解説があり、筆者もXperia Z1 fの発売初日にライムを購入したので見事にそのユーザー層にはまったのが実感できました。
前モデルのXperia Z4ではCPUなどを内蔵したチップセットであるQualcomm製「Snapdragon 810 MSM8994」の発熱が各メディアなどにて取り上げられました。そこで、イベントでも発熱対策の解説について時間が割かれました。
チップセットだけでなく上部にあるカメラ部も発熱することから、Xperia Z5シリーズではヒートパイプを2本にして、さらには熱伝導樹脂を塗布したことで、放熱効率が大幅に向上したとのこと。展示スペースにも分解された基板が展示されていて、これだけの放熱対策が成されたのかと説得力がありました。
カメラ機能に関しては開発担当者が直接解説し、0.03秒という超高速オートフォーカス(AF)が実現したのは時間がかかるものの高精度なコントラスト方式と精度は落ちるが速度は速い位相差方式のオートフォーカスをミックスさせたからであることを分かりやすく解説してくれました。
また、16:9サイズの撮影でも2000万画素を越える撮影が可能になったことやデジタルズーム時に何倍ズームされているか数字で表示されるようになったなど、カタログでは見落としがちな細かい変更点についても解説がありました。
さらに今冬の注目点でもあるXperia Z5 Premiumの4Kディスプレイについての展示が充実していました。4KテレビでXperia Z5 Premiumのカメラ撮影画面を映すと、4K画質の美しさがよく分かります。また、段ボールのかぶり物にXperia Z5 Premiumを取りつけ、4Kディスプレイの映像美を楽しむ体験コーナーは参加者に大人気でした。
最後に4都市で終了したXperia Z5アンバサダーミーティングについてその反響を笹谷氏に伺うと、「商品そのもののスタンダードな基本性能の良さや磨りガラスのデザインの変化を素直に見ていただけています。公開されている記事を読むと、スタンダードな性能が上がっていることや使いやすくなっていることといった総合力の向上がレビューに表れているので、ありがたいですね。」と、今回のXperia Z5シリーズがおおむね好意的に受け入れられていることに安堵している模様です。
こうしたイベントでの意見というのはどの程度製品づくりに反映されているのかを伺うと、「開発期間がありますので、すぐには反映できないかもしれませんが、開発者が生の声に触れるのは非常に有意義だと思いますし、何らかの形で生きていると思います。開発者はお客様がどう使っているかという目線を忘れがちな面がありますので、次の機能の取捨選択や仕様変更などに反映する作用もあるかと思います。長期的に見て総合的に良い製品担っていくことに役立っているんではないかと感じています。」といった形ですぐにダイレクトに反映されることは少ないものの、直接参加者から聞いた意見は有形無形で次以降のモデルで生かされる効果はあると感じられているようです。
また、今回の仙台会場では質疑応答で質問や意見がまったく出ませんでしたが、他会場ではさまざまな質問や要望が出ることもあるようで、時にはマニアックな要望もある模様です。
こういった意見についても「コアファンと一般のファンはどうしても意見に解離があります。Xperiaは、おかげさまで非常に多くの方にお使いいただいておりますので、尖った部分は大事ですが、より使いやすく誰もがつかっても分かりやすいという部分もとても大事になります。また、ソニーの技術を惜しみなく注ぎ込んだのがXperiaなので、そういう意味では尖った商品だと思っています。スマホ以外にテレビ・オーディオ・ビデオカメラ・デジタルカメラ・アクセサリーなど生活家電以外全域やっているのは全世界でもソニーだけで、それらの技術を具現化している商品がXperiaなんだな、と思っています。」とのこと。
マニアックな方向ではなく、多くの人に受け入れられる商品をめざしつつも、ソニーグループ全体の力を結集することで他メーカーとの違い、いわゆる尖った部分を見せようとしているのがXperiaという考えのようです。
仙台市から参加の方々からは「他の都市では参加できないので仙台でやってくれて嬉しい。ウェブや紙媒体だけでの情報よりも思いが伝わってきた」や「今までメーカーの人と近くで話せるイベントはなく、詳しいところまで教えてくれて楽しい。作っていた人の思いが伝わってきたのが良かった」と開催を喜ぶ声がありました。
また、宮城県大崎市から参加で以前は東京で行われたイベントに参加したこともあるという女性からは「今回で6回目くらいですが、仙台開催が決まって嬉しかった。ただ人数が集まるかどうか不安でした」という声もありました。仙台・宮城から参加された方々にはおおむね好評だったようです。
東京では当たり前になってきたブロガーイベントですが、地方都市ではまだまだこうした機会は少ないのが現状です。今後はこうしたイベントの知名度を上げて、他メーカーも含めて地方都市でもメーカーとユーザーが直に顔を合わせ、意見交換をする機会が増えていくことを地方在住ライターとして強く願っています。
記事執筆:こば
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