Unihertzの超小型タフネススマホ「Atom」開封レビュー!

中国のスマートフォン(スマホ)メーカー「Unihertz」が今年春にクラウドファンディングサービス「Kickstarter」などで資金調達を行っていた超小型のAndroidスマホ「Atom」が9月下旬より順次出荷を開始し、筆者の手元にもようやく届きました。本体価格は一般販売で299ドル(約34,000円)となっています。

本機は筐体サイズが縦幅約96mm×横幅約45mm×厚さ約18mmという超小型設計で、ディスプレイも2.45インチフルワイドQVGA(240×432ドット)と極小サイズ。さらにIP68に準拠した高度な防水・防塵および高い耐衝撃性能を有したタフネスボディを最大の特徴としています。

同社はこれまでにも「Jelly」および「Jelly Pro」といった超小型スマホを発売しており、日本の技適(技術基準適合)認定製品としてはJelly Proに続く2機種目となります。

今回は開封レビューとしてAtomのパッケージから本体外観、基本性能、そしてJelly Proや「iPhone XS」などとのサイズ比較を中心に写真盛りだくさんでご紹介します。

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小さくてもパワフルで強いヤツ


■クラウドファンディングによって商品化が実現
まずは開封です。外箱は昨今のスマホらしくシンプルな外観で、開けると本体と取扱説明書、SIMピン、充電用ACアダプター、USB type-Cケーブル、ストラップ、画面保護フィルムが同梱されています。イヤホンは付属していないため、3.5mmジャックタイプの市販のイヤホンを購入する必要があります。

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スマホの外箱と言えばもはや定番の形


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若干潰れたり傷が入っているのは製造国であるシンガポールから簡易包装にて空輸されたため。海外製品を直接購入する場合、こういった点は妥協が必要


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箱を開けると取扱説明書の入った箱とSIMピン


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本体は取扱説明書のケースの下に納められている


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本体を保護するための梱包用フィルムにも薄くメーカーロゴが印刷されている


同梱されているACアダプターはUSB接続タイプで容量は5V/1,500mA。急速充電などには対応していません。充電には付属のUSB type-Cケーブルを用います。筆者環境で確認したところ、市販のUSB type-Cケーブルでも充電可能でした(要自己責任)。

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本体と付属品一覧


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付属のUSB type-Cケーブルは端子部がL字型でロゴ入り


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ACアダプターは小型で使いやすいサイズ


付属品が指紋で汚れていたり梱包自体が雑だったりするのはクラウドファンディング商品の宿命もしくは妥協すべき点といったところ。とくに海外メーカーはこういった細かい部分は気にしないところが多く、いわゆる日本の大手メーカーが行う厳格な品質検査と同等のクオリティを求めるべきところではありません。

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とは言え、ストラップがほつれていたのはさすがに苦笑い


取扱説明書は英語と日本語の二ヶ国語表記となっており、中国語表記がなかったのは少々意外でした。日本語表記は表現に若干の違和感こそあるものの全体的に丁寧でとても分りやすい印象です。

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取扱説明書はユーザーガイドと保証書の2冊


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すべて日本語で解説されているため利用に際して困ることはない


■小さくても驚きのタフネス設計
いよいよ本体外観です。筐体サイズは前述の通り縦幅約96mm×横幅約45mm×厚さ約18mmと驚くほど小型で、国内で一般的に販売されているスマホしか触ったことがない人は唖然とするほどの小ささです。

同社の小型スマホ「Jelly Pro」は縦幅約92.4mm×横幅約43mm×厚さ約13mmとさらに小さいため並べると若干大きく見えますが、そのサイズ差でこの端末を「大きい」と表現する人はまずいないでしょう。

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こうして置くだけではサイズ感が分かりづらいが……


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手に持つと一目瞭然。持つと言うより指先でつまむような大きさだ


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Atom(左)とJelly Pro(右)のサイズ比較


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iPhone XS(左端)も並べてみた。サイズの違いがよく分かる


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Jelly Proに専用ケースを装着して比較


18mmという厚みは小さく軽いことよりもバッテリー容量の確保を優先したため。Jelly Proでは厚みも13mmと薄く小型軽量を軸に端末が設計されましたが、その代償としてバッテリー容量は950mAhと一般的なスマホよりもかなり少なくなり、連続使用時間の短さが大きな弱点となりました。

またバッテリー容量の少なさや筐体の小ささ(≒排熱設計の難しさ)からチップセットも高速なものを搭載できず、性能面でもかなりの妥協を強いられたJelly Proの反省点を活かし、Atomでは筐体の厚みを増やして2,000mAhのバッテリーを搭載。十分な連続使用時間を確保することに成功しています。

重量は108g(公称値)で、こちらもJelly Proの約70g(バッテリーパック装着時)からかなり増加していますが、それでも現在主流となっているスマホが150g~200g程度であることを考えるとかなりの軽さです。

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Jelly Proとの厚みの差がよく分かる


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薄型軽量よりも実用性を重視したAtom


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下面には大きなストラップホールがある


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上部にはイヤホンジャック


18mmという厚みはバッテリー容量増加のためだけにあるものではありません。本機のもう1つの売りとなるのがタフネス設計です。小型でありながらIP68に準拠する最高水準の防水・防塵性能を備えており、樹脂製ボディによる衝撃吸収やコーニングのゴリラガラスをディスプレイガラスに採用するなど高い耐衝撃性能も有しています。

このタフネス構造を実現するために本機ではバッテリー交換ができないほか、microSDカードスロットもなく外部ストレージが利用できません。ただし内蔵ストレージ容量が64GBあるため、メイン端末として酷使するような使い方でない限りは容量不足に悩む心配はあまりなさそうです。

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左側面には音量ボタンとSIMスロット


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右側面。左からUSB type-C端子、PTTボタン、電源ボタンが並ぶ。PTTボタンについては後述


■小型でも利便性に富んだ機能性
そしてもう1つ驚くのは高い機能性です。認証機能として指紋認証が利用できるほか顔認証にも対応しており、状況や利用用途に応じて端末のロック解除が行えます。

また本体横の赤いPTTボタンはその名の通りプッシュトゥトークアプリに対応しており、標準では「Zello」がプリインストールされています。またこのPTTボタンへほかのアプリを登録することも可能なので、SNSアプリやカメラアプリなどを登録すれば1アクションで利用できる点がとても便利です。

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本体正面下部にある指紋認証センサーはホームキーとしても機能する


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指紋認証・顔認証・パターン認証の3つを併用できるのはとても便利


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機能拡張ができるPTTボタンも素晴らしい


カメラは背面のメインカメラが約1600万画素CMOS、正面のインカメラが約800万画素CMOSで、アウトカメラ約800万画素CMOS/インカメラ約200万画素CMOSであったJelly Proから大幅な性能向上を遂げています。

チップセットもJelly Proと比較して大きく性能が向上しており、CPU部はMediaTek製オクタコア/2GHzを採用しているようです。カメラの画質やチップセットの詳細およびその性能については、後日フィールドレビューにて詳しくレポートしたいと思います。

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Jelly Proのカメラ画質はかなり酷かったため、こちらも気になるところ


背面のデザインや質感はタフネス端末特有の「ゴツい」デザインをそのまま表した形で、樹脂製の筐体は塗装も最小限。ダイヤカットの背面は滑りにくく適度な持ちやすさがあります。

またデザイン的に本来ネックとなりそうな筐体の厚みについてはむしろグリップのしやすさに繋がっており、グッと握りしめて持ち歩きたくなるような安心感があります。この厚みのおかげで側面のPTTボタンや電源ボタンを押しやすいというメリットもあり、デザインと機能性が見事にマッチしています。

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ワイルドな印象を与える大きめのダイヤカットが施された背面デザイン


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メッキ加工されたUnihertzのロゴと星型のトルクスネジが輝く


SIMフリースマホを愛用してる人であれば本機がDSDV(デュアルSIM・デュアルVoLTE)対応である点も見逃せないところでしょう。4G(LTE)に対応した2枚のSIMを同時に利用できるため、複数キャリアの格安SIMや移動体通信事業者(MNO)と仮想移動体通信事業者(MVNO)のSIMによる4G回線での同時待ち受けが可能です。

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利用できるSIMはnanoSIMタイプ。トレーの画像右側が1スロット目、左側が2スロット目となる


■アウトドア用途以外にもサブ端末として
日本国内で一般的に販売されるスマホとは何もかもが大きく異なるAtomは、その存在自体が貴重で大変面白いスマホだと言えます。

Jelly Proは世界最小クラスの4G対応端末として登場しましたが、性能やバッテリー駆動時間などでかなりの妥協を強いられる部分がありました。しかしAtomはそういったネガティブ要素を克服しただけでなく、若干の大型化をむしろメリットとする方向で性能や機能面を大幅に強化してきました。

Atomの仕様上、その価値が最大限に発揮されるのがアウトドア用途であることは間違いありません。Unihertzもクラウドファンディングでの資金調達時から自転車用のアタッチメントやトレーニング時に便利なアームバンドなどを用意しており、タフネススマホとしての正統派利用を推奨している様子が伺えます。

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小さいだけではない、オンリーワンの性能を有したAtom


一方で純粋にミニマムスマホとしての魅力も失っていません。ジーンズのポケットにも簡単に入る大きさと程良いホールド感を生む厚さが利便性に直接繋がっており、また樹脂素材剥き出しの筐体は滑りにくく驚くほどに手に馴染みます。昨今の大型化し過ぎて片手に余るスマホと比較すると、あまりの持ちやすさに感動するほどです。

価格が安価な点もサブ端末として光ります。一般販売価格で299ドルとなっている本機ですが、現在オンラインショップのAmazon.co.jpでJelly Proを販売している同社は、今後Atomも同様の販売チャネルによって日本国内での一般販売を行うものと思われます。この端末で3万円台での販売であれば十分に納得がいく価格設定ではないでしょうか。

唯一の不安点があるとすれば画面が小さいことによる文字入力の難しさですが、Jelly Proで意外にも文字がサクサクと打てた筆者としては、その点についてもあまり不安視していません。とは言え絶対的なサイズの小ささはあるため、購入を検討する際には気にしておきたい部分です。

実際の使用感や性能のベンチマーク、PTTボタンの割り振りによる機能的な利便性のチェックなどは、フィールドレビューとして後日記事化したいと思います。

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さあ、Atomをはじめよう


記事執筆:秋吉 健


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