ゼロから始めるスマートフォン

NTTドコモやau、SoftBankから11月2日に発売されたソニーブランドの最新フラッグシップスマートフォン(スマホ)「Xperia XZ」(ソニーモバイルコミュニケーションズ製)。昨年までのフラッグシップモデル「Xperia Z5」の真の後継機種として同じ5.2インチサイズとなっています。

すでに紹介したようにNTTドコモ向け「Xperia XZ SO-01J」を購入しました。今回は、直前まで使っていた「Xperia Z5 SO-01H」との体感的な比較を中心に数日使ってみての感想を記します。なお、開封レビューをまだご覧になっていない方は合わせてチェックしてみて下さい。

【指紋認証は素早く正確に】

Xperia Z5の指紋認証は私にとって最悪でした。どれだけセンサーの汚れを拭き取ったり、指紋の登録をやり直したりしても、エラー、エラー、またエラー……。とてもじゃないですが、常用できるものではありませんでした。

それに対し、Xperia XZの指紋認証は最高です。まさに期待していたものです。まず認証エラーが出ません。指をかなりラフに当てても問題なし。かといって照合が緩いわけでもなく、登録していない指はちゃんと弾きます。

そして認証速度はとても速いです。電源ボタンを押せば即座にホーム画面が表示される感覚です。認証があることをほとんど意識することなくロックを解除できるので、ストレスをまったく感じません。画面をスワイプしてロックを解除するよりもはるかに早く簡単。それでいてセキュリティーが保たれるわけですから理想的です。

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指紋認証はロック画面の解除だけではなく、例えば、dアカウント(ドコモサービスの総合アカウント)などへのログインにも使えます。いちいちIDやパスワードを入力する必要がなく、指紋認証でサッとログインできるのは最高に便利です。

私はパスワード管理ツールとしてアプリ「LastPass」を愛用していますが、このアプリは指紋認証に対応しているので、毎回求められるマスターパスワードの入力が要らなくなりました。

そんなこんなで、Xperia XZを使うようになって生産性が驚くほど上がりました。



【明るくいつも見やすいディスプレイ】

Xperia Z5のディスプレイは私には暗すぎました。明るさの自動調整のレベルが低すぎていつも暗めに表示されるので、シーンごとに手動での調整を強いられました。一方、Xperia XZの自動調整はいつも明るくて見やすい状態に調整してくれます。

コントラストと視野角はかなり改善されました。Xperia Z5は輝度を上げていくと画面が白く霞んでいき、黒も青味がかった色なってしまいますが、Xperia XZの黒は黒のまま。映像が引き締まって見えます。そして視野角が明らかに広くなり、ディスプレイを傾けても見にくくなりません。

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左がXperia XZ、右がXperia Z5。Xperia XZの方が視野角が広い


【カメラは自然な色合いで撮影できる】

カメラについてはまだ評価するのに十分なテストができていないのですが、とりあえず新しく追加されたRGBC-IRセンサーの効果は確認できました。ホワイトバランスが狂ってしまいがちな場面で、見たままの色を忠実に再現できているようでした。

薄暗い場面での撮影能力も向上していました。Xperia Z5よりも明らかにノイズが少ない明るい写真が撮れます。ただ、拡大したときに輪部がザラザラと見える問題は依然として残っていました。

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動画撮影は5軸手ブレ補正によって、まるでスタビライザーを使っているかのようにブレを抑えた滑らかな動画が撮れます。Xperia Z5の手ブレ補正もかなり効く方ですが、Xperia XZはもっと凄いです。

【安定性や発熱に不安は感じず】

わりと酷使してもバッテリー温度は大体40℃以内に収まりました。Xperia Z5と比べて平均して5℃程度低く推移しています。背面の発熱具合を見ても、Xperia Z5はプロセッサー部分が突出して温度が高くなりますが、Xperia XZはまんべんなく温かくなる感じです。

プロセッサーの変更に加えて、このように排熱も上手くいっているためか、負荷をかけたときの動作の安定性がまるで違います。高温のためにカメラアプリが強制終了されたり、ゲームで動作がカクカクしたりという頻度も激的に減りました。

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Xperia Xシリーズから組み込まれた「スマートクリーナー」と呼ばれるキャッシュ・メモリー開放機能も効いているのかもしれません。Xperia Z5の時はいわゆるクリーナー系アプリを使ってようやく高負荷なゲームがまともに動くレベルだったのに対し、Xperia Z5は素の状態でもサクサク動きます。

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【内蔵ストレージはそろそろ64GBにして欲しい】

Xperia XZの残念な点として他メーカーのフラグシップ機と比べて内蔵メモリー(RAM)の容量が少ないということがよく言われますが、私にとっては内蔵ストレージの容量の方が大事です。

動画をそれなりに撮ると32GBなどあっという間にいっぱいになってしまいます。空き容量が不足すると全体的なパフォーマンスが低下するので、microSDカードなり、PCなりへ転送する必要が出てきます。この作業が時間がかかって非常にめんどくさいです。

撮影時の保存場所をSDカードに変更する方法もあるのですが、内蔵ストレージに比べてやはり読み書きのレスポンスが悪く、撮ってすぐ確認したいときなどに不便です。ZenFone 3やiPhoneのように256GBとまでは言いません。せめて64GBモデルを用意してもらえると非常にありがたいです。

【充電が速くなった】

充電がよりパワフルになって、ゲーム中でもぐんぐんバッテリー残量が回復していきます。Quick Charge 3.0の恩恵でしょうか。電池持ちも多少良くなった気がします。

USB Type-Cになってプラグの挿しやすさが改善することを期待していましたが、それほど大きくは変わりませんでした。確かにプラグの表裏の確認はしなくても良くなります。ですが、以前のmicro-Bと混在する環境では、結局プラグの形状を確認せざるを得ません。

micro-B→Type-Cへの変換プラグを使う場合はもっと複雑です。変換プラグを本体に残してmicro-Bのケーブルだけが抜けてしまうことがよくあります。プラグの表裏を確認する生活に逆戻りです。

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【持ちやすいが汚れやすい】

フレームに丸みがあり、ディスプレイも2.5Dの曲面ガラスとなっているので、引っかかりがなくとても握りやすいです。操作していても気持ちが良いです。

一方で、背面の素材はアルミになり、汚れが付着しやすく、拭き取りにくくもなりました。ゲームをやっていると本体がだんだん熱くなってくるので手汗をかきます。

背面パネルに汗が付着するとツルツル滑るようになり、操作に支障をきたします。そしてその汗は少し経つと凝固してきます。こうなると見た目も手触りも最悪になって、布で拭き取ろうにもこびり付いてなかなか綺麗になってくれません。

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Xperia Z5の背面パネルは曇りガラス風の「フロステッドグラス」が使われていますが、これはデザイン面でも防汚面でも秀逸でした。汚れや指紋が目立たないので、クロスで拭き取るということはほとんどしたことがありませんでした。

【スモールアプリがなくなった】

Xperia Xシリーズになってスモールアプリが撤廃されました。電卓やタイマー、ブラウザなど、起動中のアプリの上に小窓で表示できて便利だったのですが、どういう訳か機能自体が消滅してしまいました。同時に、購入したスモールアプリの価値もなくなってしまったことになります。

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ドロワーから直接アプリの無効化が可能に
細かい部分なのですが、アプリの無効化がしやすくなっていました。これまでは本体設定からしか無効化できませんでしたが、Xperia XZではアプリのアンインストールの時と同様に、アプリドロワーの「アプリの管理」から直接無効化できるようになったので、アプリの整理がとてもしやすくなりました。

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【クイック設定パネルの表示バグ】

クイック設定パネルのバグが依然として存在します。タップしても表示が切り替わらない、表示が変わったのに設定が変更されない、一旦閉じて開き直すと内容が巻き戻っているなどです。発生頻度は多いので早く治してもらいたいです。

【総評】

Xperia Z4、Xperia Z5と、長い間抱えてきた発熱と動作の不安定さが改善されたことは嬉しいです。やっと長いトンネルを抜けたような気分です。動作面でのXperiaの評価はこれから徐々に回復していくと思います。また、指紋認証のスピードと精度の高さには感動しました。この点だけでもXperia Z5から乗り換える価値はあると思います。

新シリーズ”Xperia X”の初めてのフラグシップモデルとなったXperia XZ。Xperia Z5とXperia XZは1世代しか離れていないのですが、動作、カメラ、本体デザインなどあらゆるところに改善、変化が見られ、乗り換えればかなりの新鮮味を感じられるはずです。Xperia Z4以前の機種からならなおさらですね。





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